「カタール・アブダビ株式ファンド」 カレラアセットマネジメント

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カタール・アブダビ株のみの主要投資対象は日本初
天然ガスと石油に立脚、新分野の開拓にも注力

運用部チーフインベストメントオフィサー 塩澤聡氏に聞く

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏 運用は4人体制で

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏
運用は4人体制で

カレラアセットマネジメントは、7月30日に「カタール・アブダビ株式ファンド」を新規設定する。公募株式投信で、カタール・アブダビ株式のみを主要投資対象とする、日本初のファンドだ。その希少性が魅力ともいえる。同社は昨年7月に公募投資信託の第1号として日本初のニュージーランド株100%のファンド「ニュージーランド株式ファンド」を設定。以来、「スイス株式ファンド」「カレラJリートファンド」(愛称ナショナルテニス サポーターファンド)、「メキシコ株式ファンド」、「オランダ株式ファンド」を設定している。今回が第6弾。こうした商品ラインアップを見て分かるように、同社の商品戦略では、ほかの運用会社とは異なる独自路線を歩んでいる。このスタンスは今後も変わることはないと強調するのは、同社の内堀徹代表取締役社長。販売会社は安藤証券、他社からも販売参加の希望があれば受け付ける。当初申し込みは16日から開始。そこで、「カタール・アブダビ株式ファンド」の設定の背景や両国の経済や株式動向、魅力などについて、同社運用部チーフインベストメントオフィサーの塩澤聡氏に聞いた。

■「なぜカタール・アブダビ株式なのか」

「なぜカタール・アブダビ株式なのか」を説明したい。まず地理的な位置を簡単に紹介したい。ともにペルシャ湾に面して、カタールは首都がドーハと聞けば、日本人にとっては特にサッカーで忘れられない国だ。アブダビはUAE(アラブ首長国連邦)を構成する7つの首長国の1つで、UAEの首都がある。カタール・アブダビは、どちらも豊富な資源をベースにインフラ投資と産業育成により経済成長が期待できる点に着目した。

まず中長期的な世界の社会・経済的なトレンドを考えると、(1)社会的な要因としての世界的な人口増加、(2)経済的要因としての新興国の経済成長という、2つの重要なファクターが浮かび上がってくる。人口増加については、2011年の70億人の世界人口が、2025年に80億人、2042年に90億人に増加すると想定されている。新興国の経済成長については、新興国は先進国の2倍以上のペースで成長しており、世界のGDP(国内総生産)に占める新興国のシェアは2013年にも先進国とシェア逆転の可能性がある。

この2つのファクターにより、中長期的にエネルギー需要が増加し続けると想定される。特に、今後の10-20年のエネルギー需要見通しを品目別に見ると、今まで以上に天然ガスと石油が一段と重要な地位を占めることが想定される。こうしたトレンドから、天然ガスと石油というエネルギー資源に立脚したカタールとアブダビに着目した。

■エネルギー大国

まず、エネルギーについては、カタールは世界トップクラスの天然ガス大国であり、天然ガスの生産量世界4位・輸出量世界2位・埋蔵量世界3位。アブダビは、世界有数の石油大国で、石油の生産量世界7位・輸出量世界5位・埋蔵量世界7位を誇っている。

■マクロ経済環境

マクロ経済環境については、カタールは2011年までの大型開発ラッシュで驚異的な経済成長を達成した後も、GDPベースで5-6%の高成長の伸びが予想され、経常収支もGDP比2ケタの黒字を継続すると見込まれている。アブダビを含むUAEは、世界金融危機後、速やかな回復を見せ、安定した経済成長と高水準の経常黒字が予想される。信用リスクに関しては、ともに財政収支は黒字で推移しており、主要格付け機関からAAの高格付けを取得している。

また、アブダビ投資庁やカタール投資庁という世界屈指の運用資産を誇る政府系ファンドの存在も忘れられない。

■インフラ投資と産業育成

インフラ投資と産業育成については、カタールでは2022年のサッカー・ワールドカップの開催に向けて9つのスタジアムの建設をはじめ交通システム・宿泊施設・ショッピングモール等の建設で600億ドル超の投資が計画されている。また、「カタール ナショナルビジョン2030」で経済の多角化を推進して2030年までの先進国入りを目標にしている。

アブダビでは「アブダビ・エコノミック・ビジョン・2030」で石油に依存しない経済成長国の実現を進めて2030年にGDP4000億ドル(非石油部門で約64%のウエート)を目標にしている。また、「プラン・アブダビ・2030」で再生可能エネルギーを活用したノンカーボン都市の建設やルーブル美術館・NY大学の誘致などの環境・文化を取り入れた開発を進めている。

■経済成長新分野

経済成長新分野としては、(1)石油化学、(2)観光・MICE、(3)金融・情報が期待される。石油化学分野については、プラスチック製品の需要は今後世界的に増加すると予測され、原油を単に輸出するよりも石油化学生産によって付加価値の高い輸出に重点を置いている。同様に、「Gas To Liquids」によって天然ガスから環境負荷が低く、付加価値の高い石油製品を製造することに力を入れている。

観光・MICEのMICEは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一形態を指す。国際会議などのビジネストラベル分野の誘致に注力している。また、カタール航空やエティハド航空(アブダビ)というハイクラスの航空会社を有していることが強みとなっている。

■金融・情報

金融・情報については、潤沢なオイルマネーをバックにした金融センターとしての重要度は高く、イスラム金融の高まりにより存在感を増している。また、アルジャジーラという英語とアラビア語の24時間ニュース放送している衛星テレビ局を有しており、アラブの世論形成や世界への情報発信で大きな影響力を与えている。

■株式市場

株式市場については、MSCIでカタールとUAEのカテゴリーがフロンティア市場から新興国市場に格上げされる。今後、取引量の増加とともに投資対象としての魅力が高まることが期待される。セクター・ウエートの特色は、金融セクターのウエートが非常に高く、カタールで6割弱、アブダビで7割強を占めている。株価指数は、リーマン・ショック後の高値を更新して順調に上昇してきている。企業業績は10%前後の増益が期待されている。

■為替相場

為替相場については、カタールリヤルとUAEディルハムとも米国ドル・ペッグ制を採用しており、安定的にコントロールされている。

こうした状況から総合的に考えてカタールとアブダビ株式の中長期的な上昇を既定している。

■運用ポートフォリオ

カタールとアブダビの株式市場の上場銘柄数は、カタールが42銘柄、アブダビが66銘柄で、合計108銘柄。当ファンドのポートフォリオについては、厳選した二十数銘柄で構築したいと考えている。

■運用体制

当ファンドの運用体制は4人。私がチーフインベストメントオフィサーを務め、サブファンドマネージャーは運用部長の児嶋竜三、チーフトレーダーは参事の宮元勉、アシスタントファンドマネージャーは上原愛がそれぞれ担当する。

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