「BNYメロン・リアル・リターン・ファンド」 BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン

個 別


振れ幅の大きな時代の長期安定運用を目指す
ニュートン社独自の投資戦略が強み発揮

リテール営業本部長兼リテール営業第2部長 松岡博敏氏

松岡博敏氏

リテール営業本部長兼リテール営業第2部長 松岡博敏氏に聞く

BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンが3月22日に設定・運用を開始した「BNYメロン・リアル・リターン・ファンド」が安定したパフォーマンスを見せている。同ファンドは、BNYメロン・グループ傘下のニュートン・インベストメント・マネジメント・リミテッド(本社ロンドン)が運用するファンド「BNYメロン・グローバル・リアル・リターン・ファンド(米ドル建て)」を主要な投資対象としているファンドで、市場の変動に左右されないで収益の追求を目指して運用する絶対収益型ファンド。「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」の2種類から選べる。ファンド設定の背景や基本的な特徴、運用手法、魅力などについて、同社リテール営業本部長兼リテール営業第2部長の松岡博敏氏に聞いた。

■基本的な特徴

当ファンドは、世界の株式、高利回り債券、転換社債といったマルチ資産を収益のエンジンの中心に据えたファンド。ただし、リスク資産の市場が不安定な局面では、安全性の高い債券や現金といったリスク相殺資産の組み入れを増やすことによって下落リスクを抑えていく。こうしたコンセプトのファンドだ。

■ファンド設定の背景

それでは、当ファンドをなぜ、今投入したのか。投資信託の存在意義としてはその時々の市況の上昇をとらえて、投資家の方々に収益を上げていただけるような投資信託のニーズがある。一方で、中長期に安心して資金をお預けいただけるような、ローリスク・ローリターンからミドルリスク・ミドルリターンの商品を提供していくことも運用会社としての重要な使命と考えている。2011年には、市場が不透明で金利の低下局面にあったことで日本国債を投資対象にしたファンドが人気を集めた。2012年になると為替をヘッジしたヘッジ付きの外国債券ファンドに資金が向いた。しかし、現在、世界的に金利の低下が進んでいることで、日本国債や外債を投資対象にしたファンドは、収益力の点ではこれから苦しい状況になってくるだろう。米国金利が上昇すれば、キャピタルロスを被る可能性もある。どのような市場環境でもある程度のリターンが欲しいというお客さまにどのような商品が適しているのかを考えた場合、昨年後半から登場してきたのは、マルチセクターの債券ファンドだ。国債や社債、ハイイールド債券、エマージング債券などいろいろな債券に投資して、それぞれの相場局面でも、ある程度儲けられるような仕組みのファンドで、一部で人気を博している。それと同時に、当ファンドのように、株、債券、コモディティなどマルチアセットに投資して収益を稼いでいこうとするファンドが、ここからは求められるのではないかと考えている。以上が純粋な投資信託市場の流れの中から導き出した当社の発想だが、さらに2つの流れがある。1つめはNISA(少額投資非課税制度)の導入。これは、NISAの投資期間である5年間、途中の商品の乗り換えができない建て付けとなっていることで、5年間である程度のリターンが期待できるものである必要がある。5年という期間は、当然、経済環境や相場が1サイクル、2サイクルある期間なので、その中で想定される経済循環や相場循環に対応できるような運用手法を備えた商品が必要だろう。その意味で、マルチセクター型債券ファンドもいいが、株や高利回り債券、転換社債も収益のエンジンに加えたマルチアセット型ファンドが、NISAを見据えた上での適した商品と考えている。もう1つマーケット的な観点から言うと、債券から株への流れ、グレートローテーション(大転換)、またはリスク・オン(リスク選好)と言い換えていいかもしれないが、この流れは当分続きそうだ。株式を収益エンジンに加えたファンドへのニーズが、個人投資家や販売会社の中で徐々に盛り上がっていくとみている。このように純粋な投信市場の流れ、NISAという制度導入の流れ、マーケット的な流れという、3つの要点から今回、当ファンドが現状に適した商品と考え、設定に踏み切った。

