中長期的な経済成長要因そろう カレラアセットマネジメント 「メキシコ株式ファンド」

個 別


地理的な優位性、労働コスト、FTAで製造業けん引

運用部 チーフインベストメントオフィサー 塩澤聡氏に聞く

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏 運用は4人体制で

左から塩澤聡氏、上原愛氏、児嶋竜三氏、宮元勉氏
運用は4人体制で

カレラアセットマネジメントは26日、「メキシコ株式ファンド」を設定する。同社は昨年5月から業務を開始して、その第1号ファンドとして昨年7月26日に「ニュージーランド株式ファンド」を設定、以降、12月18日に「スイス株式ファンド」、今年2月27日に「カレラ Jリートファンド」(愛称ナショナルテニスサポーターファンド)を設定しており、今回が4本目となる。これまでファンドはいずれも良好なパフォーマンスを示している。「メキシコ株式ファンド」も、世界的な株高傾向にあるタイミングでの設定に期待がかかる。同ファンドの販売は安藤証券、当初申し込みは11日からスタートした。同ファンドの設定の背景や特徴、魅力などについて、同社運用部チーフインベストメントオフィサーの塩澤聡氏に聞いた。

「なぜ、メキシコなのか」が当ファンドを設定する最大のポイントとなろう。まず結論から言えば、同国のファンダメンタルズの良さだろう。派手さはないが、ゆっくりと地に足をつけた経済の伸びが期待できる国と評価している。

■メキシコ経済の魅力(1)

メキシコ経済の特徴は、世界最大の消費市場であるアメリカへの輸出拠点としての製造業にある。代表的な産業は自動車生産で、世界第8位の生産量を誇っているが、その80%以上を輸出する世界第5位の自動車輸出国だ。世界の大手自動車メーカーが大型拠点を構え、新規の活発な直接投資も継続している。

その成長ファクターを挙げると、(1)地理的な優位性(2)労働コスト(3)FTA(自由貿易協定)先進国――の3点に注目したい。1つ目の地理的な優位性は、北米大陸の南端に位置し、アメリカと国境を接している。アメリカという大消費市場の近隣に立地していることは極めてメリットが大きいといえる。輸送コストが安く、輸送時間が短い。さらにタイムリーに製品を供給できることで、在庫コストも低くすることが可能だ。2つ目の労働コストは、製造業の賃金で比較するとアメリカ(シカゴ)の月額2,986ドルに対して、メキシコ(メキシコシティ・ティファナ)は月額305―515ドルと、5分の1から10分の1程度の低コストにとどまっている。また、アメリカ企業が他国に製造をアウトソーシングした場合のコストでもアジア・東欧諸国と比較して最も低い水準にある。3つ目のFTA先進国については、1965年からのマキラドーラ(注:製品を輸出する場合、当該製品を製造する際に用いた原材料・部品・機会などを無関税で輸入できる保税加工制度)と、1994年からの北米自由貿易(NAFTA)によって、輸出加工拠点としての税制面でのメリットを享受している。

■最大の輸出相手国のアメリカは

一方のアメリカサイドは、メキシコの最大の輸出相手国(構成比率79%)であり、政治・経済・科学技術・軍事面で世界の基軸国であることは今後も変わりなく、中長期的に安定成長する可能性が高いと考えられる。まず人口動態では、総人口が2011年の3.1億人から2050年には約4億人に増加する。年齢構成も移民流入が寄与して、高齢化の進行が比較的低くくなっている。生産年齢人口も2050年にかけて増加していく。

資源については、シェール革命により、エネルギーの自給率の向上と価格の低下が予想される。政治・軍事面では、中東へのエネルギー依存度が低下することで、地政学リスクの低下・軍事費の削減が期待される。経済面では、貿易赤字の改善・化学産業の競争力向上・個人と企業への電力コストの低下が想定される。

経済の構造変化に応じて、アメリカへの信認の改善・企業の競争力向上・消費の活発化によって中長期的に発展する可能性が高い。

■メキシコ経済の魅力(2)

製造業以外のメキシコ経済の特徴として、(1)人口ボーナス(2)豊富な資源(3)健全な財政――がある。1つ目の人口ボーナスは、2030年にかけて生産年齢人口が増加していく。現在、総人口1.1億人の中に、平均年齢26歳の豊富な若年人口が存在して、潜在的な成長力上昇要因となる。また、経済成長に伴う所得水準の向上により個人消費の拡大が期待される。2つ目の豊富な資源については、銀・シェールガス・原油が主要な品目。エレクトロニクスなどの工業用に活用される銀の生産量は世界第1位。シェールガスは回収可能資源量が世界4位と推定され、将来性が高いと考えられる。また、原油は世界8位の生産量を有して、国営企業ペメックスの収益は国の歳入に大きく貢献している。3つ目の健全な財政は、政府債務残高のGDP(国内総生産)比は約40%程度で、2013年の財政収支も均衡予算となっており、比較的健全な状態だ。格付けはBaa1で、見通しも安定的、2000年から投資適格の格付けを維持している。

■マクロ経済見通し

当面のメキシコのマクロ経済見通しは、GDP成長率は3%台半ばで安定的に推移、失業率は4%台への低下が想定される。インフレ率は3%程度への低下が見込まれ、中央銀行の政策目標である3%プラスマイナス1%の範囲に収まることから、政策金利は現行の4.5%からの利下げが予想される。

■ミクロの企業業績

ミクロの企業業績は、売上高は年率6%程度の増収、利益は年率16%程度の増益が期待されている。株式市場は、通信サービス・生活必需品などのディフェンシブ・セクターのウエートが約5割と高いことが特色だ。株価指数は、リーマン・ショック後、新高値を更新して、堅調に推移している。

■メキシコペソ相場

為替相場は、メキシコペソの対米ドルレートは2008年のリーマン・ショック時に大幅なペソ安となったが、その後は、緩やかにペソ高へ回復しているが、まだ割安な水準と考えている。

■今後のアピール点

2012年12月に46歳の若いエンリケ・ペニャ・ニエト新大統領が就任し、新政権がスタートを切った。国営石油事業への民間資本導入によるエネルギー改革など、構造改革政策が期待されている。地理的な条件、FTA推進により中長期的な成長性の高い中南米諸国との貿易拡大も見込まれている。また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への交渉参加により、アジア諸国との関係拡大も将来的に期待されている。

■ファンドの銘柄選択

銘柄選択に当たっては、136銘柄のうち流動性などを勘案して、第1段階で約100銘柄に、次にバリュエーションや利益成長、財務健全性などの分析を加え30銘柄程度に絞り、最終的に、ウエート付けなどを通してポートフォリオを構築する。モデルポートフォリオは、生活必需品27.1%、金融12.8%、資本財・サービス18.3%、素材16.7%、通信サービス16.6%となっている。

■運用体制

当ファンドの運用体制は4人。私がチーフインベストメントオフィサーを務め、サブファンドマネージャーは運用部長の児嶋竜三、チーフトレーダーは参事の宮元勉、アシスタントファンドマネージャーは上原愛がそれぞれ担当する。

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