中長期的なトータル・リターンを追求 「世界高利回り社債ファンド」(為替スマートヘッジ) 

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為替部分は“お任せ”で差別化図る
20歳代~50歳代の資産形成層に加えて60歳代も照準へ

三菱UFJ投信 商品企画部開発グループチーフマネジャー 大泉守氏に聞く

三菱UFJ投信 商品企画部開発グループチーフマネジャー 大泉守氏

三菱UFJ投信 商品企画部開発グループ
チーフマネジャー 大泉守氏

三菱UFJ投信は20日に「世界高利回り社債ファンド」(為替スマートヘッジ)を設定する。同ファンドは、販売の主流となっている高めの分配金を支払う毎月分配型ではなく、決算頻度を抑え、中長期的な資産形成をメーンに打ち出した商品。また、柔軟な為替ヘッジ戦略にも特徴があり、その点で日本ではまだ数少ない商品性を持ったファンドだ。そこで、同ファンドの設定の背景や、特徴、仕組み、為替戦略などについて、同社商品企画部開発グループチーフマネジャーの大泉守氏に聞いた。

■設定の背景

ここ数年、投資信託の市場では、高めの分配金を支払う毎月分配型が販売の大半を占める状況が続いてきた。一方で、必ずしも高い分配金を毎月必要としていない投資家の方々にも高分配型のファンドが販売されており、お客さまの投資目的と、ファンドの商品性にある程度のギャップが生じている状況があると考えた。また、昨年後半から投資信託市場を取り巻く環境に変化が表れ始めた。分配金の引き下げ、運用成績をトータル・リターン(累積損益)で受益者(投資家)に通知する仕組みの導入の検討、株式投信の譲渡益や分配金に対する軽減税率の廃止や来年からの日本版ISA(少額投資非課税制度)導入などである。こうした背景から、高い分配金だけでなく、より中長期のトータル・リターンを重視して投資を行う流れが強まることを想定し、今回のファンドの組成に踏み切ったものだ。

想定する主な投資家層は、20歳代から50歳代の資産形成層に加えて60歳代の方もターゲットとしている。厚生労働省のデータによると、65歳の方で平均余命が、男性で19年、女性で24年まで延びているという報告がある。こうしたシニアライフの長期化から、60歳代の方々でも、単に分配金を受け取るというだけではなく、いったん投資資金を増やしてから受け取りたいというニーズがあると考えている。この増やすという目的が中長期的なトータル・リターンを追求するというファンドの商品性とマッチし、新たな投資家層の掘り起しができるのでないかと考えている。

■ファンドのポイント

中長期的なリターンをどのような形で追及していけばよいのか。投資対象や為替ヘッジの対応、分配金の出し方などの点について議論を重ねてきた。ポイントになるのが以下3つだ。

1つ目は世界の高利回り社債への投資。格付けは相対的に低めだが利回りの高い非投資適格社債に投資することで、高いインカムを獲得するのが狙いだ。投資対象は幅広い投資機会をとらえるため米国などに限定せず、ヨーロッパ、新興国などまで広げている。格付けについては、デフォルトリスクを極力回避するため、取得時の格付けを「B-」格相当以上とした。

2つ目は増やす楽しみとして、決算頻度を年1回、分配水準も抑制することで、実質的な複利効果を期待した。軽減税率の廃止が決定される中で、お客さまの投資資金を効率よく運用することも考慮した。

3つ目が為替ヘッジ方針。これが当ファンドでの大きなポイントになろう。外債ファンドでは、パフォーマンスに大きな影響を与えるのが為替変動だ。今までのファンドでは、単なる「ヘッジあり」「ヘッジなし」というメニューを提供して、お客さまがご自分の見通しで選ぶという形が主流であったが、今回は、為替部分についても運用者へお任せいただくファンドとして、単なる為替の「ヘッジあり」「ヘッジなし」ファンドとの差別化を図っていく。

■運用会社は世界有数の債券ハウス

当ファンドの運用を担うのは、米国を本拠にしているウエスタン・アセット・マネジメント・グループ。同社は世界有数の債券運用専門会社として知られており、当ファンドの海外債券の運用は、ウエスタンの欧米拠点が行う。為替ヘッジはウエスタンの日本の拠点(東京)が行う。ウエスタンとは2011年末からこうした為替ヘッジ比率の調整を行うファンド案についての議論を重ねてきたが、当時は高分配全盛期でファンド設定には至らなかった。環境が変化する中で、中長期的なトータル・リターンを獲得していくというファンドへのニーズが出てくることを想定して検討を続けてきた。

■モデルポートフォリオ

投資対象のイメージをつかんでいただくための参考モデルポートフォリオ(2012年12月13日現在)によると、通貨別組入比率は米ドルが88.6%、ユーロが7.6%、英ポンドが3.8%などの順。国別は米国が59.4%、ロシアが5.5%、ブラジルが4.2%、イギリスが4.1%、メキシコが3.1%などの順。格付け別組み入れ比率は、B格が59.0%、BB格が32.7%などの順で、ハイイールド債が9割強を占めている。

■為替スマートヘッジ

為替スマートヘッジは為替変動リスクを効率的に抑制しながら、中長期的な投資成果の向上を目指すのが狙い。当ファンドは、お客さまの中長期での保有を前提としているが、ファンド保有期間中に、為替トレンドが大きく変化することが十分考えられるため、これに対応できるようにアレンジしている。為替スマートヘッジでは、為替ヘッジ比率を円ドルで調整する。実際のプロセスでは、2つの大きなステップを踏む。

1つ目は「為替ヘッジコスト」と「通貨魅力度」で、ここで基本となる為替ヘッジ比率を決める。2つ目は為替市場の変動性。この市場変動性をリスク回避的なシグナルとして使う。為替市場の変動性が高まる局面では、その程度に応じて為替ヘッジ比率を高める。このような2段階の組み合わせを行い、最終的にウエスタン・アセット・マネジメントの判断により為替ヘッジ比率を決めていく。

「為替ヘッジコスト」は日米の短期金利差で、ウエスタン・アセット・マネジメントが過去の平均値や標準偏差などを使って、現在がどの程度のレベルなのかを判断して為替ヘッジ比率を決めていく。

「通貨魅力度」は、ウエスタン・アセット・マネジメントの通貨運用モデルを活用して測定する。当モデルは先進国通貨10カ国の相対的な強弱を判断するもので、過去高い運用成果を上げてきた。今回はその中から、米ドルと円の相対的な魅力度を見て為替ヘッジ比率を決定する。モデルでは、景気の方向性、景気の強さ、潜在成長率、キャリーの考慮(金利差)、株価評価の5つの大きなファクターの中で、米ドルと円の強弱を判断していく。米ドルが強いと判断される時に為替ヘッジ比率を引き下げ、円が強い、または円とドルが同等の時には為替ヘッジ比率が高い水準となるよう設定されている。

■投資家の方々に一言

当ファンドは、中長期的なトータルリターンの追求により、“時間をかける価値”をご提供させていただきます。
投資家の皆さまの資産をじっくりと増やすお手伝いをさせていただければ幸いです。

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