パインブリッジ・インベストメンツ「単位型バンク・キャピタル証券ファンド」

個 別


商品性評価で販売シリーズ化の動き

杉浦和也氏

杉浦和也氏

代表取締役社長 杉浦和也氏に聞く

パインブリッジ・インベストメンツが提供する、ジャパン・バンク・キャピタル証券(同社の造語、日本の金融機関が発行した期限付劣後債、永久劣後債、優先出資証券)に投資を行うファンドシリーズは、2009年の設定・運用開始以来、安定した運用実績と魅力的な分配金水準が評価され、販売会社は約20社の金融機関に拡大している。13年6月27日に同シリーズの純資産総額が1,000億円を超えた。このタイプのファンドでは、同社が先駆的な役割を果たしている。さらに同社は今年に入ってオーストラリアの金融機関のバンク・キャピタル証券に投資するファンドの設定に踏み切っている。同社代表取締役社長の杉浦和也氏にバンク・キャピタル証券ファンドシリーズの現状と今後の展開などを聞いた。

■経緯と実績

当社が初めてジャパン・バンク・キャピタル証券ファンドを投入したのは09年7月で、2本の公募ファンドを設定し、合計200億円強の販売があった。リーマン・ショック後のマーケットのゆがみを利用したタイミング投資で購入していただけるようにお届けしたが、その後、マーケットが次第に標準的な水準に戻り、投資家の関心も変化を見せた。11年秋から12年の春にかけて、特に地方銀行の投信販売拡大を目的に当社が考えたのは原点回帰だった。地方銀行のお客さまは預貯金の代替として投信を買っていただいているケースが多く、預貯金の代替として買っていただくファンドとしては、満期が必要であること、どなたでも1万円から購入できる点をもとに単位型投資信託のスキームがお客さまに適しているのではないかと考えた。当社は、貯蓄代替商品として、09年に設定したバンク・キャピタル証券のファンドにもう一度スポットを当てて、これを少し仕立て直し、12年3、4月から、これまで取引関係にあった地方銀行に持ち込んだところ、こうした商品へのニーズが共通してあることが認識された。12年6月を皮切りに13年9月までで延べ25ファンドを設定している。純資産額はシリーズ累計で1,000億円を突破した。それなりに大きな印象を投信会社、販売会社、投資家の方々など各方面に与えたと考えている。

■シリーズ化に特徴

当ファンドについて、販売会社の地方銀行は一回の販売だけでなく、ある地方銀行は、例えば、昨年12月、今年3、6、9月と販売していただいているが、このようにシリーズ型で取り上げていただいているケースが多く、当ファンドの非常に特徴のある点であると思う。単位型商品は、投信販売の補完である。追加型という主流があって、何らかのインパクト、ボーナス商品や期末などでセールス活動をより強化したいという時に単位型商品は採用されるケースが多い。当ファンドの場合、例えば、3カ月に1回とか、4カ月1回とか、半年に1回とか、販売会社によって異なるが、1回販売していただくとリピートする傾向のある商品で、これまでシリーズで4回販売していただいた販売会社は3社もある。当ファンドの商品性の良さというものをご理解していただいた結果といえる。

■バンク・キャピタル証券を投資対象にしたのは

当ファンドの投資対象としているバンク・キャピタル証券は、当社が作った言葉で、一般的な定義を持ったものではない。株式と債券の中間的な証券で、ハイブリッド証券という言い方もされるが、バンク・キャピタル証券はこれとほぼ同意義語と理解していただきたい。期限付劣後債、永久劣後債、優先出資証券などを指すが、金融機関のBIS(国際決済銀行)規制に合わせて自己資本比率を高める目的で発行しており、形態としては限りなく債券に近いが、発行している金融機関からすれば資本の一部ということでハイブリッド証券という位置付けになっている。投資家にとっては債券、発行体にとっては資本と位置付けられることで、需給関係が整ってきた。もっとも、都合の良いことばかりではない。発行体にとってはコストが高い。つまりクーポン(表面利率)が高い。投資家にニーズはある一方で、金融機関にとっては発行コストが高いということになることで、短期的に自己資本比率を高める目的がないと、頻繁に積極的な発行するということはない。株式で発行すると利益が希薄化する、債券であれば自己資本が低くなってしまうなどの問題点があり、うまくバランスを取るためには多少資本のコストが高くとも使い勝手の良い証券という位置付けがある。投資家にとっては、一般の債券の方が発行の責務が明確なので良いが、バンク・キャピタル証券は債券に非常に似ている。額面で発行され、額面で償還される。期間中、あらかじめ定められた配当が受け取れるという仕組みが債券のストラクチャーそのものだ。ただし、資本の一部であるから3年や5年や7年で返してもらったら資本の一部とは言えないことで、無期限で発行されているものが多い。しかし、債券と同じ作り込みをするために、途中に繰り上げ償還できるという期日を設けているため、償還日が確定していないという割り切りをする必要がある。コストが高いことと、償還日が決まっていないという兼ね合い問題で、各金融機関の自己資本比率が高まってきた現状では、発行体は過去に発行したバンク・キャピタル証券のコストは負担、投資家は早く返してほしいというニーズがうまくかみ合って、事実上償還があるのと同じような形態となっている。ここ最近繰り上げ償還期日を迎えた各銘柄はほぼ確実にその日に償還されてきた。その特性を使って、絶対に償還されるとはなっていないが、現状やこれまでの経緯などさまざまなことを考慮に入れるとかなりの確率で繰り上げ償還されるとの前提で商品を企画している。当ファンドになぜ魅力的な投資機会ができているかというと、その理解が極めて重要なポイントになっている。