■過去の運用パフォーマンス

実際に、既に海外で販売され、当ファンドの主要投資対象となる「BNYメロン・グローバル・リアル・リターン・ファンド」と同様の戦略で運用されているファンドのトラックレコードは好成績を上げている。当戦略は2004年3月にスタートしたが、その後に見舞われたリーマン・ショック、米国の格下げ、欧州債務危機といった局面でも下落リスクが限られていたという実績がある。ポンド建てベースの同ファンドのパフォーマンスは、フィー控除前で見ると、運用開始以来、暦年ベースでマイナスがない。リーマン・ショックが発生した2008年でさえマイナスになっていない。2011年も欧州債務危機でマーケット環境は厳しかった。MSCIワールド指数は▲4.5%を記録したが、この年もプラスで乗り切っている。過去の実績を見ると、安定運用の目標を達成できているのではないか。

■リアル・リターン戦略

当戦略の運用については、リターン追求資産と、リスク相殺資産に分けている。相場の上昇期待が高まっている時には、株式、高利回り債券、転換社債を増やしていく。逆に相場の先行きが怪しくなってきた時には、現金や債券でも安全性の高いもの、株式の先物やオプション、通貨の売りヘッジ、インフレリスクが高まった場合の金やコモディティを組み入れて、ポートフォリオ全体のリスクを減らしていく。こうした考え方に基づいて運用を行っている。

■過去のショックにどう対応

2008年9月のリーマン・ショック時の対応について。既に2007年から米サブプライムローン問題があって後半から徐々に株式比率を落としてきていたが、2008年はその比率をさらに引き下げた。一方で、債券の比率は引き上げた。国債や社債などのほか、債券先物の買いを増やし、株式相場が崩れたときの備えに入った。欧州債務問題が勃発(ぼっぱつ)した2010年は初めのギリシャの財政問題が悪化する中で株式の売りヘッジを行うとともに、商品、特に安全資産としての金の組み入れを高めている。2011年の米国債格下げと、その年の秋の欧州債務問題の継続では、グローバルなリセッション懸念が高まる中で株式比率を下げた。株式の売りヘッジも増やした。一方で現金比率を引き上げた。このような機動的な配分によって、金融市場が動揺した局面で資産の防衛を図ってきた。どんな局面でもプラス成績を目指しますという絶対収益型運用で問われるのは、「本当にうまくできるのか」という部分だろうが、幸い、このファンドについてはイギリスやヨーロッパでの運用実績が伴っている、ということが大きなアピールポイントであるといえる。

■ニュートン社の運用哲学

ニュートン社のマーケットに対する基本的な考え方は次のようなものだ。1980年代から90年代まで続いてきた、偉大なるブル相場はもう来ないのではないか。これからはジグザグの相場展開が予想される。米国は高値更新したが、買いっ放しで儲けられる時代は終わった。ここからは変動性の高い、ローリターンの時代が続く。そこで、「上昇局面をとらえ下落局面では守る」というような、局面に応じた弾力的な運用が求められていくのではないか。ここにニュートン社が絶対収益型の戦略を始めた根本の発想がある。

■ユニークな運用手法

ニュートン社の当戦略を用いた既存ファンドはイギリスや欧州で極めて人気が高い。欧州での2012年の販売ランキングでは、絶対収益型では3位、マルチアセット型では2位の販売額を記録しており、資産運用残高は1兆円を超えている。イギリスではISA向け商品としても販売されている。ニュートン社はユニークなテーマ運用を行っている。長期的な投資の視点をテーマというくくりで投資判断をしている運用会社だ。例えば、今後相場のプラス要因になると考えられるネットワーク世界の構築や、健康への需要、建設と再建(インフラの重要性)などテーマに基づいて銘柄を選んでいく。株式を配分する時にトップダウンでカントリーアロケーションをあまり意識していない。絶対収益を着実に上げていくために、安定感のある高配当の個別銘柄を中心に選んでいる。一方、債券は、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーといった格付けが高く、利回りも相対的に高い国の債券が現在の投資の中心。過剰な債務を抱える国や企業には投資しない。

■直近の資産配分

4月30日現在の資産配分は、株式56.6%、債券24.5%、現金等14.0%、商品先物、その他2.8%。株式の国別配分は北米17.5%、欧州(除く英国)18.1%、英国14.3%、日本4.3%など。債券の国別配分は米国4.9%、英国2.2%、欧州(除く英国)9.5%、アジア・パシフィック(日本を除く)7.2%などとなっている。

戻る