「日本版ISA」向けに開発・設定へ 日興アセットマネジメント 

個 別


「ファイン・ブレンド(毎月分配型)/(資産成長型)」
「高格付債券ファンド(為替ヘッジ70)毎月分配型/資産成長型」

資産運用サポート第2部長 安永哲次氏

資産運用サポート第2部長
安永哲次氏

資産運用サポート第2部長 安永哲次氏に聞く

「日本版ISA」(投資マル優)が注目されている。株式投資信託と上場株式への投資に対する非課税制度で、2014年1月からの導入が予定されている。英国の非課税制度である「Individual Savings Account:ISA(個人貯蓄口座)」を参考にした制度であるため、「日本版ISA」と呼ばれている。2013年末で証券優遇税制が終了し、株式投資信託や上場株式から生じる所得への課税は、現在の10%から本則の20%に戻るが、日本版ISAを利用することで、毎年100万円を上限に、最大500万円までの投資から得られる売却益や配当・分配金が非課税で投資となる。非課税期間は、それぞれの投資を始めた年から最長で5年間。ただしこの期間中、途中売却は自由ではあるが、その売却部分を再利用して投資はできない。また、日本版ISAの非課税口座とそれ以外の口座で発生した損益とは、損益通算することはできない。そこで日興アセットマネジメントは、日本版ISAのこれらの特性を踏まえ、2つの新ファンドを開発し、それぞれ3月25日に設定する。同社資産運用サポート第2部長の安永哲次氏に商品開発のポイントや新ファンドの特徴・仕組み、魅力など聞いた。

日本版ISAの特性を生かす考え方

当社では、日本版ISAの特性を踏まえ、以下3つのポイントを持ち合わせたファンドが求められるのではないかと考えている。まず1つ目はダウンサイドリスクを抑える仕組み。日本版ISAでは、ほかの口座とは損益通算ができないため、5年間の非課税期間終了時に、価格が下落していないことが望ましい。そのため、ダウンサイドリスクを抑える仕組みが必要ではないかと考える。そして2つ目は市場に合わせてファンドが中身を変えてくれる仕組み。この日本版ISA制度の特徴の1つとして、売却部分を非課税枠として再利用することができないため、スイッチングやファンドの乗り換えのようなことができない。そのため非課税期間中は同じファンドを持ち続けることになるが、長く持ち続けるには、その期間の市場変動にも耐えられるかどうかが重要になる。そこで、ファンドがリバランス機能を内包し、市場の動きに左右されにくい商品へのニーズがあるのではないかと考える。3つ目は元本の払い戻しを起こさせない仕組み。毎月分配型が引き続き主流になるとの考え方もあるが、日本版ISAの非課税メリットを最大限に享受するために、分配頻度の比較的少ない商品で、複利効果を狙い、長期にわたって資産を形成するニーズもあるのではないかと考えている。当社では年1回決算型商品を「資産成長型」と呼んでいるが、毎月分配を再投資しようとしても枠がいっぱいで課税口座に回すことになったり、枠が余っていても、最初の1年目の分しか再投資に回せないので、非課税口座での投資では資産成長型を選ばれるお客さまも多いのではないかと考えている。

このほかにも日本版ISAで起こり得ることとして、当社で仮定しているのは、ある程度の収益性が見込める商品へのニーズだ。日本版ISAは、利益部分に対する税金の優遇であるので、ある程度の利益が出ないと、メリットそのものの絶対額が小さくなってしまう。それなりに収益性があり、非課税のメリットを感じていただきやすい商品も求められるのではないかと考えている。

これら日本版ISAの制度を踏まえた上で、当社は、市場の変化に対応し、長期的に安定した収益の積み上げを目指す、2つの新ファンドを3月25日に設定する。「ファイン・ブレンド(毎月分配型)/(資産成長型)」と、「高格付債券ファンド(為替ヘッジ70)毎月分配型/資産成長型」の2ファンドだ。

「ファイン・ブレンド(毎月分配型)/(資産成長型)」の特徴と仕組み

「ファイン・ブレンド」は、特徴の1つ目が収益性の高い5資産(日本国債、海外債券、グローバル株式、グローバルREIT、金)に分散投資するバランス型ファンドであるということ。2つ目は、各資産の基準価額への影響度合いがおおむね均等になるような資産配分戦略(ファイン・ブレンド戦略)を用いて、配分比率を決定すること。そしてこの配分は、市場環境や市場変動に対応して定期的に見直す。3つ目は毎月分配型と資産成長型の2コースを設けたことだ。各資産の値動きは異なるため、複数の資産に投資することで価格変動を打ち消し合う効果が期待でき、結果として価格変動リスクを抑えることができる。

