農業とエネルギーに立脚した国際物流王国に着目 「オランダ株式ファンド」カレラアセットマネジメント

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国際競争力は上位で、毎年ランクアップ

運用部 チーフインベストメントオフィサー(CIO) 塩澤聡氏に聞く

カレラアセットマネジメント

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏
運用は4人体制で

カレラアセットマネジメントは23日、「オランダ株式ファンド」を新規設定する。公募株式投信でオランダ株式を主要な投資対象にしたのは日本初だ。同社は昨年7月に公募投資信託の第1号として日本初のニュージーランド株式100%のファンド「ニュージーランド株式ファンド」を設定。以来、「スイス株式ファンド」「カレラJリートファンド」(愛称ナショナルテニス サポーターファンド)、「メキシコ株式ファンド」を設定している。運用パフォーマンスは、これまでいずれも好調に推移している。日本の運用会社としては極めてユニークなラインアップといえる。「オランダ株式ファンド」は当初、販売会社は安藤証券、他社からも販売参加の希望があれば受け付ける。当初申し込みは8日から開始した。同ファンドの背景や特徴、魅力などについては、同社運用部チーフインベストメントオフィサー(CIO)の塩澤聡氏に聞いた。

■なぜ、オランダ株式なのか

当ファンドは、オランダの農業とエネルギーに立脚した国際物流王国という点に着目した。まず中長期的な世界の社会・経済のトレンドを考えると、(1)社会的な要因としての世界的な人口の増加、(2)経済的要因としての新興国の生活水準の向上、(3)国際貿易要因としてのグローバル化の進展――という3つの重要なファクターが浮かび上がってくる。

1つ目の世界的な人口増加については、2011年の70億人の世界人口が2025年に80億人、2042年に90億人に増加すると想定されている。2つ目の新興国の生活水準の向上については、過去10年の経済成長を見ると、新興国の経済成長が先進国の2倍以上のペースで伸びている。この結果、世界のGDP(国内総生産)に占める新興国のシェアは拡大し、おそらく現時点ではほぼ並び、2013年中には先進国とシェア逆転の可能性がある。3つ目のグローバル化の進展については、日本でもTPP(環太平洋戦略経済連携協定)に注目が集まっているが、世界的にも2国間や地域間で経済連携協定への取り組みが今後一段と高まり、国際貿易がさらに深化していくと考えられる。

この1つ目と2つ目のファクターによる人口増加・食生活の高度化・都市化・工業化に伴い中長期的に新興国を中心とした食料・エネルギー需要が増加し続けると想定される。また、2つ目、3つ目のファクターによる新興国の経済成長・貿易の拡大に伴い、国際競争力を有する貿易依存度が高い国はより有利な地位を獲得できると予想される。こうしたトレンドから農業とエネルギーに立脚した国際物流王国であるオランダに着目した。

■農業、競争力あるビジネス

まず、農業については、オランダは米国に次ぐ世界第2位の農産物輸出国だ。国土の面積は日本の九州とほぼ同じ程度だが、その46%が農地用だ。1950年代には約40万カ所あった農場数が2012年には6万9000カ所まで減少するなど農場の効率化・集約化を進め、栽培管理支援システムや農作業指示情報交換システムといったIT(情報通信技術)の積極活用などで、競争力のあるビジネスとして持続的に発展してきた。単価の安い飼料・穀物などは輸入し、付加価値の高い野菜、食肉やチーズなどの加工食品を輸出している。狭い国土でも、生産性の高い近代的な農業が行われている。

■エネルギー

エネルギーについては、オランダは欧州の主要な天然ガス生産国であり、世界第5位の天然ガス輸出国。その主役である世界第2位のエネルギー会社のロイヤル・ダッチ・シェルは、オランダのデン・ハーグに本社がある。石油メジャー各社がコンビナートをオランダに設置しており、石油精製・石油化学工業の世界最大規模の集積地だ。化学製品は、輸出額の2割弱・貿易収支の5割強を占めるオランダの主要産業だ。

■国際競争力

国際貿易については、オランダは輸出額のGDPに対する割合が68%と貿易依存度が高く、経常黒字のGDPに対する比率が8%強と高い国際競争力を有している。また、世界経済フォーラムが発表している、最新の国際競争力ランキング(2012年9月5日発表)で、オランダは144カ国中第5位と高く、2009年10位、2010年8位、2011年7位と、近年順位を毎年上げている。主要カテゴリーのすべてで平均以上のスコアを獲得しており、いわば欠点がなく、バランスの良さも同時に兼ね備えている国といえよう。

■物流王国

その国際貿易の物流の中心が、通称「ユーロポート」と言われるロッテルダム港で、欧州一の貨物取引量を誇る欧州最大の港だ。欧州に進出しているアジア・米国企業の半数以上がオランダに欧州物流センターを置いている。ハード面のインフラが充実しているだけでなく、通関手続きなどソフト面も優れており、サプライチェーンのコストの安さ、品質の高さで高い評価を得ている。

■信用リスク

信用リスクに関しては、政府純債務残高のGDPに対する比率は30%後半と低く、主要格付機関からAAAの最高格付けを取得している。

■株式市場

企業業績については、利益は10%前後の増益が期待されている。株式市場は、エネルギー・情報テクノロジーなどのセクターにも一定のウエートがあり、幅広い産業に分散している。一方、公益・電気通信サービス・ヘルスケアのディフェンシブ・セクターのウエートは非常に低いことが特色だ。株価指数は、リーマン・ショック後の高値近辺まで上昇してきている。なお、オランダの証券取引所は、もともとアムステルダム証券取引所として世界最古を誇っていたが、2000年9月よりパリ証券取引所、ブリュッセル証券取引所と合併、ユーロネクストとなった。名称もユーロネクスト・アムステルダムへと改称され、現在に至っている。主要株価指数はAEX指数。時価総額は4940億ユーロ。上場企業数は146銘柄(3月6日現在)となっている。

■モデルポートフォリオ

参考にモデルポートフォリオの業種構成を紹介すると、生活必需品が32.7%、資本財・サービスが18.8%、エネルギーが12.0%、金融が11.0%、素材が9.5%、情報テクノロジーが8.9%、一般消費財・サービスが7.1%となっている。ほかの欧州各国と比べエネルギー、情報テクノロジーの比率が高いほか、さまざまな業種に分散されているのが特色と言えよう。

■ユーロ相場

為替については、ユーロは欧州債務問題などの影響で比較的低い水準で推移している。しかし、昨年12月に発表された欧州改革スケジュールで、銀行同盟に向けた道筋が示された。今後、紆余曲折を経ながらも、債務危機収束に向けて前進していくとみている。

このようにして、オランダの中長期的な経済成長を通じて、株式・為替価値が上昇することを期待している。

■運用体制

当ファンドの運用体制は4人。私がチーフインベストメントオフィサーを務め、サブファンドマネージャーは運用部長の児嶋竜三、チーフトレーダーは参事の宮元勉、アシスタントファンドマネージャーは上原愛がそれぞれ担当する。

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