「G―SIFIs」をベースに直利の高い銘柄を選別・投資 キャピタル アセットマネジメント

個 別


投信の原点に戻って投資家が安心できる商品提供

「CAM優先出資証券ファンド 積立型(為替ヘッジあり)」
「CAM優先出資証券ファンド 積立型(為替ヘッジなし)」

田中英治氏 後藤昌宏氏

田中英治氏            後藤昌宏氏

運用本部部長 田中英治氏
トレーダー室長 後藤昌宏氏に聞く

キャピタル アセットマネジメントは、10月30日に「CAM優先出資証券ファンド積立型(為替ヘッジあり)」「CAM優先出資証券ファンド積立型(為替ヘッジなし)」を設定した。優先出資証券や劣後債などを投資対象にしたファンドは、安定運用商品として最近人気を呼んでいる。同社はベトナムやフィリピン、エジプト、ASEAN(東南アジア諸国連合)といった成長力のあるアジアやアフリカの国々・地域の株式を主要な投資対象とした独自のファンドの設定・運用に強みを持っているが、優先出資証券を投資対象にしたファンドも設定・運用を行っている。一般的にはまだ聞き慣れない優先出資証券とは何か。同ファンドの設定の狙いや特徴、魅力などについて、同社運用本部部長の田中英治氏とトレーダー室長の後藤昌宏氏に聞いた。

■ファンド設定の狙い

当社は、今年4月に優先出資証券を対象にした公募投信を合計4本設定・運用を開始している。為替ヘッジのある「CAM優先出資証券ファンド(為替ヘッジあり)」と、通貨選択型の「CAM優先出資証券ファンド 通貨選択型(米ドルコース)」「CAM優先出資証券ファンド 通貨選択型(ユーロコース)」「CAM優先出資証券ファンド 通貨選択型(スイスフランコース)」の4本だ。優先出資証券を投資対象にする投資信託については、当社が公募として提供するのは今年4月が初めてだが、同じコンセプトによる私募形式でのファンドは既に2010年から運用を行っている。投資信託の原点に戻って、投資家の方々が安心して投資ができる対象・運用を求めている中で、きちんと説明ができ、投資魅力のある商品を提供するには優先出資証券が活用できるのではないか、と当社は考えた。私募形式で優先出資証券を投資対象にしたファンドを運用してきたことにより、投資対象としての銘柄(優先出資証券など)の見極めや調達などのノウハウの蓄積ができている。その意味で十分に一般の投資家の方々の期待に応えられる実績や自信を持っていることが、今年に入って公募での優先出資証券を組み入れたファンドの投入につながったといえる。

さらに、今回、「CAM優先出資証券ファンド 積立型(為替ヘッジあり)」「CAM優先出資証券ファンド 積立型(為替ヘッジなし)」を立ち上げた。今回の新ファンドは、4月に設定したファンドと同じ「優先出資証券マザーファンド」への投資を通じて運用されている。そこで4月設定ファンドの運用実績を紹介しながら新ファンドの特徴をまず説明したい。

■投資対象の優先出資証券とは

投資対象の優先出資証券は、金融機関が自己資本を増強するために発行する資本証券で、優先株式に近い性格を持ち、議決権がない一方で、配当請求権、残余財産分配請求権は普通株式に優先する。配当率は予め決められており、一定期間(5―10年)は固定配当、それ以降は変動配当となる。償還期限はないが、発行体コール(発行体の任意による期限前償還条項)が付いているのが特徴だ。

当ファンドの投資対象となるのは、国内外の主要金融機関が発行したユーロ建てと米ドル建ての優先出資証券、劣後債の中から、「A-」以上の発行体(または保証体)格付けを有しているものに限られている。金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)が定めるシステム上重要と見なされ、自己資本比率の上積みを求められる「大きくてつぶせない」銀行28行(※)を「G―SIFIs(Global Systemically Important Financial Institutions)」というが、これら銀行が国内外の主要金融機関のベースとなっている。この条件の下で相対的に高い利回りが期待できる銘柄を選別し調達してくるのが運用担当者の腕の見せどころとなり、いったん組み入れればバイ&ホールドが基本のスタンスだ。(※FSBによる定期見直しにより、2013年11月11日から29行に変更)

