「エマージング債券」現地通貨建てを選好 「グローバル株式」上方修正に着目したロングショート戦略 GAM新春運用セミナー2013/後編

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GAM証券投資顧問は1月22日に「新春セミナー」を開催。スイスを拠点に運用総資産1174億米ドル(約11兆円)を保有するGAMグループが運用するファンドのマネジャー、担当エコノミストおよびアナリストを招集し、世界経済、債券市場、株式市場における2013年の展望が語られた。「前編」に引き続き「後編」を紹介する。

ポール・マクナマラ氏

ポール・マクナマラ氏

エマージング市場債券・通貨の見通しと有望な投資機会

GAMロンドン
インベストメント・ディレクター ポール・マクナマラ氏

■2012年、世界は日本化するのか?

資産市場は“日本化”を織り込み始めた。極めて高水準の負債に主導され、長期にわたって低成長を続ける状態。一般的には債券にとってはプラス、株式投資にとってはマイナスとされている。

ところが、今の世界は1990年ごろの日本のような状況にはない。金融政策ははるかに緩和され、債務者は預金者(債権者)に対してより政治的な影響力を持っている。こうして債券投資家は新たなモデルに直面し、大きな課題を抱えている。足元では世界有数の債券オペレーターのピムコ社が株式部門を立ち上げつつある。

■現地通貨建て新興国債券に投資妙味あり

しかしながら、新興国債券については投資機会が残されているとみる。多くの債券が先進国に集中し、悲観論の高まりとともに債務残高が上積みされる可能性がある一方で、ファンダメンタルズが改善しつつある新興国は債務縮小の余力を持つ。

格付会社はクレジットのダメージを過小評価している西側諸国の格付け会社はクレジットのダメージを過小評価しているようだ。アジア諸国は西側諸国が従来用いてきた時価総額ベースのクレジット・オピニオンについて、疑いを持ち始めている。中国の格付け会社ダゴンは、西側諸国の格付会社が付与する格付けに比べてかなり厳しい線引きを行っている。

とはいえ、昨今、新興諸国は世界経済全体に占めるシェアを急速に伸ばしつつあり、先進国経済と切り離して論じることはできない。かつて議論されたデカップリング理論は楽観的といわざるを得ない。

ならばどこに投資すべきか。近年は安全性を求めて投資適格国の通貨に投資する向きが見られたが、投資において求めるべきはリターンのはず。中には利回りを追及するあまり、ギリシャ国債をドイツ国債の代わりに買うなどという行為も見られるが、これを「バカげている!」と思うどころか、安心して買い進むような局面を迎えれば、それは立派なバブルといえる。

EMインフレ率われわれが選好するのは、新興国の現地通貨建て債券だ。欧州では引き続き金融緩和策がとられ、これは、新興諸国の成長にも多大な好影響を及ぼす。先進国の金融緩和は特にキャリー取引や欧州問題とは関連のないリスク資産、例えばメキシコ・ペソにとってはこれまでプラスの影響をもたらしている。

新興国でのインフレを懸念する声が聞かれるが、これまでのところインフレは起きていない。食品価格は若干上昇しているが、世界各地で起こる干ばつの影響も含まれている。そもそも2008年の金融危機と比べて金融緩和の影響は大きくない。

■依然はびこる「中国リスク」

新興諸国の中で市場が最も懸念する中国は、今後もリスクとして存在するだろう。成長を促すためにクレジットがかなり伸びているものの、それほど大きなGDP(国内総生産)成長は達成されていない。

ロベルト・カンタルッピ氏

ロベルト・カンタルッピ氏

悲観論が過ぎ去った後の世界~欧州株式からのアルファ創出~

GAMルガーノ
シニア・ファンド・マネジャー ロベルト・カンタルッピ氏

足元では株式運用についてロングショート戦略に自信をもっており、今回はその理由を説明したい。

■勝者と敗者、二極化が拡大

2013年も11、12年と同様の流れが続くだろう。アナリスト予想は収益成長率10%とするが、これは非現実的。すでにマイナス修正の兆しも見られる。GAMでは市場にそれほど有用性はないとみるが、引き続き「企業業績内容の格差」には潤沢な投資機会があるとみている。低成長下で銀行の貸し出しは低水準に。こうした逆境下では、困難をはねのけて成長できる企業とそうでない企業、つまり、勝者と敗者との二極化が、市場好調時と比べてより明確に起こる。

■企業の「変化」を予測する

業績予想の変化勝者と敗者を見分ける際に注目すべきは「業績修正」だ。現在の株価はすべての入手可能な情報やアナリストの業績予想についてのコンセンサスを反映している。従って、収益を上げるためには変化を予測する必要がある。バリュエーションと価格モメンタムの下支えがある場合、業績予想の修正が最も有効な銘柄選定基準であることは、過去のデータが実証している。

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