「ザ・2020ビジョン」 コモンズ投信

個 別


伊井哲朗氏

伊井哲朗氏

中期視点から“変化を買う”

代表取締役社長 伊井哲朗氏に聞く

コモンズ投信は、「コモンズ30ファンド」に次ぐ新しい日本株ファンド「ザ・2020ビジョン」を新規に設定する。12月26日までの募集期間を経て、12月27日に設定、運用を開始する。同ファンドの設定の背景や、仕組み、魅力、運用の方針などについて同社代表取締役社長の伊井哲朗氏に聞いた。

■運用会社としての特徴

当社は2008年秋に登録、09年1月に「コモンズ30ファンド」という当社のフラッグシップのファンド(旗艦ファンド)の運用を開始した。以来、来年1月に丸5年を迎える。当社がやろうとしてきたのは直販という形態で、販売も、運用もともにやってきた。直販というと、農家がおいしい野菜や果物を生産し、スーパーを通さずに販売するのと同じで、おいしいものを食べたい消費者が直接ネットを見て、農家に問い合わせして購入するようなものをイメージとして描いていただきたい。当社は製造と販売をいっしょにやって、投資家からすれば、運用会社から投資家が直接購入するということで、運用者の顔が見える、運用会社の哲学や理念が直接分かる点が受益者のメリットが結構あると考えている。当社は世の中から見ると足りていない金融サービスがあるだろうと、そこに新しいサービスや足りていないところのサービスを提供するというのが、本来ベンチャー企業のビジネスだと思うし、われわれも、そうしたところからスタートしている。

■自分たちが買いたくなるような投信作り

個人が本当の意味で資産形成をするということで言うと、投資信託は本来、長期的な資産形成に向いている建てつけになっているが、現状は、社会全体ではそれほど受け入れられているとはいえない。これほどの個人金融資産があってもなかなか普及しないのは何か問題があると考えられる。販売会社主導で投資信託を販売してきたことが色濃く商品設計自体にも出でいるように思える。当社の創業からのメンバーからすると自分たちが買いたい投資信託がない。自分たちが買いたくなるような投信を作りたいというのが1つある。

■投信を通じて企業への長期資金提供

もう1つは企業の経営者の方々とお話をすると、日本の株式市場が短期化している。世界では長期でしっかりと投資をする方々がいる。市場は多様性が重要だから、長期が良く、短期は悪いということではないが、日本の株式市場はあまりに短期の投資家が多過ぎる。個人もそうだが、本来の年金基金や機関投資家も意外と長期投資はしない。日本の6、7割を占める外国人投資家も短期が多い。企業経営者から見ると、お会いする投資家や株主は短期の人が多い。一方で、グローバル化などで企業の経営者の考える時間軸は長くなっている。短期のリターンを求める投資家とねじれがある。日本の資本市場に長期の資本が少ないということが問題点だと多くの経営者は語っている。われわれは資産の長期的な資産形成に役立てるサービスを行うことで、そのお金が日本を代表するような企業に長期の資金を投資して、その会社が頑張ることによって、最終的に個人にリターンが帰ってくるという循環を作ろうと、それが日本の資本市場や経済にも貢献できるだろうということが、当社の創業来の理念だ。

■新ファンドはネット、バイオ、内需関連などに注目

その意味では「コモンズ30ファンド」は、当社の理念を色濃く反映したファンドといえる。長期的に企業価値を高めていく企業に投資する、持続的な成長ができる強い企業に投資することをやってきた。5年間やってきて90億円ほどの残高に拡大している。運用に際してわれわれは企業をボトムアップで投資をすることをやっているので、長期的に企業価値を高めていける企業はユニバースで100-150社ほどあると考えている。ファンドを立ち上げる前から6年間ぐらい調査をしてきて、100-150社の中から持続的に成長ができる強い企業として30社に絞って投資をしている。株式市場全体を見ると日本企業のROE(自己資本利益率)は世界的に見て低い。米が20%、欧州が15-16%に対し、日本は6%前後、中央値では3-4%にすぎない。あまりにも資本コストを超えるような業績のところが少ない。ある調査によると資本コストを上回るのは上場企業の3割、1,000社ほどだ。その中から「コモンズ30ファンド」で長期に耐えられる銘柄を購入している。例えば、時代時代に合わせ事業ポートフォリオをしっかり変えてやっていける企業。それぞれの環境に合わせ変化、進化を続けられる、これが長期で耐えられる企業だ。