こうした資産分散投資の有効性のほか、当ファンドの場合、さらに一工夫しており、どのような割合で投資をするのか、その配分について、よりリスクを抑えるような組み合わせを目指している。具体的には、リスクの大きさ、つまり振れ幅の大きさに着目し、振れ幅の大きい資産ほど少なめに組み入れ、振れ幅の小さい資産ほど多めに組み入れるという考え方だ。さらに各資産同士、また各資産とポートフォリオ全体の相関関係を考慮して組み合わせ比率を決める。当社ではこれを「ファイン・ブレンド戦略」と呼んでいるが、年金運用の世界ではリスク・パリティ戦略といわれ、特に長期運用を志向している世界の機関投資家に活用されてきている運用手法だ。各資産のリスク寄与度に着目し、リスクを打ち消し合えるように運用配分を決めていく方法といえる。このファンドのユニークなところは、一度決めた資産配分を、状況に合わせて適宜見直していく点にある。その背景にあるのは、それぞれの資産のリスクは常に一定ではない、市場環境によって変化するものであるという考え方である。各資産の相関関係も市場環境に応じて変化をしていくので、それを見てその時々に資産配分を変えていく。資産配分の見直しは基本的に月1回、市場が大きく動いた場合などには随時見直す。

過去10年のシミュレーションでは、価格変動が緩やかで、ある程度の収益を期待できた。特に注目していただきたいのは、このシミュレーション期間の年間リターンの最高と最低の値。「ファイン・ブレンド戦略」では最低リターンが▲12.7%と、日本国債の▲12.5%とほぼ同じ、つまりダウンサイドリスクが抑えられているという点だ。もちろん、どんな環境でも収益を目指す絶対収益の商品ではなく、5資産は常に組み込まれており、その配分を変えるだけなので、全体が下がればそれには逆らえないが、下落の幅を抑え、大きな価格変動を避けることが期待できる。一方で最大リターンは20.7%と比較的高めの結果が得られている。日本版ISAの非課税期間である5年間を、できるだけ大きな価格の下落を受けずに結果を残していけるのではないかと考えている。

「高格付債券ファンド(為替ヘッジ70)毎月分配型/資産成長型」の特徴と仕組み

米国長期金利を見ると歴史的な低水準にあるが、これまで幾度となく、一時的な上昇トレンドを挟みながら低下してきている。ここからそれほど遠くない将来に、一時的に上昇する可能性もある。日本の投資信託で、リスクの低いタイプとして、現在、日本国債を対象にしたファンドと外債のフルヘッジ型ファンドが圧倒的なシェアを占めているが、今後の米金利情勢を踏まえると、5年、あるいは次の非課税期間に続けて投資した場合は、計10年の投資期間がある日本版ISA口座での投資としては、それらのファンドだけでは対応が難しい局面もくるのではないかと考えられる。そこで金利上昇時でも収益機会のある商品の提供が運用会社に求められるのではないかということで開発したのが「高格付債券ファンド(為替ヘッジ70)毎月分配型/資産成長型」だ。

その特徴は、1つ目は利回り水準が高い、先進国のAA格相当以上の高格付けソブリン債などに投資すること。2つ目は純資産の70%程度に対して対円で為替ヘッジを行い、30%程度に対しては為替ヘッジを行わないこと。ヘッジあり部分は、為替ヘッジ後の利回り水準が高い国のソブリンを組み入れる。具体的な投資国はフランス、ベルギー、イギリス(2013年1月末現在)。為替ヘッジなし部分は相対的に利回り水準が高い国のソブリン債で、ニュージーランド、オーストラリア、ノルウェー、カナダ、アメリカ(2013年1月末現在)。3つ目は毎月分配型と、年1回決算の資産成長型の2種類あること。70%為替ヘッジの場合、過去のシミュレーションの結果から様々な金利局面でも、比較的安定した収益が得られるという傾向が見られる。また、リスクにおいても、70%為替ヘッジはフルヘッジと同程度の水準が期待できる。

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