日本版ISA制度「NISA (ニーサ)」への取り組み 三菱UFJFG全体で全力を挙げてサポート

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投資信託、既存顧客のほか新しい投資家層にも訴求

三菱UFJ投信 執行役員 営業企画推進部長 大平恒敏氏

三菱UFJ投信 執行役員
営業企画推進部長 大平恒敏氏

三菱UFJ投信 執行役員
営業企画推進部長 大平恒敏氏に聞く

日本版ISA(少額投資非課税制度)に対する関心が高まっている。日本証券業協会は4月30日に愛称を「NISA (ニーサ)」と決めた。日本版ISAは、毎年100万円を上限とし、最大500万円までの投資から発生する配当金や売却益が非課税になる「少額投資非課税制度」のこと。2014年1月から導入が予定されている。非課税期間は最長5年間。非課税口座開設可能期間は10年間(2014-2023年。対象商品は、上場株式と公募株式投資信託。イギリスの個人貯蓄口座 “Individual Savings Account”を参考にした制度であることから「日本版ISA」と呼ばれている。この制度によって、幅広い家計の資産形成を支援、促進することが期待されている。そこで、三菱UFJ投信執行役員営業企画推進部長の大平恒敏氏に日本版ISA制度への取り組みや制度の特性を生かした投信作りなどについて聞いた。

■新制度の位置付け

日本版ISA制度は、軽減税率の廃止・税率20%への回帰に伴う対応だが、非常に可能性のある制度と考えている。政府の目標では残高25兆円という数値を掲げているが、160万円×1,500万人という今までにない投信口座の規模を大きく超える目標であり、投信マーケットでこれまでにない新しい投資家層の拡大が期待されるし、拡大するべきと考えている。今回20歳以上の方々には一律、年間100万円まで与えられる権利であるから、金融庁や、日本証券業協会などの方々とお会いした際、もっと宣伝するべきではないかとお話しさせていただいている。これまで投資は投機と区別がつかなくて、一部のお金持ちがやるもの、賢い方が賢くやるものといったイメージがあったかと思うが、ISA制度は、国民の資産形成に資するための制度ということで、貯蓄0世帯というものが2割を超える中で、それを解消すべきという大きな1つの国民経済での財産形成に対する制度とあって、広く国民の皆さまに活用いただきたい。そうした制度であるから良い制度なのだということを政府、民間がこぞって宣伝すべきなのではないかと考えている。

■三菱UFJフィナンシャル・グループの取り組み

われわれの取り組みについては、三菱UFJフィナンシャル・グループは4月1日に、グループの三菱東京UFJ銀行、三菱東京UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、カブドットコム証券、国際投信投資顧問、三菱UFJ投信という、銀行、信託銀行、証券会社、ネット証券会社、投資信託の6社共同で初めて新聞広告を掲載させていただき、当グループとしては、ISA制度に対して全力を挙げてサポートしていく方針を打ち出した。この新制度は非常に大事な制度と考えており、当グループ全体で一生懸命取り組んでいく姿勢を出させていただいている。当然、商品を供給しているのは、当グループ内だけでない。地方銀行や、証券会社などいろいろな販売会社に提供しているので、商品提供を含めていろいろなサポートをさせいただければと考えている。まずは、今回、ISAは新しい制度なのでお客さまに知ってもらわないといけない。知ってもらうためのツール類の提供を始めた。1つはホームページなどでの情報開示で、私どものホームページでも情報を提供させていただいている。また、当社は既にいろいろな資料を作成している。例えば、「ISA読本」。制度の基本的な事項や、どの点に気を付けたらよいのかなど、分かりやすいようにマンガを取り入れて解説したもの。これを販売会社に置いてお客さま対応に使っていただいている。また、ISA制度開始のお知らせについてのチラシも作っている。これは、販売会社がお客さまに残高報告書などいろいろな資料を提供する時に一緒にお送りしている。「テラシート」(テラマット)は、販売員の方がお客さまに制度について説明する際、一目で分かるように裏表で解説した、コンパクトな作りの資料も提供させていただいている。まずは新制度を知ってもらうことが大事なことではないかと考えている。

