「アジア好利回りリート・ファンド」引き続き運用好調!三井住友アセットマネジメント

個 別


第20期(2013年5月)決算は分配金2,000円を加算

株式運用グループ シニアファンドマネージャー REIT担当 秋山悦朗氏
投信営業第一部 担当部長 宗正彰氏

秋山悦朗氏、宗正彰氏

秋山悦朗氏、宗正彰氏

リート・ファンドの残高が5カ月連続で過去最高を更新している。4月末時点ではJリート・ファンドの残高が前月比4%減の1兆7,750億円と、相場下落で11カ月ぶりの減少となったものの、海外リート・ファンドは7カ月連続のプラス、かつ、前月末比9%増の4兆3,699億円と大幅伸長を見た。

中で注目が高まっているのが「アジア」だ。年初来11本のリート・ファンドが新規設定され、うち5本がアジア・リートを投資対象としている。業界の草分け的存在で、2011年9月末に設定された「アジア好利回りリート・ファンド」の運用も好調という。今回は、同ファンドの運用状況と今後の見通しを聞いた。

――運用好調とのこと。最近のトピックスは?

基準価額の推移「当ファンドは先ごろ、第20期決算(2013年5月13日)の分配金を大幅に引き上げてお支払いした。アジア、オセアニアの両リート市場が上昇を続けていることから、収益分配方針に基づき、基準価額や配当等収益の水準などを総合的に勘案した結果、『アジア好利回りリート・ファンド』については今期の分配金(1万口当たり、税引前)を、前期(第19期決算)の150円に2,000円を加算した2,150円とした」

「むろん、分配金の加算について、来期以降の継続を約束することはできないが、安定分配に対する個人投資家のニーズは非常に高く、今後も継続的な分配を目指す方針であることに変わりはない」

――好調の要因は?

「『投資先リートの好業績』に尽きる。例えばJリートは年初来27%ものリターンを上げているが、1口当たり分配金は足元“底ばった”状態が続いている。つまり、Jリートの上昇は成長によるものではなく、アベノミクスを契機に、これまで過度に割安に据え置かれていたところからの見直し買いによるものともいえる」

「一方で香港リート、シンガポール・リートとも年初来リターン(5月末現在)は5%前後だが、増配率は対前年比でこれに見合うペースを維持。当ファンドで常に組み入れ上位にある『フォーチューン・リート』は2012年より増配率が加速し、現状は20%を超えている。アジア最大の香港リート『リンク・リート』の増配率は10%だが、2005年から毎期2ケタ増をキープしている」

――アジアといえば、中国経済の失速懸念が聞かれる。

「確かに中国リスクはわれわれも警戒しており、外資系金融機関が集積する香港の一等地セントラル・エリアに旗艦物件を保有する『チャンピオン・リート』には投資をしていない。しかしながら、当ファンドのコンセプト『アジアの成長にベットする』は、この先も十分有効だと考える。そのよりどころは、アジア全体の『中間層の拡大』とシンガポール・リートがアジア全体で投資機会を捕捉していることだ」

「かつての日本がそうだったように、中間層の拡大が続く限り、不動産市場は成長を止めない。しかし、日本でも『1億総中流』などと言われだしたころに市場の停滞が始まったが、アジア全体でそのような状況になるのはだいぶ先の話。そうなったら当ファンドも役割を終えるかもしれないが」

「これまでのリターンが示すように、このファンドについていえば、短期で出入りしないほうがいいことは明白だ。アジアも含めてグローバルにリート市場は足元でFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に神経質な展開となっているが、投資家の皆さまには是非、短期のボラティリティは気にせず、『中間層の拡大→不動産市場の成長』という大きな視点でブレずに持ち続けていただきたい」

――アジア不動産市場の現状は?

