「トリプル・ブル」とセットで活用  相場トレンドに乗る投資ツール 楽天投信投資顧問 

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日々3倍のレバレッジ管理

楽天投信投資顧問 企画部長 石舘真氏

楽天投信投資顧問
企画部長 石舘真氏

「楽天日本株トリプル・ベアⅡ」7月31日設定
企画部長 石舘真氏語る

楽天投信投資顧問は7月31日、「楽天日本株トリプル・ベアⅡ」を設定し、運用開始した。同社では、2009年6月から「楽天日本株トリプル・ブル」および「楽天日本株トリプル・ベア」の運用を行ってきたが、今回、「トリプル・ベアⅡ」を設定した背景と、このブルベア型商品の特色などについて、石舘真企画部長(写真)に話を聞いた。

――まず最初に、「トリプル・ブル」「トリプル・ベア」とは、一言で言って、どのような商品なのか。

「指数先物取引を活用して、日々の基準価格の値動きが、『トリプルブル』なら指数の騰落率の3倍程度、『トリプルベア』なら指数の騰落率とは反対方向に3倍程度となることを目的に運用するファンドだ」

――値動きが「トリプル」なら、昨秋来のアベノミクス相場では、ファンドのパフォーマンスも、さぞやすごいことになっているのでは…。

「詳しい内容などは後で触れるが、直近で、『トリプル・ブル』の基準価格は2万円を超え(2日現在で2万894円)、『トリプルベア』は1,000円を割り込んでいる(同767円)」

――今回、「トリプル・ブル」はそのままに、「トリプル・ベア」にのみⅡを設定したのは、基準価格が下がり過ぎたからか。

「基準価格が下がったこと自体は、ファンドの意図通りのパフォーマンスを発揮した結果ではあるが、注意が必要なのは、基準価格が1円単位で算出されるということだ。基準価格の1万円と1,000円とでは、『1円』の占める比重が異なる。低位化が進むと、いわば“四捨五入の誤謬(ごびゅう)”で日々の値動きがギクシャクし、日によっては『3倍程度反対の値動き』とならない可能性も想定されてくるためだ」

――「トリプル・ベアⅡ」が設定されたが、従来の「トリプル・ベア」から自動的に切り替わるのか。

「既存のトリプル・ベアも来年6月13日の満期まで運用される。投資家にはトリプル・ベアⅡへのシフトを促していく」

――Ⅱの販売会社は、当初の楽天、立花、あかつき各証券から、直近では、マネックス、エイチ・エス、おきなわを加えて6社に増えた。

「もともとトリプル・ベアは二十数社に扱っていただいており、これら各社には順次トリプル・ベアⅡも採用してもらえるよう働きかけている」

――ブル・ベア型のファンドは近年、ETF(上場投信)にも登場するなど個人投資家の人気を集めている。楽天投信投資顧問のトリプル・ブル、トリプル・ベアの純資産額はどのくらいか。

「当ファンドは、投資家自身の判断で『トリプル・ブル』『トリプル・ベア(Ⅱ)』『マネープール』の3者間でスイッチングしてもらう商品設計であり、純資産額は合計で300億円台半ばに達する。各社に共通する傾向だが、トリプル・ブルが中心で、トリプル・ベアは、このうち1割未満だ。なお、各大手証券でも専用のブル・ベア型ファンドを取り扱っているが、幅広い販売会社に提供される公販(公開販売)では、当社の残高が最も大きい」

――ダブル・ブル、ダブル・ベアのファンドならよく目にするが、「トリプル」となると、相当にインパクトが大きい。

「『ネット証券大手の兄弟会社』という当社の由来が商品企画の背景だ。自分自身の、しっかりした相場観に基づいて売買する個人投資家が対象だけに、ブルベアファンドでも、いわゆる“尖ったもの”にしようとの発想から商品化した経緯がある」

