「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」  中国株市場の急速な環境好転でリーディング・ファンドに脚光

個 別


三井住友アセットマネジメント
株式運用グループシニアファンドマネージャー 上原義信氏
投信営業第一部担当部長 宗正彰氏に聞く

株式運用グループシニアファンドマネージャー 上原義信氏

上原義信氏

投資信託にも、その投資対象のジャンルごとに質、量の両面から充実したリーディング・ファンドがある。中国関連株ファンドでは、三井住友アセットマネジメントが設定・運用している「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」がその1つといえよう。運用開始から今年で13年目を迎えた。中国経済の底入れ機運が強まり、中国株市場を取り巻く環境は急速に好転しており、中国関連株ファンドの購入の好タイミングを迎えたということもできる。そこで同社株式運用グループシニアファンドマネージャーの上原義信氏と、投信営業第一部担当部長の宗正彰氏に同ファンドの特徴や仕組み、強み、運用状況、中国株投資の考え方、市場環境などについて聞いた。

■ファンドヒストリー

投信営業第一部担当部長 宗正彰氏

宗正彰氏

主に中国関連株に投資するファンド。中国の今後の経済成長の恩恵を受ける、中国国内で事業展開している企業であれば、中国本土、香港、米国など上場市場は問わない。現在の実際のポートフォリオでは、約8割がH株など香港に上場している銘柄で占められている。残りは中国本土の市場に上場している銘柄だが、当社は2006年、日系運用会社では2番目にQFII(適格海外機関投資家)の認可を取得して2007年からA株投資を開始した。現在のA株組み入れ比率は17%程度で、これが当ファンドの特徴の1つとなっている。

当ファンドを立ち上げたのは2001年10月で、トラックレコードは13年目に入っている。A株への投資も他社より早く、当ファンドは中国株投資の老舗だともいえる。長い歴史を持っているファンドはそれ相応の理由があって、例えば、アカウンタビリティーを満たしていることや運用がしっかりしていることなどで、投資家の方々も注目している。また、純資産額が昨年末現在で427億円と、中国関連ファンドでは国内最大規模、販売会社も約100社と規模が大きい。当ファンドがロングセラーである故の数字といえる。このようにファンドのサイズやトラックレコード、販売会社数、さらに相対的なパフォーマンスの良さといい、客観的に見ても、日本で設定・運用している中国株ファンドの中で代表的なファンドの1つと位置付けていただけると考えている。

■運用の特徴

当ファンドは、インフラ関連や消費関連、あるいは配当利回りなど特定のテーマに基づいて投資するファンドではない。中国経済の中長期的な成長の果実を享受するのが狙いで、成長力のある銘柄を、バリューションを考慮しつつ選別投資するのが基本だ。その時々の経済状況や景気見通しに応じて業種配分を調整するなど銘柄を入れ替えながらアクティブに運用を行う、正統派のファンドと考えていただきたい。

当ファンドにはベンチマークを設定していないが、中国関連株指数で最もオーソドックスなMSCIチャイナ指数を参考にはしている。資産規模が大きいため、組み入れ銘柄の流動性はある程度考慮する必要があり、現時点での業種別資産構成では、上から銀行、エネルギー、保険、電気通信サービス、不動産などの順となっている。上位にランクされている業種は、成長力とバリュエーションという観点プラス流動性に優れている、あるいは魅力的な銘柄が多いという判断があってのことだ。

内需関連と外需関連とで色分けすると、当ファンドは圧倒的に内需関連を中心としたポートフォリオ構成となっている。中国は、かつての「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌(へんぼう)を遂げつつあるが、これはまさに中国政府が目指している方向性に一致するものだ。外需主導から内需主導、投資主導から消費主導の成長への転換は、第12次5カ年計画(2011-2015年)における基本方針となっているが、これはこの期間だけの目標にとどまらず、おそらく今後10年、20年という長い期間にわたって維持される政策理念の柱ともいえるもの。従って、中長期的にはこの方向性を意識したポートフォリオを組み立てるのが自然な発想といえよう。もっとも、景気は循環する生き物であり、その時々の状況に応じて銘柄を入れ替えていくのは当然だ。例えば外需関連でも、海外経済の回復が期待される局面において、本来の株式価値を大きく下回って割安に放置されている銘柄を組み入れることは否定しない。臨機応変に対応していくのが基本だ。

