本邦初、ETFに「NISA」の愛称 リスク抑えた長期投資専用商品 三菱UFJ投信 リスコン5&リスコン10

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佐々木康平氏

佐々木康平氏

株式変動率をベースにリバランス

営業企画推進部企画グループ マネジャー 佐々木康平氏語る

来年1月にスタートするNISA(少額投資非課税制度)への投資家の関心が日増しに高まる中、「NISA向け」の愛称を冠した国内初のETF(上場投信)が登場し、注目を集めている。といっても、新規上場銘柄ではなく、既上場ETFの話。新たに愛称を付した狙いや背景。そして、このETFが、なぜNISA向けに適しているのかなどについて、三菱UFJ投信営業企画推進部企画グループ兼経営企画部海外事業推進室マネジャーの佐々木康平氏に話を聞いた。

――6月から「NISA向け」の愛称を付けた既上場のETFとは?

「昨年東証上場した、『MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信』(1567)と『MAXISトピックスリスクコントロール(10%)上場投信』(1574)の2つで、それぞれ、『NISA向けリスコン5』『NISA向けリスコン10』の愛称を付けている」

――2つのETFの商品設計はどういうものか。

「TOPIXの過去のボラティリティ(変動の大きさ)を元に、株式(TOPIX)の保有ウエートを日々変更することで、リスクをコントロールする指数(TOPIXリスクコントロール指数)があり、これに連動する成果を目指すETFだ」

――具体的には…。

「株式の組入比率は簡単な計算式で求めることができる。例えば、過去100日間のTOPIXの(ヒストリカル)ボラティリティが20%だった場合、リスク値10%を目指すETF(リスコン10)であれば、株式組入比率が50%(10÷20の百分率)となる(残りは現金)。一方、リスク値5%のETF(リスコン5)なら、同比率は25%(5÷20の百分率)だ。毎日リバランスを実施し、実際にマザーファンドを通じた現物株売買を行う」

―5.23暴落(日経平均 -1,143円)を境に状況一変となったが、昨秋来のアベノミクス相場においては、どのような運用状況だったのか。

「昨年12月から1月にかけては、なだらかな上昇をたどり、ボラティリティが低めだったため、『リスコン10』を例に取れば、株式組入比率は6割程度に達していた。ところが、4、5月にはボラティリティの高まり、同比率が4割を切る水準まで低下したため、5月下旬からの急落によるマイナスを、ある程度、押さえ込むことができた」

――そもそも、「ボラティリティが高まると、相場が下がる(可能性が高い)」と言えるのか。

リスコン5%とTOPIXの推移比較

リスコン5%とTOPIXの推移比較

「1990年代以降のシミュレーションで過去のトレンドを分析したところ、上昇局面では比較的なだらかに上昇して、ボラティリティが高まる局面で大きく下落する傾向が見受けられた。乱高下する相場は、下方バイアスが掛かりやすい。5月23日の急落時も、直後の市場では『下げは一過性』とする意見が主流だったが、結果的には、その後も下げが続いている。相場の上昇が続いている間は、TOPIXに対する運用成績の見劣りは否めないが、急落時の影響を限定でき、長い目で見て安定したパフォーマンスが期待できる。長期投資に適した、というより、長期投資でないと意味がないとも言えるETFだ(グラフは、昨年来のリスコン5とTOPIXの価格推移比較)」

――今回、「NISA向け」の愛称を冠した理由や、その背景などについて聞きたい。

「これまで、複雑な商品設計がなかなか受け入れてもらえず、全体で100銘柄を超える東証ETFの中に埋没していたのが現状。本来、金融リテラシーの高いETFの投資家に、あらためて長期投資の重要性を訴えるキッカケになるとして『NISA向け』を掲げることにした。NISAという制度の導入には、新しい投資家の掘り起こしという狙いがある。大きなリスクを敬遠する向きでも、決められた範囲(5%や10%)で動くようにリスクをコントロールした当ETFの潜在ニーズは大きいと判断した」

「東証上場ETFは、5月における1日平均売買代金が1,000億円の大台を市場開設来初めて突破するなど普及が進んでいる。とはいえ、現状で盛り上がっているのはブル・ベアやレバレッジ型など短期投資に適したタイプが中心。リスク分散、分散投資、長期投資など投資の原点に立ち返った当ETFを一般投資家にアピールしていくことについては、東証からも協力を得ている。7月12日には、当社と東証と、(手数料を取らない)『フリーETF』を扱うカブドットコム証券によるETFセミナーも予定されている。市場にはさまざまなタイプの投資家が存在する。短期投資型主流の現状では、少々面白みを欠く『リスコン5』および『リスコン10』も、ぜひ投資の選択肢に加えていただきたい」

――「長期投資に適したETF」であることは分かった。新規の投資家向けにも適していると思う。ただ、それがなぜ「NISA向け」となるのか?

「NISAは売却部分を非課税枠として再利用することができないため、口座内でのリバランスをすることができない。本来、マーケット状況によって、リスク資産を増やす(株を買って債券を売る)といった対応が求められるが、NISA口座内の資産をいったん売却してしまうと、その分、非課税の枠が減り、制度の有効活用が図れなくなる。リバランスは、ファンド内で行う必要があり、市場のボラティリティに合わせてリスクコントロールする当ファンドの役割が増すわけだ」

――今月から「NISA向け」の愛称を冠したが、NISAのスタートは来年1月で、まだ半年以上、先の話だ。また、今購入しても、制度導入時のNISA口座に、そのまま移管することはできない。ややフライング気味の嫌いもあるが…。

「確かに、そうしたご指摘も頂いている。来年1月の導入時に『NISA向け』の愛称を付けるのが本来のあり方かもしれないが、少々分かりづらい商品性などを勘案し、半年かけてプロモーションしていこうとの思いから、あえて半年早く愛称を付けることにした。まずは、『こういう商品もあったんだ』と思ってもらうことが狙い。最近、証券会社や銀行などの店頭で、NISAを巡る顧客囲い込みの動きが報じられているが、本来の『商品の競争』となった時に、投資の原点に立ち返った長期投資専用ETFとして投資家に評価してもらえるよう働きかけていく。現在の純資産規模12億円程度(2銘柄合計)から10倍、20倍に膨らむ可能性は大いにあると考えている」

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