アベノミクスの果実獲得狙う 入替実施で“進化するファンド” 三井住友アセットマネジメント 

個 別


「日本再興戦略株式ファンド(早期償還条項あり)/(早期償還条項なし)<愛称:東京音頭>」
9月5日設定

シニアファンドマネージャー・中嶋修氏 投信営業第四部長・木藤泰子氏

シニアファンドマネージャー・中嶋修氏
投信営業第四部長・木藤泰子氏

シニアファンドマネージャー・中嶋修氏
投信営業第四部長・木藤泰子氏に聞く

三井住友アセットマネジメントは9月5日、“第3の矢”成長戦略から恩恵を受けるとみられる銘柄に投資する、「日本再興戦略株式ファンド(早期償還条項あり)/(早期償還条項なし)」を設定する(販売は、SMBC日興証券と三井住友銀行)。このファンドの特色や魅力などについて、中嶋修シニアファンドマネージャーと木藤泰子投信営業第四部長に話を聞いた。

–そもそもファンドのテーマとして「成長戦略」に着目された背景は何か。

中嶋 「国内では20年近くデフレ状態が続いてきたが、これほど長期にわたるデフレは日本だけ。わが国の歴史を振り返っても、近代以降の150年間のうち、これで2度目だ。1920年代から30年代にかけて生じた前回は、当時の高橋是清蔵相がリフレ政策を断行。世界大恐慌後で、日本が真っ先にデフレ脱却に成功している。アベノミクスの模範は『高橋財政』と、安倍晋三首相自ら語っているように、今回も積極的なリフレ政策遂行によって、これからデフレ脱却、そして日本再生が果たされようとしている。第1の矢『大胆な金融緩和』と、第2の矢『機動的な財政政策』によって、デフレ脱却への期待が芽生えてきた今、日本を中長期的な成長へと導く、第3の矢『民間投資を喚起する成長戦略』が、より重要性を増していると言えよう」

–「成長戦略」自体は、過去の政権においても、これまで何度となく打ち出されてきたが…。

中嶋 「従来は、総花的にメニューを羅列しただけのものがほとんどで、成果を挙げてきたとは言い難い。しかし、今回は『成果目標』と『行動計画』を策定している点が大きな違いだ。内容的にも、少子高齢化に伴う労働人口減少の対策として女性の活用を打ち出すなど、よく練られたものになっている。これから9-10月の臨時国会において、具体策もどんどん出てくるはず。安倍首相は、7年前の第1次内閣時とは人が変わったかのようで、リーダーシップをとって、しっかり実行していくことになりそうだ」

–ファンドの販売用資料を見ると、小泉純一郎首相時代の構造改革相場との比較に言及している部分が散見される。

中嶋 「当時と現在では、マクロ経済状況や、需給関係などの相場環境、株価の波動なども非常に似通っている。上昇のキッカケにしても、小泉相場が『りそな銀行への公的資金注入』なら、安倍相場は『衆議院の解散』と、いずれも政治イベントが発端だった。小泉相場では、底値から高値まで131%の上昇を記録しているが、安倍相場は7月末までで57%の上昇にとどまることから、上値余地は大きく、現状では、まだアベノミクス相場の“第1幕”を終えたにすぎないと考えている。2003年4月に始まった小泉相場は、(1)当時の日銀・福井俊彦総裁による量的緩和を背景とした金融相場、(2)業績相場に移行するまでの端境期、(3)大相場を演じた業績相場–の3つの局面に分けられる。結局、デフレ脱却が不完全なまま、日銀が量的緩和やゼロ金利を解除したため相場も失速となったが、現在の黒田・日銀はインフレターゲットを導入しているので、そうした懸念は乏しい。現在は(2)の端境期に相当する。おそらく10月の中間決算発表時には収益予想の上方修正ラッシュが生じ、業績相場移行へのキッカケになるのではないか。来年にかけてアベノミクス効果が、はっきり表れ、景気・企業業績回復を好感して大相場を演じるアベノミクス相場は第2幕が開くことになると考えている」