■日系トップクラスの運用チーム

当ファンドの運用は、東京、香港、上海の3拠点所属のメンバーによるチーム運用だ。東京が運用拠点で、上海がA株のリサーチ、香港がA株以外の香港上場株、米国上場株などのリサーチおよび運用助言を行っている。3拠点には、アセアンや、韓国、台湾、インドなどを担当しているメンバーも含めてトータル30人以上のアジア中国関連スタッフを抱えており、日系の中ではトップクラスの運用・リサーチ体制と思う。このスタッフの充実も当ファンドの大きな強みとなっている。

■運用プロセスと中国株投資の考え方

まずは、4000銘柄を超える中国関連株の中から重点的にリサーチを行う優良企業群として、香港や米国の証券取引所に上場する200銘柄強、本土A株市場に上場する150銘柄強を選別し、その中から最終的に60-70銘柄まで絞り込んでポートフォリオを構築する。最終的なポートフォリオへの落とし込みにあたっては、成長性や収益性、安定性、あるいは商品戦略などの分析が基本になるが、これに加えて、特に中国企業ならではの着目点として重視している点が2つある。1つは国策に沿った事業を行う企業であるかどうか、という点。中国は経済政策が経済全体や個々の企業活動に及ぼす影響が先進国と比べはるかに大きいため、投資対象企業の事業が国策にマッチしているか、あるいは、少なくとも国策に反していないかどうか、という観点は重要なポイントだ。もう1つは、ディスクロージャーの姿勢などに象徴されるコーポレートガバナンス(企業統治)の良しあしのチェック。中国企業の場合、先進国の企業に比べてコーポレートガバナンスが未熟な企業が多く、それが株主の不利益につながるケースが頻繁に見られるため、コーポレートガバナンスやマネジメントのクオリティーのチェックは必須だ。そのため、チーム内のファンドマネージャーやアナリストは、直接、投資対象企業の経営陣に会い、経営方針やその実現可能性についてチェックすることを重視している。もっとも、コーポレートガバナンスの優劣を定量的に把握するのは難しい。そこで、周辺情報として、過去のトラックレコードやストックオプションの導入など株価を意識した経営がなされているか、配当政策など株主還元に前向きであるかどうか、などをチェックするようにしている。これでも完全ではないが、この2点には徹底的にこだわって銘柄選択を行っている。香港や上海のローカルスタッフ、あるいは本土出身のファンドマネージャーやアナリスト、エコノミストの働きは非常に大きい。中国企業との面談回数は、東京、香港、上海の3拠点合わせて年間で累計1000件以上に上っており、これがポートフォリオを常にフレッシュに保つ原動力になっている。

■中国経済の当面の見通し

先日発表された2012年10-12月期実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比△7.9%と7-9月期の同△7.4%からの回復が確認され、今後も少なくとも2013年上半期については緩やかながら回復が続くと予想している。一方、年後半には成長率が鈍化する可能性があるが、水準としては当面は7-8%の成長が期待できるだろう。もはや過去のような10%を超える高成長は期待できないが、それでもほかの新興国よりも高い成長は維持できる見込みだ。

リスクとしては、インフレと不動産価格の上昇がある。インフレは豚肉や野菜などの食料品価格がポイントとなるが、家畜の疫病や極端な天候不順などがない限り、消費者物価の上昇率は政府の目標である△4%の範囲内に収まるのではないか。不動産価格は上昇が過熱すると引き締めが強化される可能性があり、注意が必要だ。

■中国株式相場の当面の見通し

中国の株式市場は、一部で高値警戒感が高まっており、また、抜本的な解決が先送りされた米国の「財政の崖」問題が再燃する懸念も残るため、短期的に利益確定の動きが強まる場面も想定される。しかし、今後、景気の回復基調がさらに鮮明になり、企業業績見通しの底打ち・上方修正機運が出てくることで、市場は再び上昇に向かうと考えている。ほかの新興国に比べて相対的に割安なバリュエーションも支援材料の1つだ。

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