NISA対応ラインアップ/販売会社への提供準備整う 三菱UFJ投信

個 別 概 況


新投入「コアバランス」 リスク資産の比率機動的に変更

三菱UFJ投信は7月に「コアバランス」を新規設定する。日本版ISA(少額投資非課税制度)であるNISA(ニーサ)向けの新ファンドの1つとして今後地方銀行を中心に展開していく。同ファンドは、各マザーファンドなどを通じて、日本を含む世界各国の株式、公社債および短期金融資産に実質的な投資を行なう。投資比率は世界の金利や株価動向と市場の変動などに応じて適宜変更する。新ファンドを立ち上げる背景や考え方については同社執行役員の小島暁介氏、同ファンドの仕組みや特徴、強みなどについては同社戦略運用部長の宮崎高志氏に聞いた。

三菱UFJ投信 執行役員 小島暁介氏

三菱UFJ投信
執行役員 小島暁介氏

執行役員 小島暁介氏

■NISA開始までのプロセス予想

NISAは「貯蓄から投資へ」の流れを促進する極めて重要な制度と認識しており、当社は、投資家や販売会社のニーズをどのようにくみ取りながら商品を提供していけばよいかを真剣に考えている。新年度に入って販売会社はNISAを利用する口座獲得に向けた取り組みを積極化しており、6月には申し込みの書式が整備され、監督指針も明らかになった。7月以降は口座開設受付が本格化するため、販売会社は並行してNISAの制度設計や趣旨を踏まえた商品ラインアップを整備し、10月1日以降の税務署受付開始に備えることになりそうだ。こうしたプロセスを経て来年1月から口座活用がスタートすることになる。

■NISAに適合したファンドは

NISAをどう活用するかは投資家が判断することであり、投信会社が決めつけをすることは適当でないと考えている。販売会社が投資家の幅広いニーズに対応するために、今まで取り扱っている商品を整理した上、NISAを活用しようとする投資家の標準的なニーズに合わせた商品を補完していくという流れになるのではないか。こうした中でシンボルファンドを掲げようとか、商品を選べない投資初心者にまずお薦めするデフォルトファンド的な商品も検討されると考えている。

既存商品の補完を考える場合、NISAに対する標準的なニーズがどこにあるかを想定することが重要になる。ハイリスク商品や期待リターンが低過ぎて非課税効果が乏しいという商品よりは、ミドルリスク・ミドルリターンが志向されそうだ。また、売却や分配によってキャッシュアウトすると同一の投資枠を使えなくなるという制度特性を考慮すると、投資環境変化に対応できて長期投資にかなうもの、分配を抑制したものや少頻度決算といったものが標準的なニーズとして認識されているようだ。

販売会社におけるNISA対応商品ラインアップ整備の観点として、バランスファンド、債券の分散投資ファンド、既存商品の改良(分配頻度見直しなど)という3つの大きな流れがあるようだ。第一のバランスファンドは、いくつかの資産を組み合わせ、その比率を機動的に変化させることでさまざまな投資環境変化に対応できるという点で、おまかせ型ファンドの王道となる。第二の債券分散投資ファンドは、株を除いてリスクを抑えながら金融緩和で低下した債券利回りをカバーしつつ投資環境変化にも対応しようとするものだ。第三は、売れ筋となっている既存の毎月分配商品を分配抑制型に変えて慣れ親しんだお客さまに提供する折衷案だ。

こうした流れを踏まえて、当社は2つの新ファンドを投入する。1つ目は今回詳しくご紹介する自社運用のバランスファンド。最大ドローダウンが小さく大きく損をしないことと、運用内容の分かりやすさに配慮して設計を行った。もう1つは非常にパフォーマンス実績が良好な債券分散投資ファンドだ。新ファンドの投入により、当社は6カテゴリー(毎月分配型・成長重視型・おまかせ型・バランス型・インデックス連動型・低リスク型)、14ファンドの本格的なNISA対応ラインアップを販売会社へ提供する準備が整ったといえる。さらに今後も、NISAに適合した多様なファンドの投入を検討していく方針だ。

