アジア・オセアニア地域に「G・S・H」の魅力 【Jリート・アジアミックス・オープン】

個 別


三井住友アセットマネジメント
株式運用グループ シニアファンドマネージャー REIT担当 秋山悦朗氏
投信営業第一部 担当部長 山崎年喜氏

シニアファンドマネージャー REIT担当 秋山悦朗氏

シニアファンドマネージャー
REIT担当 秋山悦朗氏

三井住友アセットマネジメントは22日に「Jリート・アジアミックス・オープン」を設定する。リート(不動産投資信託)ファンドはこれまでも、個人に人気の高い商品で、販売は拡大しているが、対象はグローバルリートや米国リートなどが中心だった。今後、リート人気はアジア・オセアニアへと拡大すると予想される。同ファンドのようにJリートとアジア・オセアニアリートを組み合わせたファンドは公募投信ではまだ2本目という。その背景や魅力などについて、同社株式運用グループシニアファンドマネージャーREIT担当の秋山悦朗氏と、投信営業第一部担当部長山崎年喜氏に聞いた。

■設定の背景と環境

投信営業第一部 担当部長 山崎年喜氏

投信営業第一部
担当部長 山崎年喜氏

当ファンドはリートを投資対象としたものだが、地域としては日本、オセアニアを含めたアジアのリートにスポットライトを当てたものだ。アジアリート関連では最近さまざまなファンドが登場しているが、不動産株が入ったり、投資地域として日本が入らなかったり、オセアニアが入らなかったりと、ファンドごとに異なっている。当ファンドとかぶっているのは、われわれが把握している限りこれまでわずか1つしかない。それでは、なぜ、今アジアなのか。タイミング的にJリート相場が昨年来かなり上昇してきており、中には既に割高との意見も一部にある。しかし、ファンドマネージャーとしての個人的な見方としては、Jリートはあくまでシクリカル(循環的)なもので、悪循環の期間がリーマン・ショック以降、つい最近まで、3年から4年間続いてきた。リートは、そのビジネスモデルが不動産保有に特化した単純なものだけに、悪循環、好循環が比較的長期化するという特性を持っている。悪循環に陥ると投資口価格が落ち、そして実際の1口当りNAV(純資産価値)やBPS(1口当たり純資産)に対し投資口価格がディスカウントになると増資がしにくくなり、物件が買いにくい状態に陥る。不動産マーケットも調整しているので保有不動産の収益も落ちるという悪循環が続くことになる。それがやっと昨年秋ごろから、特にアベノミクス以降、投資口価格が底入れし、上昇という好循環に入ってきた。投資口価格が上昇し、1口当りNAVや簿価純資産より高くなると増資がしやすくなる。なぜなら調達コストが安くなるからだ。不動産マーケットがボトム圏にあって、安い不動産の購入意欲も高まる。購入したい不動産をエクイティファイナンスで長期的には安価に取得できる。だから昨年後半から今年初めにかけてJリートの増資がこれほどまでに活発化している。またIPO(新規上場)も起きている。好循環に回転し始めるとこの期間もすぐには終わらない。今は、好循環に入ったばかりだ。これまでのマーケットが低迷した目から見るとかなり上がった印象に見えるが、長期スパンでリート市場を見ると好循環に入った入口にいるところなので、その意味ではJリート自体は、過度に割安な期間が終わったところで、これからは巡航速度で好循環のサイクルの中で上昇していくと予想している。故に、タイミングとしても悪くない局面にあると考えている。

ただし、Jリートは、投資口価格が上がっても、配当金はまだ上がっていない。これから半年か1年後に配当金は引き上げられてくると予想され、Jリートの投資口価格は現在、配当金の引き上げを先取りする形で上昇しているともいえる。一方で、アジアリートは2年ほど前から配当金が上昇してきている。そういう意味でアジアリートの大きなバックボーンには、アジアやアセアンの経済成長があることで、マクロ経済が成長すれば、当然不動産市場も成長していく。実際そこにベットしているリートの配当金も成長している。このようにJリートにないものがアジアリートの中にはあると考えている。Jリート以上に成長性が高く魅力的な銘柄を対象に、当ファンドは投資していくというのが基本スタンスだ。また、オセアニアでも、配当利回りの高さや流動性などで魅力的なものがある。

■運用の特徴

運用の特徴としては、グローバルリートのような大型のリートファンドが投資しにくいような中小型の銘柄にもかなり投資する。われわれは5年ほど前からインハウスでリサーチを行っている。具体的には、アナリストが年2回現地に出張して、リート経営者との1対1の面談によりリートの運営を詳細にチェックし、保有物件を実調するなどしてきた。5年の実績を積み上げてきた中で、われわれ自身がやってきてよく分かったことは、中小型銘柄の中にマネージメントの質が高く、保有物件も良いが、まだ時価総額が小さく、ディスカウントされ、その分利回りが高く、将来の成長性も高く、キラッと光るような銘柄がアジアにはかなりあるということだ。当ファンドではそうした銘柄に光を当てて、投資していきたいと考えている。アジアの中小型リートにも注力して、アナリストをそろえ、リサーチ力や運用実績のある運用会社は、他にほとんどないのではないか。これは当社の大きな強みと考えている。

