5資産活用で価格変動抑えながら安定収益の獲得目指す 日興アセットマネジメント「スマート・ファイブ(毎月決算型)/(1年決算型)」

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ゆうちょ銀行、NISA向け主力ファンドと位置付け

先山哲也氏

先山哲也氏

資産運用サポート第2部チーフアドバイザー 先山哲也氏に聞く

日興アセットマネジメントが、ゆうちょ銀行の専用ファンドとして新ファンド「スマート・ファイブ(毎月決算型)/(1年決算型)」を設定した。8月5日から販売を開始したゆうちょ銀行では同ファンドを2014年1月からスタートするNISA(少額投資非課税制度)向けの主力ファンドと位置付けており、NISAを機に投資を始める層に積極的に提供していく方針だ。同ファンドの仕組みや魅力などについて日興アセットマネジメント資産運用サポート第2部チーフアドバイザーの先山哲也氏に聞いた。

■3つのポイント

当ファンドの特徴は主に3つある。

1つ目は中長期的に収益が期待できる5つの資産を投資対象とするバランスファンドであるということ。値動きの異なる傾向にある5つの資産、具体的には日本国債、高金利海外債券、グローバル高配当株式、グローバルREIT(不動産投信)、金を組み合わせることで基準価額の変動を抑えながらも、収益の獲得を目指す仕組みだ。

2つ目は資産配分方法。5資産の配分比率は各資産の基準価額への影響度合いが5資産の間でおおむね均等になるような資産配分を行う。海外の年金基金を中心に普及が進む「リスク・パリティ」という運用手法を応用したもので、当ファンドでは、これを「スマート・ファイブ戦略」と呼んでいる。こうすることで基準価額が特定の資産から受ける影響を抑え、基準価額の変動抑制効果を高めることを目指している。

3つ目は投資環境の変化に応じて、5資産の配分比率を定期的に見直すということ。例えば、マーケットが安定していて、日本国債以外の4資産の価格変動が低くなるような局面では、日本国債以外の収益上昇の期待ができる4資産の配分比率を増やす。一方、マーケットが変動して、4資産の価格変動が高まるような局面では、日本国債以外の4資産の配分比率を抑えることでファンド全体のリスクが大きくならないようにする。

特徴の2つ目と3つ目が従来のバランスファンドにはなかった大きなポイントといえる。

■ファンド採用の背景

販売会社であるゆうちょ銀行では、2014年1月からスタートするNISA向けの主力商品との位置付けで当ファンドを採用いただいた。ゆうちょ銀行と郵便局の店頭窓口、ゆうちょ銀行のインターネットサービス「ゆうちょダイレクト」、ゆうちょ銀行の会員制投資信託サービス「ゆうちょ投信WEBプレミア」で8月5日から一斉に取り扱いを開始している。

同行が当ファンドを採用した背景には、NISAにおける3つの制度上の特性がある。

1つ目はNISAの毎年100万円までの非課税枠を使って投資する場合、一度売却してしまうと非課税枠の再利用ができないという点だ。そのため複数の投資信託を組み合わせて保有している投資家が、値上がりしたファンドを一部売却する一方で、値下がりしたファンドを買い増して投資配分を調節する、いわゆる「リバランス」を行うことが難しい。それを解決するには、市場環境に合わせてファンドの中でリバランスをする仕組みがあることが望ましい。

2つ目は課税口座との損益通算ができないという点だ。NISA口座で損失が出ても、課税口座の取引の利益との損益通算はできないため、NISA口座ではなるべく大きな損失を抑える工夫が必要といえる。また、NISAで初めて投資を行うお客さまは大きな損失の可能性を感じてしまうと、投資に二の足を踏んでしまう可能性が高い。この観点からも基準価額の変動幅を抑える必要がある。

3つ目は損失がある状態で非課税期間が終了すると、不利になる可能性があるという点だ。NISAでは、5年間の非課税期間が満了した時に、損失がある状態で課税口座に移すと、取得価格が期間満了時の時価に切り下がってしまう。その後、値上がりして売却すると、利益が出ていると見なされて課税されてしまう。そのため、非課税期間満了時にマイナスになっている可能性が低い、という商品性が求められる。