NISA制度の特徴と顧客タイプに応じて、当社が考えるNISA向け商品です。

NISA制度の特徴と顧客タイプに応じて、当社が考えるNISA向け商品です。

三菱UFJ投信 戦略運用部長 宮崎高志氏

三菱UFJ投信
戦略運用部長 宮崎高志氏

戦略運用部長 宮崎高志氏

■リーマン・ショックからの教訓

当ファンドを紹介する前に、まずバランスファンドについて考えたい。リーマン・ショック時には多くのバランスファンドでは損失が発生した。これは、当時は資産を分散していればリスクは分散できるとの見方が業界の主流であり、一斉に資産が値下がりするという状況が想定されていなかった。最近設定されているファンドは各社いろいろあるが、それぞれ過去の反省を踏まえた工夫や改善されてきている。ただ、その中でリスクを分散しようとすると高いリスクの株式の組入比率を相当抑えた商品にしていかなければならないということがあるし、1980年代以降、金利は低下トレンド、為替市場は円高が続いてきたこともあって、過去に各運用会社がバックテストを行うと、株というより債券を重視した運用の方が、パフォーマンスが良くなるというのがこれまでの傾向だったといえる。今の投資環境を考えると、最近、米国の出口戦略が言われているが、金利は今の低い水準から長いトレンドで見ると、あるべき正常な水準への回帰過程に入っているのではないかとわれわれは考えている。債券は安定したインカムを提供する意味では大事だが、それにあまりに固執して債券を持つだけではなく、少し工夫が必要と考えている。資産のリバランスに当たっては、リスクの高い株式の比率をいかに調整するかが最も重要なポイントになる。当社は、1959年に山一投信として誕生して半世紀以上の歴史があるが、その長い調査・運用の経験と実績に基づいて、今回、景気がどういう局面にあるのか、またマーケットのリスクはどのような局面にあるのかといったことなどから株の運用比率を変動させるモデルを開発、当ファンドの運用に活用していく。

■独自モデルなどを活用し、相場環境に応じて機動的に対応

当モデルによると、景気が良く市場のリスクが安定している局面を積極局面として、その場合は株式に積極的に投資していく。逆に景気が悪く市場が不安定な局面は、株の運用比率を思い切って減らして、安定的な運用をしていく。それ以外は中立として、その時々のマーケット環境に応じて運用していく。こうしたモデルを作って、過去のバックテストを行うと、上々の運用結果が出たことで、このモデルをベースにして、最終的にはファンドマネジャーが定性判断を加味して運用していく。こうした形で株式の運用比率を変更していくことが当ファンドのメーンのエンジンとなっている。

また、5年というNISAの実施期間を考えると、どういった相場環境になるのか分からない。株の運用比率はモデルなどに基づいて変更させるが、ほかに、金利がここから上昇していくかもしれない環境とあって、債券は長期間にわたって固定で持っているというよりは、場合によって、債券のウエートを思い切って減らすことも考えている。為替相場も現在はアベノミクスをきっかけに円安になっているが、円安がここのままいつまで続くのかも分からない。円高にフレる局面も予想される。そうした局面も考えて保有する外貨建て資産に対し米ドル売り/円買いの為替取引を行い(為替取引を行う比率は最大50%程度まで引き下げ)、為替取引に伴うコストを削減するとともに円安効果も享受する。

このように市場のさまざまな投資環境や局面に応じて柔軟に対応して、組み入れるリスク資産の比率を機動的に変更していくというのが当ファンドの基本コンセプトといえる。

■シンプルかつ分かりやすい商品

もう1つ重要なことは、お客さまや販売会社から見て分かりやすい商品かどうかという点である。バランスファンドにはヘッジファンドなどを組み入れた複雑な仕組みの商品も存在している。しかしこれでは、専門家でもどのような相場環境の時にどのように基準価額が動くのかを理解するのは難しい。その点、当ファンドの組み入れ資産は国内、先進国(除く日本)、新興国の株式と債券の6資産に限定している。こうしたシンプルかつ分かりやすい商品性も当ファンドの特徴の1つである。

3つの基本試算配分比率

3つの基本試算配分比率

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