■投信会社の役割

ISA制度のスタートは来年1月だが、税務署の届け出は今年10月(ファンドの買い付けは来年1月1日)で、それまで半年を切ってきている。販売会社によってはISA制度について資料などの請求に対応させていただいている。ISA口座開設の事前申し込みなどに踏み切る販売会社もかなり増えてきており、今後はもっと盛り上がっていくのではないかと考えている。現在、販売会社は実務的な対応をどうするか、システム対応や事務フローへの対応を急いで進められている状況かと思う。一方、当社のような運用会社の役割としては、販売会社への情宣活動をお手伝いすることが1つあるかと思うが、もう1つはいろいろなISA向け商品の提供が次の段階として出てくるだろう。

■ISA制度に対応した投信商品の品ぞろえ

今回のISA制度では、これまでのファンドを買えるが、税制のメリットを最大限受けるという意味ではキャピタルゲインが出るようなファンドや分配金が多くもらえるファンドといった、投信マーケットでも売れ筋になっている商品群も引き続き需要があるとみている。当然、既存のお客さまにとってはなじみがあるファンドを購入される中で、ISA口座を活用して、既に現在保有しているファンドを移し替えるとかされると思うが、そこではまず各金融機関は既存のお客さまの囲い込みを行っていくと考えられ、既存の売れ筋のラインアップを中心とした商品提供が予想される。ただし、今回は新たな投資家層の囲い込みを目的とする大きな制度とあって、これまで投資信託を購入したことのないお客さまに訴求するようなファンドを提供しないといけない。先ほど紹介した「投信読本」の注意ポイントに書かれているが、投資して必ずもうかるとは限らないので、うまくいけば値上がりした分だけ簿価が上がって非課税の部分は享受できるが、値下がりした場合、特定口座と合算できない(特定口座なら値が下がったものと値が上がったものが相殺できる)。ISA口座の中だけで完結してしまうので、損を出した場合、取り戻す方策がない。そうなると新たに投信を購入される方々は損をしたくないと考えるだろう。銀行預金しかやってこなかった、こうした方々に投資信託を購入していただくためには、ISA口座の運用期間が5年間あるため、5年あれば、元本の成長が期待できるようなバランス型や、ある程度リスクをコントロールしたファンド、低リスクのファンドなどが品ぞろえとしては必要になってくるだろう。また、スイッチングできないことで相場の状況によってお客さまがファンドの入れ替えができないため、どんな相場でも安定的な収益を出せるファンドや、分配金をたくさんもらって再投資できないことで分配頻度の少ないファンドなどいろいろ考えられる。

■ネット販売の活用

もう1つは、今回のポイントとしてはネットが販売現場で活用される1つの大きなツールとなってくるとみている。新しいお客さまを囲い込むことに対して、今回は非常に短期間で対応せざるを得ない。金融機関同士の競争ともなろうが、短期間でお客さまに新制度を説明して、来年から新しい制度の下で商品を購入していただくことになるが、現実的にお客さま一人一人に細かい説明を、十分に時間をかけてやっていくことには難しい部分が出でくると考えられ、1つには分かりやすいファンド、説明があまりいらないファンド、もしくはネットで説明して購入していただくファンドといった販売形態を、販売会社から見ても今回は活用せざるを得ないとみている。その意味ではネット向け商品も品ぞろえとして必要になるのではないかと考えている。当社は、ネット向けにeMAXISという廉価版のインデックスシリーズを展開している。ネット向け商品は価格もクローズアップされ、同シリーズは信託報酬が低く抑えられている。同シリーズについてグループ内では、もともと三菱東京UFJ信託銀行、その後カブドットコム証券が取り扱っていたが、昨年秋から三菱東京UFJ銀行が取り扱い、さらに今年4月からはISA制度の開始をにらんだ形で三菱UFJモルガン・スタンレー証券が取り扱いを開始しており、グループ販社の共通商品となっている。

■ISA向け専用ファンドの開発も検討

今後は、ISA制度専用向けの新ファンドの開発に向け、どのようなものが適しているのか検討をしていきたい。もっとも、今回の新制度で1,500万口座を取り込もうとしているが、お客さまにはいろいろな性格やニーズがあることで、一概に決められることはできず、幅広い品ぞろえで対応する必要があるかと思う。いずれにしても、ISA制度のメリットを生かしたファンドの開発・設定を目指していきたい。

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