4資産でリスク抑えた運用目指す 「リスク・パリティαオープン」国際投信投資顧問

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前川一幸氏

前川一幸氏

「リスク・パリティ戦略」を基本にアノマリー活用

外部委託運用部 ポートフォリオマネージャー 前川一幸氏

国際投信投資顧問は22日、「リスク・パリティαオープン」を新規設定した。同ファンドは、アキラ・キャピタルが運用する、円建てのケイマン籍投資信託「アキラ・キャピタル・リスク・パリティ12ファンド(JPY)」への投資を通じて、主として、世界各国の株式、債券、コモディティ、短期金利の指数などに関するスワップ取引・先物取引を活用する。アキラ・キャピタルはドイツを拠点とする、オルタナティブ投資特化の独立系運用会社。リスクを抑えながら利益を積み重ねていく運用手法に特徴があり、これまでの運用パフォーマンスはその安定さが示されている。同ファンドの特徴や仕組み、魅力などについて、国際投信投資顧問外部委託運用部ポートフォリオマネージャーの前川一幸氏に聞いた。

■ファンド設定の基本的な背景

当ファンドの元となる、海外に既にある同じ戦略のファンド「AC Risk Parity 12 Fund(ユーロ建)」の運用成果を見ると、ボラティリティが非常に抑えられている中で、安定的にリターンが出ている。当社はこの点に着目してファンドを立ち上げた。マルチアセットのバランス型ファンドに分類されるが、既存のバランス型運用は、株と債券の投資比率を、例えば50:50や60:40に配分しても、基準価額の下落局面では、株式の下落に大きく左右され、1年間というような短期間ではプラスのリターンが出にくかった。同ファンドに関しては、1年間でプラスのリターン達成を目標に設計されている。

■「リスク・パリティ戦略」の活用

当ファンドの目標リスク(年率標準偏差)は12%。投資対象となる「アキラ・キャピタル・リスク・パリティ12ファンド」の「12」には、ボラティリティ12%という意味が込められている。ボラティリティ12%というと、国内株式の半分ほどのリスク、先進国ソブリン債券と新興国ソブリン債券の中間ほどのリスクであり、当ファンドは複数の資産クラスに投資するオルタナティブ運用とはいえ、比較的リスクが抑えられた運用を目指している。

こうしたリスクを抑えた運用をどう行うかを説明したい。当ファンドの運用には主に「リスク・パリティ戦略」を活用する。従来のバランス型ファンドの場合、2資産の配分比率を50:50にすると、リスクの低い資産が、リスクの高い資産に足を引っ張られてしまう結果となっていた。例えば、リスクの高い資産を株式、リスクの低い資産を債券とすると、2資産の配分比率が5割:5割のつもりでも、リスクベースでは株式が8割、債券が2割というイメージ、つまり株式に8割のリスクを負っているという状況にあった。その意味で、バランス型とはいえ、リスクベースではバランスが取れていなかったのではないかと考えている。そこでリスクベースでバランスが均等になるような運用をしてみればどうかというのがリスク・パリティ戦略だ。パリティは「均等」や「同一」という意味。リスクが均等になるよう、リスクの高い資産とリスクの低い資産の配分比率を逆算した結果、債券のようなリスクの低い資産を7、8割にして、株式のようなリスクの高い資産を2、3割にすることでリスクベースでは均等になるといった考え方がベースになっている。

■投資対象は4資産

当ファンドでは、「株式」「債券」「コモディティ」「短期金利」の4資産に対してリスク・パリティ戦略を活用する。一般のバランス型ファンドでは、株式、債券、金、リートなどの分散というイメージだが、当ファンドの目的は、例えば、株式とハイイールド債を組み合わせたとしても、結局、同じような動きをするから分散にはならないという発想から資産クラスを厳選している。複数資産を組み合わせた場合、その各資産が低相関またはマイナス相関になるような資産の組み合わせでないと、本当の資産の分散とは言えない。値動きが似た資産を組み合わせたとしても、結果として分散効果は得られないということだ。最近よく言われる「ダイバーシファイド」(分散)の効いた資産を選ばないと分散投資になっていないということで、いろいろシミュレーションした結果、この4資産だけで十分に分散を図れるのではないかという結論に達した。なおかつ、当ファンドではリスク・リバランスを日次で行う。リーマン・ショック時のように1日で大幅に下落してしまった資産に対して、週次や月次でリバランスしていても効率的な運用ではないだろうということで、日次でもリバランスができるように極力流動性の高い資産を選ぶことも、資産を選ぶ重要なポイントであった。分散を図れるということと、高い流動性という観点から、この4資産を選択した。そして、4資産に対してリスク・パリティを活用する。

