本格回復する投資環境とNISAを見据えた運用戦略 三菱UFJ投信 販社向けセミナー[後編]

個 別 概 況


為替/米ドル高、安定推移が続く
日本株/業績相場で上ブレに期待

三菱UFJ投信は7月5日に販売会社向け勉強会を開催。4人の担当部長により相場見通しと、NISA(小額非課税制度)の本格スタートを見据えた運用戦略などが語られた。前編(7月30日付掲載)に続く今回は債券運用部長の山本隆司氏、株式運用部長の筋野裕二氏、委託運用部長の笹井泰夫氏による講演内容を抜粋して紹介する。

債券運用部長 山本隆司氏

債券運用部長 山本隆司氏

為替相場の見通し

債券運用部長 山本隆司氏

主要通貨:米ドル高続く

近年ダイナミックな動きを見せる為替だが、主要通貨については、金融緩和を縮小方向に向かう米ドルが強くなり、当面何もしないユーロが中間、まだまだ大規模な金融緩和を予定する円が一番弱くなるとの動きが予想される。欧州債務危機への欧州当局の対応、QE(量的緩和)縮小に向かう米国、大規模金融緩和の円と、為替相場にとっては大きな材料がこの1年間で3回もあったが、さらに続く材料ではなく、今後は徐々に沈静化するとみる。

新興国通貨の見通し

QE縮小観測を背景に、新興国通貨から先進国通貨に資金が巻き戻される展開が続いた。足元では沈静化の様相を見せるも、そもそも、各通貨の売られ方は一様ではない。例えばブラジルレアルは軟調推移が続くも混乱状態ではなく、メキシコペソも足元では調整局面にあるが実に安定的で、もはやテキーラ・ショック時のような脆弱(ぜいじゃく)さは見られない。通貨間の違いが鮮明化するだろう。

平均回帰した豪ドルに注目

図1

図1

リーマン・ショックで大きく売られた豪ドル。その後は新興国主導の回復を遂げたため、リスク・オンに強い新興国通貨として買われた。にもかかわらず、2010年のギリシャ・ショックで、市場が「金融危機=豪ドル売り」と勘違い。2011年の欧州債務危機以降はリスク・オフに強い通貨に生まれ変わった(図1参照)。豪州中銀は通貨安を志向するが、異常な豪ドル高から過去平均並みへの変動を意図していると思われる。数少ないAAA格を持つ通貨として、いつまでも売られることもなく、下げ余地は小さいと考える。引き続き注目しておきたい。

株式運用部長 筋野裕二氏

株式運用部長 筋野裕二氏

日本株式市場の見通し

株式運用部長 筋野裕二氏

期待感から「業績相場」へ 体力を増した日本企業の上ブレ期待高まる

日本株はここまで「期待感」から上昇したが、今後は改善が進む企業業績がけん引するとみられ、まだまだ上昇余地はあると考える。

主要企業の営業利益率はリーマン・ショックで3%台に落ち込むも、以降は右肩上がりに改善。今期は6.5%と過去最高水準に近づく見込みだ(図2参照)。企業は収益性の高いアジアなどの海外売上比率を拡大させると同時に、事業再編やコスト削減など構造改革を進めてきた。さらに今後は円安効果による輸出競争力の向上が期待されている。

図2 主要企業の営業利益率推移

図2 主要企業の営業利益率推移

企業を分析する際の着眼点はさまざまあるが、1つ重要だと考えるのが「変化」だ。危機にあえいでいた企業のマネジメント体制が変わるなど、何かしら「変化」が見えると、株価はこれに反応する。

例えば日立製作所。リーマン・ショック以降はコア事業へ集中するなど、大胆な構造改革に着手することで収益性が大きく改善。今期の営業利益は過去最高水準の5000億円を見込んでいる。しかしながら、これには為替の円安効果などは充分織り込まれておらずさらなる上乗せも期待でき、リーマン・ショック前の水準にいまだ到達しない株価の出遅れ感は否めない。

委託運用部長 笹井泰夫氏

委託運用部長 笹井泰夫氏

NISAを見据えた運用戦略

委託運用部長 笹井泰夫氏

リスク性資産への投資と長期保有をうながし、投資家層のすそ野拡大が目的のNISA。投資家が本制度を最大限に生かすためには、(1)リバランス不要(いったん売却すると非課税枠への再投資は不可)(2)ミドルリスク・ミドルリターン(3)分かりやすさ――といった要素が運用に求められると考える。

当社は現在、6カテゴリ(毎月分配型、成長重視型、おまかせ型、バランス型、インデックス連動型、低リスク型)14ファンドをNISA向け商品としてラインアップするが、中で今回は、7月に新規設定した「少頻度決算」「ミドルリスクタイプ」との特徴を持つ2つのファンド、「コアバランス」と「バリュー・ボンド・ファンド」に注目したい。

新規設定ファンド(1) 「コアバランス」

図3 景気局面別市場パフォーマンス

図3 景気局面別市場パフォーマンス

実質的な投資先は「国内株式」「国内債券」「先進国株式」「先進国債券」「新興国株式」「新興国債券」の6資産。(1)積極(景気拡大・リスク安定)、(2)中立(景気・リスクどちらかに不安)、(3)消極(景気後退・リスク不安定)の3つから局面を判断して、各30%に固定した「国内債券」「先進国債券」を除く4資産の配分比率を機動的にローテーションする。(1)積極局面では株式(国内・先進国・新興国)の比率を計20%、新興国債券の比率を15%にまで高める一方、(3)消極局面では株式と新興国債券の比率をゼロにする、といった具合。

このような「局面」分析は有効だと考える。株価は「景気拡大局面」で上昇し「景気後退局面」で下落するなど、一般的には景気局面に大きく依存する(図3参照)。

新規設定ファンド(2)
「バリュー・ボンド・ファンド<為替リスク軽減型><為替ヘッジなし>(年1回決算型)」

図4 年次リターンマップ

図4 年次リターンマップ

リーマン・ショック以降、債券利回りは低下傾向にあり、世界的な低金利環境は今後も長引くことが予想される。一方、歴史的な低水準にある金利が上昇に転じた場合のリスクについても備える必要がある。今後5年の投資環境を考えると、利子収入によるリターンの獲得がかつてほどには期待できず、債券投資にあたってもキャピタル益の獲得にも注力する「トータルリターン追求型」の運用が求められると考える。

債券のセクター別パフォーマンスを見ると、アロケーションのコントロールで価格上昇によるトータルリターンの拡大は可能だと考えられる(図4参照)。銘柄選択の際にはバリューを徹底的に分析して「低相関」の債券に投資することで、リスク対比で高いリターンを目指す。さらに、先述した各債券セクターのアロケーションを適時変更することで、中長期的に安定したリターンの獲得を目指す。

戻る