一方、われわれが調査していてもそこまで長期ではないが、5年ぐらいは確実に業績を伸ばしていける、経営計画を含めもっと上ブレが期待できるような企業もある。そうした企業をピックアップすることを行うファンドが、今回の「ザ・2020ビジョン」だ。「コモンズ30ファンド」は長期という視点だが、「ザ・2020ビジョン」は中期という視点から運用を行う。具体的にはインターネット関連やバイオ関連、内需関連などですばらしい経営者がいて、5年ぐらいまではしっかり成長ができる。環境変化で5年以上先はどうなるか分からないとしても、それまではいい企業がある。今まで調査はできているが、ファンドのコンセプトから取りこぼしている企業、投資ができていない企業、中期的な成長の点でかなり蓋然性が高い企業に投資をしようというのが、今回の新ファンドの運用方針だ。

■50銘柄程度に厳選投資

5年から10年で、ここからしっかり成長していける企業とはどういうことかといえば、「コモンズ30ファンド」は、持続的に成長ができる強い企業に投資するのに対して、今回は変化を買うというのがコンセプトであり、特徴だ。「変化し始めた企業」「変化にチャレンジする企業」を中心に株価が割安と判断した水準で投資する。当ファンドは50銘柄程度に厳選投資を行う。「コモンズ30ファンド」は大型株中心だが、大型株から小型株までを投資対象とする。一方、50銘柄程度あれば分散効果も十分得られると考えている。ボトムアップ・アプローチを重視し、ベンチマークは設けない。また、リスクを抑える観点から、現金比率もコントロールすることを目指す。市場の下落リスクが高いと判断した時には、現金比率を大幅に引き上げることで価格下落に備える。

■2020年が新しい日本の起点に

「変化し始めた企業」「変化にチャレンジする企業」の変化とはどういうことか。人口動態が2020年になると、団塊の世代の方々が70歳以上となり、団塊の世代ジュニアが日本のメーンとなる時代に入る。これからの日本の新しい価値観を作るのが今の現役世代の力に委ねられる。金融や経済のいろいろなサイクルの起点が2020年になる。それに加え、今回東京にオリンピックを招致できたことも大きく、政府や官僚の方々の話を聞くと2020年が色々な意味での変化の起点になると考えを強くしている。近代以降で見ると明治維新、戦後に続く、3回目の国づくりの起点になるのではないかと考えている。もう少し具体的にいえば、2020年は日本が構造的な世代交代の時代に入ること、そしてオリンピックの開催、プライマリーバランスの黒字化、新東名高速道路の全面開通など重要な目標設定がされていることで新しい価値観ができる時代になってくる。特にオリンピックをきっかけに第2の開国になるのではないかとみている。英語教育の進展や日本企業の人材を含めたグローバル化、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の進展、観光立国化など期待できる。またオリンピックとともに実施されるパラリンピックに力を入れることで障害のある方々に対する優しい町づくりに、ひいては高齢者の方々に対する優しい町づくりにつながる。その意味で先進国の高齢化の都市づくりのモデルとなる新しい国づくりに向けた歴史的な年になると考えている。1964年の東京オリンピック、東海道新幹線開業が戦後日本の大きな経済発展への転機となったように2020年が新しい日本の起点になると確信している。

■投資家に大きな変化を気づいてもらう

新ファンドはここでの大きな変化を取るということを、ファンドを購入していただくことで、気づいてもらう、あるいは体感してもらうということを目指したい。それを2020年になって気づくのではなく、それに向けて気づいてもらうために、頑張っている人や企業に当社のセミナーに登場していただく予定だ。単にファンドを購入していただいて、値上がりを狙うのではなく、ファンドに投資することで変化を担う企業や人の想いを体感し、共感してもらったりする場も作っていきたいとも思っている。

■投資対象選定のポイント

投資対象選定のポイントとしては、定量評価として、株価の割安度(PER、PBR=株価純資産倍率、配当など)や収益力の変化と持続性など(ROEなど)。定性評価としては、マネジメントの変化(経営方針、経営者の交代など)、外部環境の大きな変化(業界再編、競争力など)、投資テーマ(時代の潮流、生活者の視点、わくわく感や共感など)などとなる。

■糸島チーフポートフォリオマネジャーが全権運用

運用は、当社のチーフポートフォリオマネジャーの糸島孝俊が全権を持って運用することが特徴だ。糸島は、過去に2004年、日本株アクティブ・ファンド(愛称:凄腕)で外部機関から最優秀ファンドをW受賞など数多くの賞を受賞。いくつかの運用会社を経て当社の理念に共感して2013年に2月に入社した。

また純資産総額に応じて当社が受け取る信託報酬の一部をパラリンピック関連に寄付する。純資産総額の平残が20億円以上で信託報酬の1%程度、200億円以上で同1.5%程度、2,000億円以上で同2.0%程度寄付する。

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