■「優先出資証券マザーファンド」のパフォーマンスとポートフォリオ

4月に設定・運用を開始した「優先出資証券マザーファンド」のパフォーマンスは10月末現在、設定来11.8%の上昇と安定した運用を示している。

ポートフォリオを見ると、発行体の国籍別構成は、イギリスが55.5%、ドイツが38.8%、フランスが5.7%と欧州の銀行に限定されている。組み入れられているのは欧州の銀行の優先出資証券だけだが、米国の銀行を組み入れないということではない。また、日本の銀行も投資対象にはなっているが、当ファンドの基本コンセプトとして、クーポンと価格から計算した直接利回りができるだけ高いものを選びたいということがあり、その観点から現在は欧州の銀行が組み入れられている。アメリカの銀行の優先出資証券の流通価格に比べ、欧州の銀行は不透明さがあって価格が相対的に低かったようだ。この結果として、「CAM優先出資証券ファンド(為替ヘッジあり)」の10月末現在のポートフォリオの発行体国別構成となっている。組入銘柄上位5銘柄は、ドイツ銀行1銘柄、バークレイズ銀行が3銘柄、HSBC銀行が1銘柄で、この5銘柄の組入比率は全体の93.8%を占めている。

通貨構成では米ドルが53.3%、ユーロが46.7%となっている。また、格付け別構成では、「A+」が14.4%、「A」が38.8%、「A-」が46.8%。

なお、「CAM優先出資証券ファンド(為替ヘッジあり)」「CAM優先出資証券ファンド 通貨選択型」3コースは10月15日に第1期の決算を迎え、いずれも400円(1万口当たり、税引き前)の分配を行った。

■ファンドに適した投資家層は

当ファンドは、投資の初心者に近い方よりも、むしろ投資信託などでこれまでいろいろな投資を経験し、優先出資証券のきちんとした商品性の説明を聞いて、その魅力と希少性を理解していただいた方々に投資していただいている。今回「積立型」としたのは、こうした安定運用商品だからこそ、コンスタントに積み立てをしたいとのニーズを受けたものだ。しかも、コツコツとは言いながらも、投資信託の一般的な投資単位の1万円以上1円単位ではなく、当ファンドの販売単位を30万円以上1円単位として、比較的まとまった資金を積み立てできるような、しっかりした投資知識と資産をお持ちの方々が利用し得る積立型があってもいいのではないか、ということで設計を考えたものだ。

また、4月に設定したファンドと今回の積立型は、同じマザーファンドを使うことで運用面では全く同じだが、販売単位のほかに、購入・換金ができる頻度が異なる。4月設定ファンドは、販売単位が300万円以上1円単位で、購入は「為替ヘッジあり」が月2回、換金は月1回のみ、「通貨選択型」が購入・換金ともに月1回のみ。これに対して、今回の積立型は、一般のオープン型投信と同じく購入・換金ともに毎日申し込みができる。

■今後の展開

優先出資証券のマーケット規模はそれなりに大きいが、自己資本増強の手段として重要な役割を担ってきたという経緯があるだけに、金融機関の財務基盤が落ち着けば、優先出資証券の新発債の発行が継続するというものではない。また、新発債に限らず、既存の銘柄についても発行体コール(発行体の任意による期限前償還条項)がかかる可能性もあり、銘柄の組み入れについては、事前に周到な準備をしておく必要がある。

キャピタル アセットマネジメントでは、現時点において価格やクーポン、流通量などの点でファンドに組み入れるのに適した投資妙味のある銘柄の確保に日々取り組むと同時に、将来の運用の継続性や商品魅力の持続性をしっかりと見据えて運用に臨んでいる。

戻る