――その後、他社の追随などは? そして「トリプル」における現状のシェアは、どの程度か。

「現在では、もう1社が『トリプル』を扱っているが、当社の3分の1程度にとどまる」

――昨年4月には、ETF(上場投信)でも、レバレッジ(2倍ブル)型とインバース(ベア)型が上場され、売買が大いに盛り上がっている様子。強力な“ライバル”出現で、販売面などに影響が及んだのではないか。

「ETFには確かに、立会中、いつでも売買できるという利点があるが、実際のところ、ほとんど影響は生じていない。もちろん、背景にはレバレッジ比率の違いがあり、先行き、ETFにも『トリプル』が出てくれば、どうなるか分からない面はある。ただ、他社のダブルブル・ベアファンドの純資産額の推移などを見ても、大きな影響は感じられない。投資家の中には、むしろ『場中に売買できず、引け値一本で決まる方が分かりやすい』と感じている向きも、相当数いるのではないか」

――レバレッジを効かせて相場全体の方向性に賭ける、という点では、日経平均先物なども「競合商品」に位置付けられるが。

「指数先物に対する優位性としては、まず『税制』が挙げられる。先物の売買損益は雑所得扱いで、確定申告が不可欠なのに対し、こちらは、特定口座なら申告の手間が省け、株式やほかの投信との損益通算も可能。年内限りながら10%の軽減税率も適用されている」

「また投資面で、相場観が大きく外れても、先物のように、追い証(追加保証金請求)が生じたり、当初元本を超えるような損失が発生することもない」

――ちなみに、日経平均先物の売買で「投下資金に対して3倍のレバレッジを効かせたまま、買い、もしくは売りポジションを維持するケース」と、「トリプル・ブル、トリプル・ベアファンドを買い付けるケース」とでは、損益の生じ方が大きく異なるそうだが、その要因は何か?

「レバレッジ管理の違いによる。一般に誤解されやすい点だが、当ファンドでは、あくまでも、指数の『日々の値動き』を基準に、毎日、ポジション調整を行っている。例えばトリプル・ブルの場合、指数が上昇すれば、上昇した価格を起点に3倍のレバレッジがかかるため、上昇相場においては、いわば複利的な効果が得られる。指数が100から120まで上昇したとすると、単純に20×3=60で、60%上昇、とはならず、それ以上の上昇が想定される」

――具体的には。

「アベノミクス相場がスタートした昨年11月半ばから(暴落前の)今年5月までの時期を例に取ると分かりやすい。この間の日経平均は5割を超えて大きく上昇したわけだが、当初3倍のレバレッジをかけて、そのまま保有した場合、投下資金は3倍強に増加していた。そしてさらに、この期間、レバレッジが『日々3倍』となるように管理してきたら、資金は4.5倍以上に膨らんでいたことになる」

――とはいえ、同じ期間に「トリプル・ベア」を買っていたら悲惨なことになっていたのでは…。

「もちろん、この間の上げ相場で損失は拡大し続けるが、売りの量を『日々3倍』となるよう調整した場合、当初元本以上の損失は発生せず、資金は80%程度の毀損(きそん)にとどまる。逆に、当初元本の3倍を売り建てたまま放置していたら(追い証を入れ続けたら)、元本がゼロになるばかりではなく、さらに元本の120%程度の損失が生じていたことになる」

――大当たりしても、手ひどく外しても、どちらも先物投資のパフォーマンスを大きく上回る…。投資の世界に、そんな“いいことづくめ”があるものだろうか。

「もちろん、それはない。相場が一定方向に動いてくれればいいが、ボックス圏内の上下動に終始していると、ファンドの基準価格を毀損していくので、長期間持ち切りにする商品ではない。数日から数週間、長くても数カ月間のレンジで、『相場のトレンドに乗る便利なツール』として、ご利用いただきたい。その際も、利食いや損切りラインなど、あらかじめ明確な対処方針を決めた上で、高いリスクを取ってもいい資金で投資することが最重要と言えるだろう」

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