米国フィデリティが語る『米国ハイ・イールド債券市場』の今

個 別 概 況


フィデリティ投信 マネージャー来日講演/前編(→後編
金融緩和継続でリファイナンス活発、企業の信用力向上で底堅さ増す

ハーリー・ランク氏

ハーリー・ランク氏

フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー
ポートフォリオ・マネージャー ハーリー・ランク氏

世界経済を暗雲が覆った2012年、投資家の視線は、先進国の中では相対的にファンダメンタルズが良好だった米国に向き、中でも、高利回りが期待されるハイ・イールド債券やリートが大きな脚光を浴びた。両資産を投資先とする国内最大ファンドを運用するのがフィデリティ投信だ。同社は2月7日、2大旗艦ファンドの「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」と「フィデリティ・USリート・ファンド」をテーマにした会員向けセミナーを開催。運用担当者を米国から招集して、ファンドの運用状況や魅力が語られた。今回は、「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」運用担当者ハーリー・ランク氏による講演内容を抜粋して紹介する。

米国ハイ・イールド債券市場の現状

ハイ・イールド債券市場の特徴

主要資産のリスクとリターン米国ハイ・イールド関連市場は過去16年で2,000億米ドルから1兆ドルと5倍に、バンク・ローンを含めると1兆6,000億ドル超と8倍に拡大している。魅力は「パフォーマンス」。過去約20年間で見ると、米国株式などの主要資産と同等のリターンで、リスクは低い。2年連続してマイナスとなったことがなく、ダウンサイドに対するプロテクションが米国債並みに高い上に、2年に1度は2ケタのプラスのリターンを上げている。

米国ハイ・イールド債券は2012年に15%超のリターンを上げたものの、13年もこの流れは続くのか。「バリュエーション」「ファンダメンタルズ」と2つの基本的な側面から見てみよう。

市場概況と展望(1)バリュエーション

米10年国債に対する米国ハイ・イールド債券のスプレッド米国10年国債に対する米国ハイ・イールド債券のスプレッド(上乗せ金利)は過去平均で5.35%。12年末時点では4.34%に縮小しているが、良好なファンダメンタルズを考えれば、現在は「割高」という水準にはない。

市場概況と展望(2)ファンダメンタルズ

米国ハイ・イールド債券のデフォルト率は長期平均の5%から、12年末には3.2%にまで低下。企業部門の強固なファンダメンタルズが下支えとなり、向こう1年間も低水準で推移するとみられる。
なぜか。現在、企業は史上空前の低金利という環境を利用して負債比率の圧縮を進めている。足元では企業の負債比率は長期平均の3.6倍を若干上回る一方で、支払利息に対する営業利益や金融収益の比率を見る「インタレスト・カバレッジ・レシオ」は3.5倍超と、平均3.3倍を上回る。米国ハイ・イールド債券の新規発行額は2010年に2,500億米ドル、11年2,070億米ドル、12年3,210億米ドルと、ここ数年は市場最高レベルにあるが、その過半数が既存負債の返済に充てられており、財務体質は着実に改善している。

「局面を選ばない」頼もしさ

米国ハイ・イールド債券の騰落率については先に触れたが、これが、まわりの環境に左右されないという点も非常に興味深い。

GDP(国内総生産)成長率がマイナスとなる景気後退局面でも年率4%のリターンを上げ、また、GDP成長率が1-2%と緩慢な局面でも11.55%のリターンを見せている。一方で、高成長局面では8.49%とリターンが下がるのは、金利負担が懸念されるため。現在の米国は長年続いた景気後退局面から回復期に入ったところであり、ハイ・イールド債券にとっては非常に好ましい状況といえる。

「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」の運用状況

主として米国企業が発行する高利回り・低格付けの事業債に投資を行う。1998年4月運用開始。14日時点の基準価額は5,678円、純資産額は5,808億円。毎月分配型で、直近の分配金額は70円。

フィデリティでは世界で500人いるアナリストのうち、20人がハイ・イールド債券を専門にウオッチ。ボトムアップ・リサーチに基づくアクティブ運用を行っている。2012年末の保有発行体数は279社。格付け別では、ベンチマークと比べてBB格以上と高格付けのものの比率が低く、格付けなしの銘柄にも投資している。

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