「回復するイタリア」に投資魅力増す カレラアセットマネジメント「イタリア株式ファンド」

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イタリア株式を主要投資対象とする唯一のファンドに

運用部チーフインベストメントオフィサー 塩澤聡氏に聞く

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏 運用は4人体制で

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏
運用は4人体制で

カレラアセットマネジメントは12月17日、「イタリア株式ファンド」を新規設定する。現在、公募株式投信でイタリア株式を主要投資対象とする唯一のファンドなる。同社は昨年7月に公募投資信託の第1号として日本初のニュージーランド株100%のファンド「ニュージーランド株式ファンド」を設定。以来、「スイス株式ファンド」「カレラJリートファンド」(愛称:ナショナルテニス サポーターファンド)、「メキシコ株式ファンド」「オランダ株式ファンド」「カタール・アブダビ株式ファンド」「ロシア株式ファンド」「21世紀東京 日本株式ファンド 愛称:成長への道」と相次いで設定、今回が第9弾となる。このように同社は商品ラインアップでも独自色を貫いている。販売会社は安藤証券、他社からも販売参加の希望があれば受け付ける。当初申し込みは2日から開始。そこで、「イタリア株式ファンド」設定の背景や、同国の経済・株式動向、ファンドの魅力などについて、同社運用部チーフインベストメントオフィサーの塩澤聡氏に聞いた。

■金融環境の変化

金融環境の世界的な変化が、次のステージとして予想される。リーマン・ショックや欧州債務問題などを通じて、日米欧の先進国を中心に世界各国の中央銀行は金融緩和政策を進めてきた。こうした対応策が一定の効果を発揮し、さまざまな問題も最悪期を脱して解決に向かっている。そのため、今後は金融緩和政策が終了することが想定される。その結果、量的金融緩和・超低金利によって新興国に流入したマネーが先進国に引き揚げられると考えられる。

■経済環境は好転へ

次に先進国の経済は米国を中心に回復に向っている。また、ユーロ圏は南欧債務問題による危機が終息し、景気の回復の兆しが表れている。特にイタリアは景況感指数が明確に改善して、GDP(国内総生産)成長率はマイナス圏ながら落ち込み幅が縮小、プラス成長への回復も視野に入ってきた。

金利については、南欧債務危機の影響でイタリアの長期金利は一時7%を超えて大きく上昇したが、危機終息とともに4%台前半へと低下している。欧州債務危機では、いわゆるPIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)と呼ばれる国の中で、イタリア以外の4カ国はEU(欧州連合)からの直接的な資金支援を受けたが、イタリアはそうしたことがなく、ほかの国とは一線を画している。イタリアのクレジット・リスクを表す、ドイツ国債との金利スプレッドは信頼の回復とともに着実に縮小している。こうした金利低下はイタリア経済の回復に寄与すると予想される。

■イタリア産業の独自性

イタリア産業の特徴として「Made in ITALY」の高品質が挙げられる。優れたデザイン性・ハイレベルな機能に支えられた高いブランド力が、国際競争力の強さにつながっている。一例を挙げれば、フェラガモやプラダなどの高級ファッションブランドやフェラーリやマセラティという高級車ブランドがあり、関連する上場企業も複数存在する。

また、中小企業のプレゼンスの高さも特徴の1つで、伝統を受け継いだ高付加価値産業を形成している。この背景は、都市国家の歴史を受け継ぎ、各地域が伝統や文化を重視した職人による伝統工業が発達したことがある。中小企業による機動性の高い経営や柔軟なネットワークによって、大量生産による価格競争力ではなく、少量生産による高付加価値の競争力が産業構造上の強みとなっている。地域的には、こうした特徴を持つフィレンツェなどの都市は、近代工業の北部・農業の南部に対して、「第3のイタリア」と呼ばれて持続的成長可能な都市政策の見本となっている。

イタリアは、観光地としての魅力も高く、外国人旅行者の受入数ランキングで世界第5位だ。自然遺産・文化遺産合わせて登録数世界一の世界遺産などの魅力的な観光資源を有している。

農業では、地中海性気候を生かして、ぶとうとオリーブは生産量世界第2位を誇り、ワインやバルサミコ酢などのブランド力のある加工品を生産している。上場企業にもダヴィデ・カンパリという国際的な飲料メーカーがある。イタリアはスローフード発祥の地でもあり、有機食品市場規模・有機農業面積とも世界第6位の有機農業先進国。また、国連食糧農業機関(FAO)などの食糧関連の国際機関がミラノの本部を設置しており、農業と観光がコラボしたアグリツーリズモの先導国でもある。

■改善する財政

イタリアの財政面についてもほかの多くのユーロ圏諸国と異なって、プライマリー収支がプラスで、フロー面で改善している。対外面では、貿易収支・経常収支ともに黒字基調を維持している。

EUの将来像の財政統合への道のりも一歩一歩進んでいる。まずは、欧州の銀行セクターの規制・監督制度を一元化する銀行同盟でECB(欧州中銀)が各国主要銀行などを直接監督する単一監督制度の下で、2014年に銀行の資産査定やストレステストが実施される予定だ。

■株式・為替市場の動向

株式市場は、金融(31.0%)・エネルギー(21.2%)セクターのウエートが高く、一方、電気通信サービス(2.8%)・生活必需品(2.1%)・ヘルスケア(1.4%)のディフェンシブ・セクターのウエートが低いことが特徴(数値は11月8日現在)。先進国の株式市場の中では比較的ボラティリティの高いマーケットだ。

企業業績は、利益予想が2013年から2015年にかけて大幅な増益が予想され、予想ROE(自己資本利益率)も大きく改善する。リーマン・ショックや欧州債務危機前と比較するとさらに改善する余地が残されている。バリュエーションもPBR(株価純資産倍率)で1倍割れと割安な水準にある。

イタリア株価指数は、2012年をボトムに回復してきているが、過去のレンジの中では低水準で、ほかの先進国株式市場と比較してもキャッチアップの余地がある。

為替市場では、ユーロが欧州債務問題の終息により対米ドルで緩やかに上昇、円安の影響も加わって対円では140円近くまで上昇してきている。

このようにイタリアの中長期的な経済見通しを通じて、株式・為替価値が上昇することが期待されている。

■運用体制

これまでと同じく、当ファンドの運用体制は4人。私がチーフインベストメントオフィサーを務め、サブファンドマネージャーは運用部長の児嶋竜三、チーフトレーダーは参事の宮元勉、アシスタントファンドマネージャーは上原愛がそれぞれ担当する。

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