この3つの条件を満たすような商品性を「スマート・ファイブ」が備えているということで同行と意見の一致を見たわけだ。

このほかにも、NISAではある程度の収益性が見込まれる商品性であることが求められると想定している。NISAはそもそも利益部分に対する税金の優遇であることから、ある程度の利益が出てこないとメリットそのものの絶対額が小さくなってしまう。ある程度の収益性によって非課税のメリットを感じていただきやすい商品性が求められるのではないか。「スマート・ファイブ」は、これらの条件を満たすファンドだと考えている。

■どのようなニーズに合致

NISAでファンドを購入するケースに限らず、資産を少しでも増やしたいが、リスクが心配という多くの投資家のニーズにマッチした商品性と考えている。資産を増やすには将来の値上がりが期待できる資産に投資することが重要だが、一方で、そうした資産には常に、突然、大きく下ブレするというリスクが伴う。万一、運用期間中に大きく下ブレして資産が減ってしまうと、その後の回復に長い期間を要する。安定的に資産を増やすためには資産を大きく減らさないことも極めて重要なポイントとなる。「スマート・ファイブ」なら収益が期待される資産を活用しながらも価格変動を抑えることで、安定的な収益の獲得を目指すことができる。

■過去10年のシミュレーション

各資産とシミュレーションの推移

各資産とシミュレーションの推移(クリックで拡大)

当ファンドの商品性をよりはっきりとイメージしていただくには、「スマート・ファイブ戦略」を使って5資産で運用した場合のシミュレーションで確認いただくのが良い。「スマート・ファイブ戦略」では、各資産のリスク値を毎月末計測して、リスク値の変動によって毎月初旬にリバランスを行って運用している。2002年12月末-2012年12月末の10年間のシミュレーション(各資産はインデックスを使用、リスク値は「スマート・ファイブ戦略」が採用しているリスク値の計算と同一手法で算出)を行ってみると、いくつかの特徴が見てとれる。どの5年間をとってもプラスになっているということ。10年間通して見た場合のリターンは平均で年率6.8%と、ある程度の収益性が確保されていること。年間最少リターンは-12.7%と日本国債の-12.5%とほとんど同じ程度の下落幅に抑えられていることなどだ。

■「スマート・ファイブ戦略」の過去の対応

では「スマート・ファイブ戦略」が10年間のシミュレーション期間において、どのように機能していたのかを紹介したい。当該期間では、投資環境の変化に応じて5つの資産の配分比率がかなりダイナミックに変化してきたことが確認できる。代表的な3つの期間を取り出してみよう。まず2005年5月末、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭により世界的に景気が拡大し、リスク資産の値上がりが続いていた局面。この時期はリスク資産の値動きが非常に安定して、どの資産もあまり変動しないで値上がりを続けていたため、日本国債以外の4資産のリスクが低下することで、配分比率は大きく上昇した。この時点では日本国債への資産配分比率は3割未満で、リスク資産の合計は7割超となっていた。

一方で、リーマン・ショック直後の2008年10月末、資産配分比率は大きく変わる。リスク資産への配分比率が2割を切って、日本国債の比率が8割強に達した。

2012年末時点、マーケットがまだリスク・オン(リスク選好)とも、リスク・オフ(リスク回避)とも言い切れないような局面では、日本国債の比率がおおよそ3分の2、リスク資産の比率が3分の1となっており、投資環境の変化に応じて5資産の配分比率がダイナミックに変動していることを確認していただけると思う。なお、2012年末時点の資産別組入上位3通貨は、グローバルREITが米ドル(比率59.0%)、豪ドル(11.4%)、ユーロ(8.3%)、グローバル高配当株が米ドル(35.0%)、ユーロ(18.5%)、イギリスポンド(16.6%)、高金利海外債券がブラジルレアル(20.2%)、イギリスポンド(20.0%)、ロシアループル(18.7%)の順となっている。

特筆すべきは、「スマート・ファイブ戦略」が投資している5資産に、単純に均等分散投資をしただけでは期間内(2002年12月末-2012年12月末)に大幅なマイナスも起こり得るという点だ。当該期間内の最大下落率は-39.8%に達している。これだけ大きく下落すると、下落前の水準を回復するのに46カ月、4年近くを費やすことになる。これに対して「スマート・ファイブ戦略」では最大下落率が-13.1%、17カ月で下落前の水準を回復している。こうした特性を踏まえると、リスク許容度のあまり高くないお客さまにも広く受け入れていただけるのではないかと考えている。

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