内需&外需の好バランスで安定成長続くメキシコ株に投資 「HSBCメキシコ株式オープン」2月28日新規設定

個 別 概 況


HSBC「メキシコ経済セミナー」開催

ビル・マルドナド氏

ビル・マルドナド氏

HSBCグローバル・アセット・マネジメント
グローバル株式部門CIO兼アジア・パシフィック地域CIO
ビル・マルドナド氏

新興国リサーチに定評があるHSBC。既に2011年11月、新興国株式全般について投資戦略を強気に転換しており、いま振り返ると、まさにここがボトムのタイミングだった。そんな同社が足元で注目するのは中国、インド、そしてメキシコ。隣国・米国がシェールガスによるエネルギー革命に沸くも、これを上回る勢いで飛躍せんとするメキシコの成長を享受するべく、同社は2月28日に「HSBCメキシコ株式オープン」を新規設定する。今回はファンド設定に先立って5日に開催された「メキシコ経済セミナー」の内容を抜粋して紹介する。

低迷続くグローバル経済に“薄日”

2013年もグローバル経済の低迷は続くとみるが、2014年には好転が見込まれる。結論から言えば、メキシコなど中南米諸国も2013年は厳しい環境が続くだろう。欧米の製造業の売上高は2%成長にとどまる見込み。しかし、米国の輸入に占めるメキシコのシェア増大がこうしたマイナス材料を相殺。内需の好調も相まって、中長期的な見通しに立てば、いやが上にもメキシコへの注目が高まるだろう。

メキシコの魅力(1)強い製造業

NAFTA(北米自由貿易協定)の締結や地理的要因を背景に、メキシコ経済は米国の景気サイクルに大きく影響されることは広く知られるところ。

しかしながら、近年は輸出先の多様化が進んでおり、米国向けの輸出比率は2000年の89%から2011年には79%にまで低下。代わりにアジアや中南米向けが伸びている。現在メキシコは44カ国とFTA(自由貿易協定)を締結。こうして国別の分散化が進んだ結果、メキシコの鉱工業生産指数は米国を上回るまでに。もはやメキシコは“アメリカ成長のレバレッジを期待する”といった存在にとどまらない。

■引き続き「自動車」がけん引

メキシコは工業品、とりわけ自動車関連の輸出が盛ん。輸出品の8割を工業品が、うち8割を自動車関連が占めている。自動車の生産台数は2009年の150万台を底に回復。米国での買い替え需要あるいは自動車ローンの借り入れ条件の緩和などを背景に近年増加しており、メキシコでの年間生産台数は2011年実績の260万台から、2013年は100万台程度増加する見通し。メキシコには現在、世界の自動車大手8社が生産拠点を持ち、生産台数は世界第8位、輸出台数は世界第5位となっている。

■通貨安で賃金上昇をセーブ

新興国では賃金上昇が成長にブレーキをかけている。中国では過去10年間で実質賃金は4倍ほどに上昇したが、メキシコでは、良好な人口動態と弱い通貨によって、ほとんど横ばいが続いている。メキシコペソは1990年代半ばに政情不安を懸念した海外投資家の資金逃避によって引き起こされた「テキーラショック」以降、割安な状況が続いている。足元では上昇するも、ほかのラテンアメリカ通貨と比べて出遅れ感が強く、経済を締め付けるまでには至っていない。

メキシコの魅力(2)内需が下支え

メキシコの2012年GDP(国内総生産)成長率4%という数字は、例えば中国の8%と比べるとずいぶん低く感じるかもしれない。しかしながら、中国のそれは公的な投資によって達成されたものであり、純粋な消費部分に限ってみればメキシコと同程度とみられる。

メキシコはGDPに占める民間消費の割合が60%以上の「消費主導の国」。そして、2010年以降は小売売上高や消費者信頼感指数など内需のトレンドを示す指標が上昇を続けている。実質賃金はほぼ横ばいだが、企業側が支払った総額はコンスタントに増加。これは、労働市場に人口流入があったことを意味する。

人口の50%が25歳未満という良好な人口動態こそが最大の魅力といえるかもしれない。人口動態が経済に好影響をもたらす「人口ボーナス」のピークは2030年とみられ、今後数十年間にわたって経済の不均衡を起こすことなく、国内で労働者を賄うことができる。住宅ローンなど個人向け融資など信用拡大の余地が大きい点も魅力。

メキシコの魅力(3)堅実な経済政策

過去20年間にわたって経済改革を実施した結果、外的ショックに対する脆弱(ぜいじゃく)性を低減。インフレターゲットや変動相場制の導入、緊縮財政などビジネスにフレンドリーな政策が盛り込まれ、外貨準備高はGDP比で20%ほどにまで増加。政府債務残高はGDP比20%ほどで落ち着いており、その内訳を見ると、2000年以降は一貫して債務に占める国内債務の比率が対外債務の比率を大きく上回っているなど、外資に依存しない、堅実な経済の枠組みを作り出している。

政府は現在、付加価値税がゼロの物品の大半を廃止することや、州レベルでの消費税の導入、ガソリン税など高所得者に有利な補助金の削減などを議論中。これら改革で浮いた資金は教育や社会インフラに投入される予定で、こうして、今後労働市場に入ってくる若年層の底上げが、メキシコ経済の安定成長を下支えすることが期待されている。

メキシコ株式市場の現状と運用戦略

■ディフェンシブ偏重、割安感は薄い

2012年のメキシコの経済規模はブラジルの半分ほどだが、時価総額はわずか4分の1にとどまる。今後、このギャップをキャッチアップする方向で市場が拡大する余地はかなりある。

メキシコ株式市場には現在136銘柄が上場するが、トップ4ー5社で時価総額の50%を占めており、他市場に比べセクター分散が弱い。

現時点では割安感はなく、妥当な水準にある。MSCIメキシコ指数はPBR(株価純資産倍率)、PERともに5年平均を若干上回っている。

そもそもメキシコ株はなぜプレミアムが付与された状態にあるのか? 企業の収益が伸びたためで、2013年もEPS(1株利益)で15%台の成長が予想されている。これはだいたい中南米諸国の平均値であり、日本を除くアジア諸国の13%台を上回る水準だ。2014年は他市場では下がることが見込まれているが、メキシコは強い状況が続くなど、企業収益は安定成長が予想されていることの証左といえ、現在のバリュエーションは正当化されるだろう。

■機関投資家の選好で、安定成長続く

外国人投資家のウエートの高さも大きな魅力だ。メキシコ株式市場の時価総額は3500億米ドルほどだが、うち1600億米ドルほどを外国人投資家が保有。そしてこの保有高は近年、増加基調にある。機関投資家はファンダメンタルズで動くため、個人投資家のウエートが高い一部新興国などと比べて安定した成長が期待される。

「HSBCメキシコ株式オープン」運用戦略

当面は素材や金融などをオーバーウエートとする一方で、指数の60%を占めるディフェンシブセクターをアンダーウエートとする。生活必需品は中間層の拡大で興味深い展開が期待されるが、いまだに多くの人がグローバル規模でのリセッションを懸念する現状では、シクリカルセクターと比べて50%ほど割高なため。

MSCI Mexicoのセクター構成 MSCI Brazilのセクター構成

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