–具体的な銘柄選定プロセスについて聞きたい。

中嶋 「日本の取引所上場約3,700銘柄の中から、まず信用リスクと流動性リスクを排除すると、1,000程度の投資適格銘柄が残る。このうち、17名の企業調査グループ・アナリストと、ファンドマネージャーが連携して企業調査を行い、成長戦略の3つのアクションプランに関連性の深いと考えられる銘柄を『成長戦略ユニバース』として500-550銘柄程度まで絞り込む。さらに、企業調査活動、ファンダメンタルズ分析の結果を踏まえて議論検討を重ね、成長戦略の恩恵を受けて成長が期待できると判断しした200-250銘柄を組入候補銘柄として厳選していく。最終的な組入銘柄や組入比率の決定は、投資時点のバリュエーションやテクニカル面、売買タイミングなどを勘案し、銘柄分散を図って行われる。もちろん、相場状況や成長戦略の進展具合に応じて、銘柄入れ替えも随時、実施していくことになる」

–ファンドの基準価格が20%上昇すると早期償還されるコースと、「早期償還条項なし」のコースの“2本建て”とした理由は何か。

木藤 「利益確定の水準やタイミングなどを自分で計りたい方には『早期償還条項なし』を、また、株式投資は売り時が難しいため、比較的投資経験の浅い方や相場を毎日見続けるのが難しい方などには『早期償還条項あり』を選んでいただけるよう2つのコースを用意した。成長戦略で掲げられている成果目標の多くは『2020年』が期限とされ、順当にいけば、そのころには成長戦略の成果が誰にも実感され、日本再生を誇れるようになっているだろう。『早期償還条項なし』コースが償還を迎える18年ごろにはファンドの果実も実っているはずだが、投資家の中には、やはり『成長戦略(アベノミクス)』の成功に懐疑的な方や、一方で、成長戦略の果実を早めに手に入れたい方も当然いらっしゃると考えたことが背景だ」

–最近流行の「通貨選択」や「毎月分配」といったコース設定は考えなかったのか。

木藤 「シンプルで分かりやすい商品設計をコンセプトとしたファンドなので、そうしたことは一切考えなかった」

–ちなみに、成長戦略で目標設定された「2020年」といえば、下馬評通りなら、56年ぶりに『東京五輪』が開催される年ということになる。

中嶋 「9月7日のIOC(国際オリンピック協会)総会で決まる開催都市が、必ずしも『東京』になるとは限らないが、もしも実現すれば、日本の復活、再生を見せ付けることのできる機会になるだろう。なお、ファンドを設定する9月(以降)は重要イベントが多く、相場の転機となる可能性があると考えている。前述の五輪開催都市決定のほかにも、安倍首相の参加する5、6日のG20(主要20カ国)首脳会議など盛りだくさん。秋の臨時国会『成長戦略実行国会』では税制改正を含めた成長戦略第2弾が打ち出される見通し。消費税導入の最終決断が下される際には、大型の補正予算案が策定も想定されている。いずれも株式市場にはポジティブに作用する可能性が高いと考えている。そして、アベノミクスの成長戦略が着実な進化をたどっているように、このファンドも、成長戦略に応じてポートフォリオの中身が入れ替わる『常に進化するファンド』となるよう、運用に努めていきたい」

–ファンドの愛称の「東京音頭」の由来は?

木藤 「1964年東京オリンピックのテーマソング『東京五輪音頭』からきている。東京五輪は戦後復興の象徴として、国民に自信を与え、世界にわが国の存在感をアピールし、その後の高度成長、長期株価上昇につながっていった。アベノミクスが同様の効果をもたらし、日本経済の成長、株価上昇へとつながっていくシナリオをイメージして、愛称を『東京音頭』とした」

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