アセアンの中心、タイ イーストスプリング・インベストメンツ

個 別 概 況


メコン地域で注目を集めるCLMV4カ国のハブとして経済発展に期待

※CLMV4カ国=カンボジア、ラオス、ミャンマー、べトナム

ウィンキン・チョウ氏

ウィンキン・チョウ氏

イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッド
ウィンキン・チョウ氏

イーストスプリング・インベストメンツは6月28日に「イーストスプリング・タイ株式オープン」を新規設定した。タイ企業の株式を実質的な投資対象とし、同社が日本国内向けに設定したアジア単一国株ファンドの第5弾。インド、韓国、インドネシア、フィリピンに次ぐアジア株ファンド設定に先立ち、実質的な運用担当者であるウィンキン・チョウ氏が来日して、ファンドの魅力やタイ経済の見通しを語った。

タイ経済の現状と見通し

タイ経済はアジア通貨危機や金融危機、2011年の洪水といった数々の困難を乗り越え、発展を続けている。タイの経済規模は約4250億米ドル(約43兆円)で世界第28位、アジア第7位。今後も年5%程度の安定的な成長が予想されている。

>タイ経済の強さ(1) 旺盛な内需

近年の経済成長や良好な雇用環境を背景として所得が上昇、消費が拡大傾向にある。1人当たり名目GDP(国内総生産)は6572米ドルで、中国の1人当たり名目GDP水準に匹敵。

今後もタイの内需が拡大することは想像に難くない。政府は昨年、法人税を30%から23%に、さらに今年中には20%への引き下げを予定しており、企業収益の向上が見込まれている。また政府は今年1月より最低賃金を1日300バーツまで引き上げた。これは都心バンコクにおいて約40%の賃上げとなる。賃金上昇による所得向上により、高額な耐久消費財のさらなる普及拡大が期待される。

図1 製造業生産指数と設備稼働率の推移

図1 製造業生産指数と設備稼働率の推移

タイ経済の強さ(2) 製造業の集積

近年タイでは直接投資が増加、製造拠点としての国際競争力が急速に高まっている。組み立てから部品まで幅広いすそ野産業を有している。さまざまなニーズに応えることで、ほかのアジア諸国との差別化を図る。

2011年の洪水で大ダメージを受けたが、政府は先述した法人税引き下げなど復興を目的に約3兆円もの大規模な刺激策を行った。結果、大きく落ち込んだ製造業の生産や景況感が、現在では急回復している(図1)。

タイ経済の強さ(3) 貿易自由化の促進

タイ政府は積極的に貿易自由化を促進(図2)。輸出拡大に伴って近年は安定的な経常黒字を維持しており、これが通貨の上昇を後押しするものと考えられる。

図2 タイ 輸出額の推移

図2 タイ 輸出額の推移

タイ経済の強さ(4) インフラ整備の推進

政府は2012年から20年にかけて総額約720億米ドル(約7兆円)のインフラ投資を計画。隣接するアジア諸国を結ぶ「アジアハイウェイ構想」、既存の鉄道網を複線化して輸送能力を拡大させることなどを計画する。

こうしたインフラ投資自体が景気拡大につながることに加え、経済の効率化・生産性の向上をもたらし、投資先としての魅力が増すと考えられる。

タイ経済の強さ(5) メコン戦略のかじ取り

当社はタイだけでなく近隣国にも注目している。注目は2015年実現を目指す「アセアン経済共同体」。アセアン域内の関税が原則ゼロとなり、人の移動が自由に。タイのインフラが整備されれば、メコン川流域のアセアン後発加盟4カ国「CLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、べトナム)」を支えるハブとして、さらなる経済発展が期待される。

タイとCLMVは中国に次ぐ「世界の工場」としての重要性が増している。アセアン地域への輸出を念頭に、地理的な戦略性以外にも人件費の安さに目をつけ、CLMV諸国へ製造拠点を増設するタイ企業は後を絶たない。タイの失業率は足元で0.6%程度とほぼ完全雇用状態にあるが、アセアン経済共同体が実現すれば、タイの熟練労働者がCLMV諸国で活躍する可能性が高まるだけでなく、CLMVからより安価な労働者がタイの企業で就労することも期待できる。

CLMVには現在、証券市場で買える企業がほとんどないが、当ファンドはタイに投資することで間接的にCLMV各国の経済成長の恩恵を受けることが可能に。

タイ経済の強さ(6) 健全なファンダメンタルズ

金利は近年低下傾向にあり、企業業績や個人消費の拡大を後押ししている。経済が成長して消費が拡大する一方で、インフレ率は中央銀行の目標の範囲内で安定推移を続けている。また、アジア通貨危機以降、外貨準備高は順調に増加して、近年では公的債務残高を上回る水準に。タイ・バーツは対米ドルで通貨危機前の水準近くにまで回復しており、今後も中長期的な通貨価値の上昇が期待されている。

こうして高成長、低インフレ率を両立するタイはまさに「スイート・スポット」にあり、投資妙味があるといえる。投資の魅力が花開き始めたところだが、今後はCLMVとの相乗効果で魅力がさらに拡大するだろう。

図3 SET50指数 株価および株価指標の推移

図3 SET50指数 株価および株価指標の推移

タイ株式市場の現状

タイ株式市場の時価総額は約43兆円で、3月末時点では563銘柄が上場している。代表的な株価指数「SET50」は時価総額上位50銘柄で構成され、近年好調に推移。直近は金融危機前の高値圏に回復している(図3)。

魅力的な株価水準

2014年予想PERは11.8倍。現在の株価水準は、フィリピンの19.5倍、インドネシア、マレーシア、シンガポールの13倍台と比べて割安な上、2014年1株利益成長率は12.6%と2ケタ成長が見込まれている。

「イーストスプリング・タイ株式オープン」概要

投資対象:タイで設立または上場している企業ならびにタイにおいて主に事業展開を行っている企業の株式等を投資対象とする「イーストスプリング・インベストメンツ―タイランド・エクイティ・ファンド」を主要投資対象とする。

組入状況:主要投資対象ファンドはボトム・アップ・リサーチにより厳選された、投資妙味ある銘柄で構成される。タイ最大の携帯電話会社で約3,600万人の契約者数を有する「アドバンスド・インフォ・サービス」、タイ国内でセブン・イレブンを約6,800店舗展開する「CPオール」などが、個人消費拡大に伴い大きな恩恵を受けることが期待されている。また、タイ最古の商業銀行「サイアム商業銀行」、セメントや化学製品など5つの主要な事業セグメントを展開する「サイアムセメント」については、タイ政府が主導する各種インフラ投資促進による波及効果が見込まれている。ちなみにサイアムセメントは隣国のカンボジア、ミャンマー、ベトナムなどでの工場建設を計画。今後はCLMVの成長の源泉に直接アクセスを持つ点も好材料。

リターン:6月時点でファンドの主要投資対象「イーストスプリング・インベストメンツ‐タイランド・エクイティ・ファンド」の設定来リターンは年率13.4%で、同期間のベンチマークは17.8%。これは、近年タイで成長相場が続いていたため、当ファンドでは組み入れない中小型株のパフォーマンスが、ファンドを主に構成する割安な大型株に対してアウトパフォームしたことなどが理由として挙げられる。足元の調整局面はタイ株への投資機会が到来していると考えており、引き続きボトム・アップ・リサーチを重視した個別銘柄選択を行っていく。

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