具体的なイメージとしては、リスク・パリティ戦略では高ボラティリティの株式やコモディティの資産配分が相対的に低く、一方で、低ボラティリティの債券、短期金利の資産配分が相対的に高くなる。その結果として、リスクを均等化することが運用戦略の基本となる。

■アルファ・モデルによる投資効率の追求

「リスク・パリティ戦略」のほかに、2つ目の運用戦略として「アルファ・モデル」を活用する。具体的なイメージとしては、アノマリー分析などを活用し、4資産の配分比率の調整を行う。アノマリーとは経験則として知られる規則的な証券価格の動きや事象のこと。例えば、株式の季節的なアノマリーとしては、日本株でも、世界株でも当てはまるが、基本的に冬に投資して、夏に投資しないのが投資効率が良いといわれる。ほかにも米国大統領選挙サイクルということで、米大統領が再選を目指して景気浮揚策や金融政策を打ってくるので、選挙前年である就任3年目には株価が上昇しやすいなどもアノマリーの1つ。当ファンドの場合は、比較的長期のデータに基づいたアノマリーを重視して活用する。「リスク・パリティ戦略」によって決定した配分比率をベースに、市場における複数のアノマリーを計量的に分析することで、今後下落する可能性が高いと判断される資産を特定して、これらの資産の配分比率を削減する。削減分はほかの資産にリスクベースで均等に振り分けるという方法がとられている。あくまで「リスク・パリティ戦略」が基本で、それ以外にアノマリーを活用して、資産の配分比率を調整することで、さらなる投資効率を追及している。

■リスクコントロール

基本的にポートフォリオの配分比率は、リスク・パリティ戦略を中心に、アルファ・モデルを活用して決定している。4資産の配分比率はマーケットにもよるが、リスクの低い資産の配分比率が高くなる傾向があるため、そのままのポートフォリオでは、2%前後の非常に低いリスク水準になる可能が高い。このため、各資産への配分比率は一定のまま、レバレッジを活用して、ファンド自体のトータルのリスクを目標リスク水準である12%まで高める可能性がある。ただし、レバレッジ活用前後の、4資産のリスク配分は変更されず同じ。

■月間損失率のコントロール

3つ目の運用戦略として、フロアを設定し、月間損失率をコントロールする。月間で最大損失率を7%以内に抑制することを目指して運用を行う。具体的には、基準価額が上昇している場合は、ポートフォリオをそれほど変更しないが、基準価額が例えば3%下落すると、許容される月間の損失率があと4%しかないため、4資産の配分比率は維持しながらポートフォリオのレバレッジを落とすことでリスクを下げ、月間損失率7%以内に収まるようにリスクをコントロールしている。ただし、翌月初には目標のリスク水準12%にポートフォリオをリセットすることを行う。毎月、毎月、その月内での月間損失率7%に抑えることになっているが、2カ月連続月間損失率7%以上というのはシミュレーション上では1,000年以上に1回という確率となる。また、既存のファンドでも、損失率をコントロールするものはあるが、年間の損失率を一定に抑えるケースが多く、月間で損失率を抑制する当ファンドの運用戦略は珍しいと思われる。

■為替はフルヘッジ

為替のコントロールは運用手法の1つだが、当ファンドの場合は為替ヘッジを行うことで、お客さまには為替変動リスクを負っていただかないことになっている。当ファンドにおいては、純粋に投資対象となる資産からのリターンをファンド収益の源泉としており、為替についてはすべてヘッジする方針だ。

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