■外貨建て債をヘッジして円ベースで提供

当社がもう1つ注目したのは、グローバル金融機関は資金調達を円でするだけでなく、ドルやユーロでも行う。ドルやユーロで発行したものは、5-10年前では金利が非常に高い。ドル建て、ユーロ建てとなっているため、流通している市場のほかの発行されたハイブリッド証券などと比較すると、ある程度魅力的な利回りにしておかないと投資家が需要を求めてくれないため、利回りが相対的に高い。その利回りをとらえて為替をヘッジして、実質円ベースで投資家の方々にお届けすることが、当ファンドのもう1つの魅力となっているところだ。投資家にとってはやや扱いにくいとされるバンク・キャピタル証券をうまくとらえて、むしろ投資家にとってメリットのある投資対象と位置付けた。外貨建てで発行されているという仕組みをうまく使って、実質円建てに引き直して、投資家に円ベースでお返ししているので、円ベースでの運用難にある投資家にはそこが重視されている。日本のメガバンクが発行体とあって信用力も問題ない。しかも過去は繰り上げ償還日に償還されてきたという事実もあって、償還されれば、額面で償還されることで価格変動リスクは限られる。となれば、利回り商品と同じであり、社債や短期債を購入している感覚とほぼ同じだ。預貯金代替商品や、個人向け国債や社債の代替となっている。そういう位置付けだ。当ファンドの期待利回りは1.5-2%程度のものだが、運用期間が3、4年で、実質円で投資できる商品に対するニーズはかなり奥行きが深いと思う。販売会社のお話を聞くと、当ファンドを購入された方は、初めて投資信託を購入した方が多い。当ファンドのように、ある程度将来を見通せる商品性格のファンドであれば、1.5-2%程度の利回り商品でも投資家はご理解・ご志向していただけるということが実証できたという意味では大きな前進ではないかと考えている。

■バンク・キャピタル証券、日本からオーストラリアへ

一連のバンク・キャピタル証券ファンドシリーズはほとんどの償還日が17年2月24日になっている。それに伴いファンドの設定日が最新なものになるほど信託期間が短くなる。債券も年限が短くなるほど、利回りは低下していくことで、金利は思ったほど出なくなっていく。そこで似たような投資対象を、日本の投資家の方々が受け入れていただける海外に求められないかを調査し、さまざまな検証結果よって出てきたのがオーストラリア。発行体が日本の銀行からオーストラリアの銀行に変わっただけで、商品の中身は全く変わりない。また、年限が17年2月14日から19年1月18日へと約2年伸びたのがポイントだ。年限が長期化したことで期待利回りは高くなる。今後、当社はこのシリーズで積極展開していく予定だ。日本のバンク・キャピタル証券を投資対象にしたファンドを販売していた地方銀行のほとんどには既にオーストラリアのバンク・キャピタル証券を投資対象にしたファンドを販売していただいている。これまでの日本のバンク・キャピタル証券を投資対象にしたファンドから同一延長線上に商品を理解していただけるということになる。

■NISA向け商品としてさらにアピール

当ファンドはNISA(少額投資非課税制度)向けにも力を入れていきたい。新しいオーストラリアのバンク・キャピタル証券を投資対象にしたファンドの信託期間について、なぜ5年6カ月にしているかといえば、NISA向けに5年間のファンドを作りたいというところからきている。NISAは来年1月からスタートだが、単位型ファンドの用意は年内から可能なので、12月からNISA向けにこうしたファンドを投入していきたいと考えている。NISA向けは投資初心者の開拓が重要になるとみているが、5年後に元本ロスが少ないことが絶対条件と考えている。100万円が105万円になったり、110万円になったりする感覚が必要。非課税は益に対して非課税なわけで、損に対しては今も非課税だ。益が出ないことには非課税制度をうまく使えないということを考えると投資経験の少ない、これから投資を勉強する方々にとってはこうしたタイプの商品が絶対必要だと考えている。この点は強くアピールしていきたい。

戻る