「ワールド・リート・オープン(資産成長型)」(愛称:ワールド・リートN)  国際投信投資顧問

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NISAなどトータルリターンを期待する投資家向けに

八木孝幸氏

八木孝幸氏

シニアポートフォリオマネージャー 八木孝幸氏に聞く

国際投信投資顧問は12月11日、世界各国のREIT(不動産投資信託)に分散投資する「ワールド・リート・オープン(資産成長型)」(愛称:ワールド・リートN)を設定する。これは、2014年1月にスタートするNISA(少額投資非課税制度)向けファンドラインアップ「Nシリーズ」の1つ。同社のシニアポートフォリオマネージャーの八木孝幸氏に新ファンドの特徴などを聞いた。

■設定の背景

「NISA開始にあたり、NISAに適したファンドとは何かを考えた結果、(1)誰もが理解しやすい投資対象と運用手法、(2)資産価値の中長期的な成長により、税制優遇メリットの享受が期待できる、(3)中長期的に複利効果を生かすことができるような分配方針を有する――の3点を備えたファンドとの結論に至った」

設定来の基準価額、および、課税前分配金再投資換算基準価額の推移

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「NISAをきっかけに投資を始める投資家のことも考えると、全くの新しいファンドよりも、運用実績があり知名度の高いファンドの方が、商品性やリターンやリスクなどの過去実績を、投資家自身の投資判断に生かしていただけるのではないかと考えた。こうした考えの下、当社はNISAの開始に向けて、既存ファンドから実績のあるものを『Nシリーズ』として再度設定する取り組みを進めており、『ワールド・リート・オープン(資産成長型』はNシリーズとしては5本目となる。この新ファンドは、2004年7月に設定した「ワールド・リート・オープン(毎月決算型)」の非分配志向型と位置付けられ、NISAで複利効果を生かせるよう分配金を極力支払わないことが最大の特徴といえる(※ワールド・リート・オープンの毎月決算型を複利で運用したケースの基準価額推移は、表の太線を参照)」

■新ファンドの特徴

「新ファンド『ワールド・リート・オープン(資産成長型)』は、既存ファンド『ワールド・リート・オープン(毎月決算型)』と同じマザーファンドに投資する。どちらも、日本を含めた世界の不動産に投資したいという投資家ニーズにマッチする商品だが、両者は『決算頻度』と『分配方針』が異なる。具体的には、既存ファンドは毎月決算・毎月分配型。一方、新ファンドは決算が年1回(12月10日)、分配も年1回で、分配金の支払いを極力抑えてリターンを積み上げていくタイプとなる」

「NISAの非課税枠(年100万円・5年間)を前提にすると、分配金を定期的に受け取るよりも、期中の利益を極力留保した方が、複利効果分を含めて、より大きな非課税メリットを享受することができる。新ファンドは、分配を抑えてリターンを積み上げていくタイプのため、長い目でトータルリターンを期待する投資家に向いており、NISA口座の利用者はもちろんのこと、通常口座においても中長期のリターンの最大化を目的とする投資家に向いている」

「顧客資金をお預かりする者の目線では、資金流入、もしくは、資金流出が続くと運用しにくくなるものだが、毎月決算型などの既存ファンドに加え、新ファンドが設定されることで、タイプの異なる多様な資金がマザーファンドに入り、より安定した運用が可能になると一般論ではいえる」

■マザーファンドの特徴

「日本を含めた世界のREITを投資対象としている。運用は、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント・グループ(MSIM)が行う。MSIMは、グローバル総合金融機関のモルガン・スタンレー・グループの資産運用部門で、REIT運用において大手の資産運用グループの1つ。ポートフォリオの構築は、トップダウンで国や地域、セクター配分などを決定し、ボトムアップで個別銘柄を選択するという、2つの運用手法の融合によって行われている」

「MSIMの主要な運用メンバーは、実物不動産関連ビジネスにかかわる経験を有するとともに、投資銀行グループならではの証券分析力も兼ね備えている。この点において実物不動産分析、証券分析のいずれかにバイアスがかかっている運用会社に対する優位性を有している。また、MSIMはロンドン、米国、シンガポールに拠点を設置し、それぞれの地域での投資環境などをディスカッションし、共通の目線で分析を行っている。実物不動産市場の状況は地域によって状況が全く異なるだけに、地元密着で分析している点も大きな強みといえる」

