アクセス困難なフロンティア諸国に分散投資 HSBC投信「HSBCニューフロンティア株式オープン」新規設定

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フロンティア市場の株価は「7つのC」で適正価格を目指す

HSBCグローバル・アセット・マネジメント(UK)
ダイレクター、シニア・プロダクト・スペシャリスト デイビッド・ウィッカム氏

デイビッド・ウィッカム氏

デイビッド・ウィッカム氏

HSBC投信は12日、フロンティア市場の株式などに投資する公募投信「HSBCニューフロンティア株式オープン」を新規設定した。フロンティア市場とは「先進国と新興国に含まれない国すべて」で、アラブ首長国連邦、カタール首長国、ナイジェリア連邦共和国、フィリピン共和国など150カ国を超える広範なエリアを指す。同市場の魅力「7つのC」を、HSBCグループでフロンティア・マーケットの責任者を務めるデイビッド・ウィッカム氏が語った。

(1)広範なユニバース(Comprehensive Universe)

フロンティア市場にはベトナムのような共産主義国家もあれば、カタールのように1人当たりGDP(国内総生産)15万米ドルの豊かな国まで、幅広いユニバースが存在する。定義上は「世界196カ国から先進国24カ国と新興23カ国・地域を除いたすべて」。企業数は3,000社以上存在する。

そんな広範なユニバースを擁するマーケットでありながら、投資対象としては誕生間もないことで、現状は地場の機関投資家あるいは個人のみが参加する閉じられた投資環境となっている。主要金融機関のアナリストによるカバレッジも限定的。グローバルな機関投資家が参加する新興国市場とは全く異なる性質を持つ。

(2)変化(Change)

フロンティア市場はビジネスや経済活動に不可欠な諸制度が未整備、未発達という特徴を持つ。裏を返せば、今後は商品・サービス市場、資本市場、労働市場、法制度などの基礎的インフラの不備を“わずかに”改善するだけで、労働生産性の大幅な改善につながり、中長期的には高いリターンの獲得が可能と考える。例えばスリランカでは25年続いた内戦が2009年に終結。その後は政府がインフラ投資を行うなどした結果、現在ではフロンティア市場屈指の高リターンを生み出している。

(3)消費者(Consumers)

フロンティア諸国の多くでは、いわゆる「人口ボーナス」が出現し、若年層の拡大に伴う消費の拡大が期待されている。フロンティア市場の年齢の中央値は26歳で、新興国の36歳、先進国の41歳を大きく下回る。

足元では携帯電話の普及が顕著だ。固定電話などの既存インフラが存在しないこともあり、その普及速度は新興国を上回る。そのインパクトも大きく、携帯電話の所有者が10人増えれば、1人当たりGDPが0.59%増加するとのデータも。

所得向上に伴い、消費財を扱う企業はもちろんのこと、ライフスタイルの変化でニーズが創造される「代替品・サービス」を提供する会社にも、大きなビジネスチャンスが訪れるだろう。例えばLLC(格安航空会社)。島国フィリピンでは現在、年間2,000万便のフェリーが就航するが、今後は早くて快適な飛行機に取って代わることが想定される。

(4)豊富な天然資源(Commodity wealth)

中東のGCC(湾岸協力会議)加盟国をはじめとするフロンティア諸国の多くは世界的に需要の大きな天然資源に恵まれ、政府の対外信用力は高い。生産を増やせば収入も増える状態にあり、近年は豊富な資金をさまざまな分野に投資することで産業構造の多様化にも注力している。

結果、通説と異なり、フロンティア諸国の株価とコモディティ価格の相関性は高くない。5年間の週次リターンを用いて計算すると、北海ブレント原油価格との相関係数は、先進国0.56、新興国0.47に対して、フロンティア諸国は0.37にとどまる。国別に見ても、カタール0.31、UAE(アラブ首長国連邦)0.34など、おおよその産油国は0.5以下に収まっている。

(5)相関性が比較的に低い(Correlations)

fig1フロンティア株式市場はボラティリティが高いとの印象を持たれがちだが、むしろ先進国、新興国よりも低い。株価のボラティリティの推移(年率、12カ月移動平均)を見ると、足元では先進国11.2%、新興国15.3%に対して、フロンティア諸国は9.7%にとどまる。

加えてフロンティア諸国間の相関性も低い。先進国と新興国の相関係数が0.85なのに対して、ともに産油国のUAEとナイジェリアの相関係数は0.12にとどまるなど、多くの組み合わせで0.5以下となっている。

先述した通り、フロンティア市場のマーケット参加者は地場が主体。彼らは米国の量的金融緩和の出口政策よりも、地元で起きている事象の方に興味を抱く。そもそも、フロンティア市場に投資された欧米の投資ファンドの残高は3億米ドル程度と、新興国市場に投資されている8,800億米ドルと比べて流出する資金自体が少ない。

(6)配当利回り(Cash returns)

fig2実績配当利回りの推移(12カ月移動平均)を見ると、フロンティア諸国の株式は足元で年率3.9%と、先進国2.5%、新興国2.7%を大きく上回る。年次ベースでも、09-12年の実績配当利回りはフロンティア諸国が4-5%なのに対して、先進国、新興国とも2%台にとどまる。ちなみにフロンティア諸国の企業は上場歴こそ浅いが、創業40-50年ほどの歴史ある会社も少なくない。

(7)割安度(Cheap)

実績ベースのPBR(株価純資産倍率)は1.6倍、ROE(自己資本利益率)は12.9%。先進国はそれぞれ2倍、12%で、フロンティア諸国の方が割安な水準ながらも収益力が高い。

「HSBCニューフロンティア株式オープン」概要

独自のファンダメンタルズ分析で割安と判断される銘柄を中心に、60-80銘柄ほどからなるポートフォリオを構築。独自ベンチマークを上回る運用成果を目指す。9月末現在ではUAEが14.4%、カタール14%と中東・北アフリカのウエートが高く、全体の48.8%と約5割を占める。

独自ベンチマークで分散効果を最大化

情報が少なくアクセスが困難なフロンティア市場。政治や治安にも問題を抱える。そこでフロンティア市場へ5年以上の投資実績を持つ当社は、分散投資でリスク低減を図るべく、独自のベンチマークを採用している。ETF(上場投信)などにも利用される最も一般的な「MSCIフロンティア・マーケット100」は構成国数が19で、うち4カ国がGCC加盟国。この4カ国のウエートが全体の63%を占める上に、内27%がクウェートと、非常に偏った指標となっている。対して当社の「MSCIフロンティア・エマージング・マーケット・キャップト・インデックス」の構成国数は30(※)、GCC加盟国のウエートは33%にとどまる。

※「MSCIフロンティア・エマージング・マーケット・キャップト・インデックス」の構成国はコロンビア、ペルー、アルゼンチン、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、スリランカ、モーリシャス、パキスタン、オマーン、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、レバノン、ヨルダン、エジプト、カザフスタン、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、ブルガリア、クロアチア、スロベニア、エストニア、リトアニア、チュニジア、モロッコ、ナイジェリア、ケニア。ただし、ファンドはアクティブ運用を行っており、これら30カ国に含まれない国を組み入れる場合も。

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