世界の「ブランド株」で効率投資 三井住友AM 注目ファンド

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価格優位性で追随許さず、高収益キープ

仏エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメント
インターナショナル・エクイティ・チーム ポートフォリオ・マネジャー
ヴァレリー・グエルフィ氏

ヴァレリー・グエルフィ氏

ヴァレリー・グエルフィ氏

三井住友アセットマネジメントが昨年11月16日に設定、運用を開始した「日興エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・ブランド・ファンド」が好スタートを切った。2月13日時点の基準価額は1万2912円と、わずか3カ月で約3割ものリターンを上げている。当然ながら、同時期にグローバル経済の回復ムードが急速に高まったことが大きな要因ではあるものの、「ファンドのテーマ性が投資効率を高めている」と、運用担当者のヴァレリー・グエルフィ氏は語る。1月来日した同氏にファンドの魅力と今後の運用方針などを聞いた。

――まずはファンドの概要を教えてほしい。

「投資対象は世界の『ブランド株』。高級な商品やサービスを提供する企業、または、世界的に強固なブランドイメージを有する企業の株式に投資する。ベンチマークを持たず、40-50銘柄ほどに集中投資を行うことで、効率良く中長期的な成長を目指す」

――ブランド株とは、具体的に。

投資テーマ別代表的なブランド株式の銘柄例

投資テーマ別代表的なブランド株式の銘柄例

「当ファンドは8つの投資テーマを持つ。(1)ラグジュアリーグッズ(宝石、時計、高級バッグなど)、(2)香水&化粧品、(3)スタイリッシュライフ(高機能電子機器やスポーツ用品など)、(4)高級ホテル&リゾート、(5)高級車、(6)金融サービス(クレジットカードやプライベートバンクなど)、(7)ワイン&スピリッツ、(8)高級品販売(百貨店など)――で、いずれも、伝統やそれに裏付けられた品質への信頼を有し、あるいは、洗練されたデザインやサービスを提供することで、ブランド価値が世界に広く認められている企業だ」

「ブランド価値の獲得は容易ではなく、ブランド株は希少な存在といえる。世界の株式市場の時価総額が約3825兆円なのに対して、当ファンドが考えるブランド株の時価総額は約176兆円と5%ほどにとどまる」

――ブランド株の魅力は?

「先述したように『(1)希少性の高さ』。それ故、価格競争に巻き込まれにくく、『(2)利益率の高さ』も大きな魅力だ。そして、今後は新興国を中心に『(3)売り上げの増加』が期待される――といった3つの魅力が挙げられる」

「ブランド株は『(2)利益率の高さ』と『(3)売り上げの増加』のおかげで業績堅調。キャッシュリッチで財務基盤も強固なため、必要であれば成長に不可欠なファイナンスも可能。株価の希薄化につながるような出来事が起こりにくいといった特徴も」

「結果、『安定』こそが、ブランド株の最大の魅力といえるかもしれない。グローバル経済が奈落の底に突き落とされた2008―2009年も、多くのブランド株はさほど大きな影響を受けなかった。そもそもブランドを支持する純金融資産100万㌦超の富裕層は金融危機下でも生活コストを下げたり買い惜しみをしたりといった行動はとらず、ブランド株の業績は景気動向の影響を受けづらい。例えば車。欧米ではここ数年、ルノーやプジョーなど大衆車が苦境に置かれた一方で、BMWの売り上げは落ちていない」

「ブランド株の過去5年間のパフォーマンスは世界株式を上回っており、特に、2009年2月末以降の株価回復局面でのパフォーマンスが良好だ。確かに、金融危機が起こると人々は消費行動をフリーズさせるが、それは一瞬。数カ月後には急激なリバウンドが見られる」

――新興国での売上状況はどうか。

「代表的なブランド企業の売上高を見ると、3分の1ほどを新興国が占めている。例えばグッチ。イタリア発祥のファッションブランドで、4年前は新興国での売り上げが全体の10%ほどだったものが、最近は25%にまで上昇している。あるいは、ワインやスピリッツなど洋酒製造・販売を手掛けるフランスのペルノ・リカール社は、知名度&イメージ向上のため、売上の10―15%を新興国での広告宣伝費に当てている」

「ちなみにブランド企業の売上好調は新興国だけにとどまらない。先日、第3・四半期(8―10月)決算を発表したイタリアのプラダは、グローバルで前年同期比30%増収・増益を達成し、株価は15%上昇した。新興国からの観光客を取り込んだ欧州旗艦店の売上好調が要因だった。プラダはグローバル出店加速のための資金調達を目的に、数年前に香港上場を果たしたが、その際には『年間80店舗増を3年間続ける』と表明している」

「ブランド品の主要顧客と考えられる世界の高所得者人口は2010年の9.4億人から、2020年には16.8億人にまで増加すると予想されている。特にアジアでの増加が著しく、中国では2000年以降、高所得者の増加に加えて、規制緩和や通貨高により海外旅行者が増加。彼らの旺盛なブランド購入意欲が、今後もブランド企業の収益を押し上げることが期待される」

――いま注目しているテーマ、企業は?

「テーマでは『ホテル&リゾート』『香水&化粧品』がユニーク。2年前フランスのパリにシャングリ・ラ ホテルがオープンしたのだが、1部屋当たりの宿泊代金は1000ユーロ(約12万円)と高額にもかかわらず、新興国からの観光客増加で、初年度で稼働率90%超をたたき出した」

「『香水&化粧品』は過去1カ月で投資配分を8%引き上げた。米国エスティローダー社は旅行者用の小型パッケージ商品を空港などを中心に販売しており、これが好調。新たな収益ドライバーに育つ可能性を評価して、組み入れを増やした」

「ある意味トレンドをとりにいっている『スタイリッシュライフ』は、当ファンドでもっともユニークな部分。iPhoneの米国アップル社、ムートンブーツを製造販売するオーストラリアのUGG社などが含まれる。UGGのムートンブーツは伝統的な羊毛皮製の靴を革新的なデザインに仕立てたもので、数万円と高価格にもかかわらず、世界中で人気を博している。両社ともにイノベーションを起こして新しいトレンドを創造、価格競争に巻き込まれないといった強みを持つ」

※本文の内容は取材日1月25日時点のもの

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