■マザーファンドの銘柄売買基準

「保有資産価値をベースに新規プロジェクトのパイプライン、借り入れ条件などを考慮したNAV(純資産価値)に対するREIT価格の割安度合いを重視する。加えて、配当利回りを考慮しポートフォリオを組んでいる」

■マザーファンドのポートフォリオ

「13年10月31日現在で、国・地域別組み入れ比率は、アメリカの57.5%を筆頭に、オーストラリア15.0%、イギリス5.8%、シンガポール4.8%、フランス4.6%、カナダ4.5%と続く。業種別の組み入れ上位は、小売り(ショッピングセンターなど)が29.1%、複合(複数の物件タイプに投資)26.1%、ヘルスケア(病院、看護施設など)13.0%、オフィスビル9.6%、住宅(賃貸マンションなど)7.6%となっている」

■地域別市場見通し――米国

「米REIT市場は、物件取得による外部成長に加えて、実体経済の回復などを背景に、今後も安定成長が見込まれる。5―8月にテーパリング(量的緩和縮小)懸念から調整したことで、足元では過熱感のない水準となっている。FRB(米連邦準備制度理事会)は景気改善を確認した上で行う量的緩和縮小に踏み切る意向を持っているとみられ、量的緩和縮小によるネガティブインパクトは限定的とみている。単に投資家心理の冷え込みが原因で下げたところは割安感が高まるため投資チャンスになるといえる」

■地域別市場見通し――欧州

「欧州REIT市場は、債務問題などが頻発し出遅れていた。ここだいぶ回復してきたが、他市場に比べまだ出遅れ感がある。欧州実体経済も明るさが見えてきており、着実に良くなってきている。また、金融緩和方向にあるため、これから注目されることが多くなってくるマーケットとみている」

「セクター別では、ショッピングセンターが良いとみている。一方でオフィスは、まだまだ企業が積極拡大にかじを切っているわけではないため、引き続きさえない展開が続いているが、新築供給が限られており、需給は低位安定推移が見込まれる」

■地域別市場見通し――アジア・オセアニア

「マザーファンドで米国の次に投資比率の高いオーストラリアのREIT市場は、利下げ効果が不動産価格に十分に織り込まれておらず、上値余地が大きいとみている。一時は、国外からの投資が縮小するとの見方も出たが、相応の利回りが見込まれる国のため、引き続き注目される」

「香港およびシンガポールのREIT市場は、小売りセクターが中心になっている。ここ数カ月は米金融緩和縮小懸念と金利上昇から、資金引き揚げが懸念されてさえなかったが、足元ではだいぶ落ち着いてきている。小売りセクターが多いため、中国の経済動向に引っ張られる傾向があるが、中国のハードランディング懸念は後退している。また、中国の経済成長がスローダウンするとはいえ、成長率そのものは先進国に比べ非常に高い水準を維持する見通し。本土から香港への買い物客の消費は依然旺盛であり、期待が持てる状況にある」

■地域別市場見通し――日本>

「日本のREIT市場は、アベノミクス効果で上昇した後、いったん小休止となったが、9月以降はオリンピック開催地決定で相場は復活。足元は将来の成長をだいぶ織り込んだ水準になっている。このためMSIMのチームは日本のREITについて慎重に見ており、地域別構成比率にそのスタンスが表れているが、外部環境などを踏まえると、市場は大崩れせずに堅調に推移するだろう」

■投資家へのメッセージ

「REITは、家賃収入、つまり、キャッシュフローが着実に入る。金融市場の変動に伴い短期的に価格変動が生じることがあるが、長く保有することで短期的な価格変動を吸収し、リターンが安定的に成長する傾向がある。また、資産の裏付けがあるため、解散価値などによる下支え効果も発揮しやすい。中長期の資産形成を目的とする場合、分配を極力抑えてリターンを再投資し、複利効果の獲得を図る当ファンドの投資手法は、合理的といえるのではないか」

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