当社が1年前から運用している「アジア好利回りリートファンド」で、資産組み入れのトップスリーに入っているフォーチュン・リートという香港の銘柄がある。これは中型銘柄だが、普通のファンドであれば、トップテンにも入らないような扱いだが、当社はフォーチュン・リートを優良銘柄と考えており、高い組み入れ比率を維持している。2012年は、この銘柄が70%程度も値上がりした。収益も非常に伸びている。当ファンドでも、できるだけ、こうした銘柄を探してこつこつと投資していきたい。

■シンガポールリートの拡大

当ファンドのスタート時のポートフォリオのイメージだが、日本が50%、残りが香港、シンガポール、オーストラリアがおおむね同じ割合で占める見通しだ。こう言うと、アジアといっても香港とシンガポールだけではないかとのご意見があるかもしれないが、当社は、シンガポールリートへの投資、イコール、アジアへの投資と考えている。というのは、シンガポールリートの投資先はアジア全域に広がっているからだ。シンガポールリートを見ると、例えば、物流専門リートのメープルツリー・ロジスティクス・トラストは、シンガポール、日本、香港、中国、マレーシア、韓国に、オフィスと商業施設を持つスターヒル・グローバル・リートはシンガポール、マレーシア、中国、オーストラリア、日本に物件を保有している。また、キャピタ・リテール・チャイナ・トラストは中国の商業施設に特化している。近年ではインドネシアの商業施設に特化したリートもある。シンガポールは国土の大きさが東京23区程度しかないため、優良不動産を求めて、どうしても国外に出ざるを得ない。他方、シンガポール以外のアジアのリートの運営主体は、当該国にリート市場がないとか小さいとの事情からシンガポールのリート市場に上場することを選択することになる。このようにシンガポールのリートに投資することは、シンガポールに投資することではなく、アジア全体にベットすることを意味する。アジアの経済成長を享受していくという点で、ここが1つのキーポイントになる。また、香港リートを通じて中国の商業用不動産リスクにベットできる。アジアのリート市場は、ほかにマレーシアや台湾、韓国などにもあるが、市場が小さい。アジアリート最大の時価総額を誇るキャピタ・モール・トラストは、先のキャピタ・リテール・チャイナ・トラストの20%の持ち分を持っている。またキャピタ・モール・トラストの弟分に当るキャピタ・コマーシャル・トラストというリートはマレーシア上場のリートの持ち分を持っている。リートがリートに投資することは活発に行われている。こうした事情もあってよほど魅力的でない限り、他市場のリートを買わなくともいいということになる。シンガポールの金融市場はダイナミックなので、アジアの中心になってきているとみている。

■アジアリートの原動力

巨視的に見た場合、アジアリートの一番のポイントは中間所得層の拡大だ。人口がいくら増えても中間所得層が育たないと、また育てようとする国の政策や勤勉な国民性がないと、中間所得層の拡大はない。その意味でアジアは生産年齢人口の増加や勤勉性、日本メーカーの工場や小売大手の商業施設の進出、などの国々が多く、中間所得層が拡大すれば、いい住宅に住みたい、オフィス・スペースが必要だ、所得が増えればもっと買い物をしたい、買い物を支えるには最近のネット社会では物流網が大切という中で、不動産マーケットがアジアで拡大していくのはあまりにも自明の理といえる。それをほかの国で実際に目の当たりにしたのが中国であり、アセアンも追いついてきた。そこにシンガポールリートが投資していくわけだ。今後、アジアのリートは横に広がるという見方がある一方、シンガポールや香港に集約されるという可能性もあるとみている。

■アピールポイント

アジア・オセアニア地域には「G・S・H」の魅力がある。Gはグロースで成長のアジア、Sはスタビリティで安定性のJリート、Hはハイリクイディティ&ハイイールドで高い流動性と配当利回りを併せ持ったオセアニア。G・S・Hが1つのエリアの中にあるというのは、非常に魅力的だ。タイミング的にみても、Gは長期的に右肩上がり、Sの部分はある程度シクリカル的な動きをする中、好循環に入ったばかりの状況は魅力的だ。アナリストとファンドマネージャーが一体となって徹底した個別銘柄リサーチを行って厳選運用をしていきたいと考えており、これが当ファンドの強みと理解していただきたい。最後に、短期的な相場の変動に一喜一憂するのではなく、中長期の分散投資の一環として投資することを推奨する。中長期投資で保有すれば、この魅力的なエリアのリートから得られる配当という果実と成長という醍醐味を投資家に享受していただけると確信している。

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