「不動産市況を見る有名な指標に『プロパティクロック(不動産時計)』がある。ジョーンズ ラング ラサールが世界のオフィス賃料の状況を時計に見立てて“見える化”したものだ。賃料が『下落』『底入れ』『上昇』『頭打ち』というサイクルで変動することを前提に、現在はサークルのどこに位置するかで市況を判断する。これによると香港は『下落』の真っただ中にある」

「しかし、これにはカラクリが。プロパティクロックには香港のセントラル・エリアなど、その国を代表する最上級エリアの状況だけが示されるが、先述したとおり、当ファンドの投資先リートはそこに物件を保有していない」

「セントラル・エリアには外資系金融会社が集積しており、近年はグローバル経済低迷の影響で空室率が上昇傾向にある。よって、プロパティクロックが示す通り、市況は芳しくない状況にあるのだが、一方で、セントラル・エリアを除いたエリアは距離的な差はさほどないが賃料水準を比較すると大幅に低く、不動産価格、賃料など不動産ファンダメンタルズは極めて堅調に推移している。われわれが投資するリートは、セントラル・エリアに物件を保有していないため、業績が堅調でリート価格にそれが反映されているというわけだ」

――「アジア好利回りリート・ファンド」の特徴を教えてほしい。

「投資対象は日本を除くアジア、オセアニアのリート。設定は2011年9月末。4月末現在の組み入れ状況は時価総額ベースでシンガポール・リートが50%ほど、香港リートとオーストラリア・リートがそれぞれ25%ほど。為替ヘッジなし、ブラジルレアル、トルコリラの通貨選択型2種類の計3タイプを用意した」

――類似ファンドの設定が相次いでいる。違いは?

「当ファンドはリートのみを投資対象とし、不動産関連株は含まない。利回りと経営の質が高く、成長が期待できる中小型リートを中心にバイ・アンド・ホールド(買い持ち)戦略をとる」

「時価総額ベースで見ると、アジアとオーストラリア・リートの比率はざっくり1:2だが、当ファンドはこれを逆転させ2:1とすることで、基準価額のアジア・リートに対する感応度を高くした。一方で、アジア・リートは流動性の点でデメリットがあり、これを補うために、配当水準、流動性ともに高いオーストラリア・リートを組み入れて補完した」

――設定来、好パフォーマンスをたたき出している。強みは?

「リサーチ能力の高さだ。当社はアジアにリサーチ拠点を持つ上、東京のリートアナリストは年2回シンガポール、香港、オーストラリアなど現地へ出張。リート経営陣とのワン・オン・ワン・ミーティング(1対1での面談)や物件視察を行うなどして、経営状況を詳細に調査する」

「このような作業は、ファンド設定前の2007年度下期から5年半にわたって現在も続けられている。今やリサーチのノウハウは十分に蓄積され、リート経営陣との信頼関係も構築済み。例えばシンガポールのオフィス市況は芳しくない状況が続いてきたが、当ファンドでは、空室率を平均以下に抑えるなど経営手腕が優れているリートにのみ厳選投資を行っている」

――今後の見通しは?

「先述した通り、中間層の拡大が続く限り、アジア・リートも成長が見込まれる。そして当ファンドは、より大きな成長が期待される中小型リートの発掘を得意とする」

「設定来これまで、アジア最大『リンク・リート』の子供ともいえる『フォーチューン・リート』を選好している。ともに同種の生活密着型商業施設を手掛け、立地も近い。現在『リンク・リート』が大規模リニューアル事業を計画的に進めているため、その恩恵を存分に受けているともいえる。また、『フォーチューン・リート』の規模は『リンク・リート』の10分の1ほどしかなく、例えばリニューアル投資をするとその成果が大きく表れるなど成長効率の高さも魅力」

「そして『第3のリンク・リート』となり得るリートも発見した。産業施設を手掛ける『プロスペリティ・リート』だ。『フォーチューン・リート』と同じ運用会社が扱うため経営手腕に不安はなく、香港・九龍エリアで再開発が進み今後の地価上昇が期待される物件を持つ」

「なにより事業内容がユニーク。物流施設は通常、高速道路や幹線道路に面した巨大な建造物が想像されるが、『プロスペリティ・リート』は街中にある古いオフィスビルを買い取りリニューアルして、物流センターやデータセンターなどとして運用したりしている。土地が狭い香港ならではのコンバージョンであり、われわれも実際に現地で物件を見て、今までにない良いアイデアだと直感した。現在は香港で最も小規模でディスカウントされているリートだが、近年賃料改定増が劇的に伸び始めており、気長に投資を続けるつもりだ」

戻る