他社よりも高い配当利回りの銘柄組む 「新光 US-REIT オープン」(愛称:ゼウス)

個 別


米不動産、集合住宅と物流倉庫の改善顕著
インベスコ・リアル・エステート 不動産証券運用チーム
ポートフォリオ・マネジャー ジョー・V・ロドリゲス氏が講演

インベスコ・リアル・エステート 不動産証券運用チーム ポートフォリオ・マネジャー ジョー・V・ロドリゲス氏

ジョー・V・ロドリゲス氏


米国のREIT(不動産投資信託)に分散投資する「新光 US―REIT オープン」(愛称:ゼウス)。純資産は5700億円に及び、日本で販売されている公募型投資信託の純資産ランキングでトップ10に入る有力ファンドとなっている。ゼウスの運用を手掛けるインベスコ・リアル・エステートのジョー・V・ロドリゲス氏がこのたび来日し、米国REITを取り巻く環境、ゼウスの特徴などについて語った。インベスコ・リアル・エステート(本拠地:米国テキサス州ダラス)は、世界有数の運用会社である米インベスコ・グループの不動産部門。

米国のマクロ経済――緩やかな回復続く

「米国経済は景気低迷からの立ち上がり局面にあり、GDP(国内総生産)成長率は過去平均(3―4%)に比べ抑えられるものの、今年に続いて来年も2%程度が見込まれ、緩やかな回復が続く見通し」

「雇用環境も、新興国での中間層勃興やシェールガス採掘量増加の恩恵などを受け、製造業を中心に改善方向。雇用増加率は1%程度の伸びが続く見通しにある」

米国の不動産市場――賃料底入れ、稼働率も改善傾向

「不動産賃料は、集合住宅、商業施設、物流倉庫、オフィスといずれも底入れしている。これまで新規物件供給が大きく絞られてきたことで、需給が締まってきたことが背景」

「サブプライムローン問題が表面化してきた2007年以降、賃料下落や不動産開発の融資抑制によって、新規物件供給が絞られ、近年の新規物件供給比率は、過去に例を見ない水準に低下した。これにより、経済が少し回復するだけで、不動産需要が強まる構造になり、経済回復のペース以上に賃料上昇が見込まれる状況になってきている。また、不動産稼働率も改善傾向にある。特に改善顕著なのが、集合住宅と物流倉庫だ」

集合住宅の注目ポイント

「集合住宅の稼働率は足元95.5%に回復してきた。稼働率改善が顕著な理由として、“エコー・ブーマー”と呼ばれるベビーブーマーの子ども、団塊ジュニアの子どもが25―34歳となり、賃貸住宅のニーズが増加していることが挙げられる。また、サブプライム・ショックを機に金融機関の融資基準が厳しくなったことで、ほかの世代でも持ち家ではなく賃貸住宅に住む人が増えてきている」

「今後も賃貸住宅は需要拡大が見込まれる。持ち家比率は、サブプライムローンが奨励されていた06年前後こそ69%に高まったが、過去平均は65%。米国の世帯数は約1億で、持ち家比率に当てはめると、6500万世帯が持ち家、3500万世帯が賃貸住宅ということになる。この持ち家比率は、今後は長期平均で64%になると予想されており、65%から64%へ1ポイント下がると、100万世帯分の賃貸住宅需要が生まれることになる。また、若年層の就労環境が比較的厳しいこともあり、若年層の世帯(300万世帯)で従来以上に賃貸住宅を選好する傾向が強まると予想される」

物流倉庫の注目ポイント

「製造業の設備稼働率と物流倉庫の稼働率の過去推移を見ると、製造業の設備稼働率改善から1、2年遅れて物流倉庫の稼働率が改善に向かうパターンとなっている」

「今回も同様で、製造業の設備稼働率が09年を底に10年から改善傾向を強めてきたのに対し、物流倉庫の稼働率は10年を底に反転し、足元で改善顕著。製造業の回復に加え、eコマースの拡大も物流倉庫の稼働率改善を後押ししている。米国では日本以上にeコマースが活発で、買い物の10%程度はネット経由と言われている」

2013年の米国REIT見通し

「REITは不動産を取り巻く環境が厳しかった09年、10年も比較的しっかり資金調達を行い、ここ数年間、不動産の買い手として資金不足に陥ったプレーヤーからお値打ち価格で物件を取得してきた。そうした局面を経て、ここ賃料、稼働率ともに向上してきており、13年のREITは12年を上回る増益率が見込まれ、キャッシュフローも配当も過去平均を上回る8―10%程度の成長を見込んでいる。市場平均の配当利回りは足元は3.5%だが、13年にはこれが約1割増加することを想定している」

2013年のゼウスの投資戦略

「他社よりも高い配当利回りの銘柄でポートフォリオを組む方針。また、時価総額のより大きい銘柄を組み入れていく。『財政の崖』問題への政府の対応次第では、13年は市場変動幅が大きくなることが予想される。こうした局面では、時価総額の小さい銘柄はボラティリティ(価格変動率)が大きくなる。このため、より時価総額が大きく、流動性も高い銘柄を組み入れていく」

「不動産のセクター別では、①賃貸住居②医療関連施設(シニア向け住宅、介護施設、病院など)③物流倉庫――といったファンダメンタルズ良好なものをオーバーウエートとする」

「賃貸住宅、物流倉庫に注目する理由は先ほど説明した通り。医療関連施設については、これからベビーブーマーの大量退職時代を迎え、シニア向け住宅、介護施設などへの需要も拡大が見込まれることからオーバーウエートとする」

「財政の崖」問題について

「減税措置の失効と強制的な歳出削減が発動する『財政の崖』問題に関しては、民主党、共和党が互いに妥協し、増税、歳出削減を一気に実行することは避け、『実施先送り』もしくは『1年程度の時間をかけて細目ごとに実施する』展開を想定している。つまり、“崖から真っ逆さまに落ちる”のではなく、“崖の縁に仮設の橋を架け、民主党と共和党が手を取り合って下りていく”展開を予想している」

「これを基本シナリオに来年のGDP成長率を2%と予想。一方、民主党と共和党が意地を張り合い、崖から転げ落ちる場合、GDPは来年前半は1―2%のマイナス成長となろうが、来年後半にリバウンドし、年間ではプラスマイナス0に落ち着くとみられる」

「財政正常化に向けた取り組みは必要なことであり、後者のシナリオになったとしても、長い目でみればプラスに働く。ただ、株式市場では『先送り合意』『両党妥協』でコンセンサスが形成されており、意地を張り合い続けた場合、株価は一時的に大きく下げる場面もあろう」

投資家へのメッセージ

「米国のREIT指数およびゼウスの価格は、09年3月の底値から順調に回復しているが決して割高な水準にはないと考えている。むしろ、“財政の崖”などへの懸念から実態にカイ離して下落する局面においては良好な投資機会ととらえている」

「米国の株式市場は“財政の崖”を巡るニュースに一喜一憂する展開が想定されるが、先行き見通しが開けてきており、相応のリターンを期待できる状況にあることから、是非、長期での保有を検討いただきたい。不動産投資に長年携わってきた経験からしても、REITへの投資妙味が高まるのは、足元のような緩やかな景気回復局面の時だと考えている」

全ての資産タイプにおいて新規供給は限定的

戻る