「インド経済の現状と行方 ~モディ新政権誕生のその後~」イーストスプリング・インベストメンツ インド経済セミナー開催

個 別 概 況


カルン・マルワ氏

カルン・マルワ氏

ICICI プルーデンシャル・アセット・マネジメント・カンパニー
インターナショナル・ビジネス部門ヘッド カルン・マルワ氏

「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」や「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」を運用するイーストスプリング・インベストメンツは11月28日にインド株セミナーを開催した。同社の属するグループのインドに特化した運用会社であるICICIプルーデンシャル・アセット・マネジメント・カンパニーより担当者が来日して、インドの最新の経済状況や今後の行方などが語られた。

■変革を迎えたインド

インドでは今年5月に10年ぶりの政権交代が起きた。下院総選挙においてモディ首相が率いる最大野党のインド人民党が30年ぶりに単独で過半数議席を獲得。これは歴史的に見ても非常に大きな意味を持つ。これまでさまざまな補助金を受けていた国民が初めて、自らも犠牲を伴う「開発」を求めたのだ。

実績豊富なモディ氏への期待

例えば1950-60年代の日本。道路や鉄道を作ることで雇用を生み出したりしながら、皆で経済成長を成し遂げた。同様の政策を掲げたモディ氏を、インド国民は支持したのだ。そして過半数議席を獲得したモディ氏は今後、自ら望む政策をよりスムーズに実行可能と考えられている。

むろん前政権もインフラ投資による成長を掲げたものの、実行できずにいた。そしてインド国民は今、実績豊富なモディ氏の手腕に大きな期待を寄せている。

グジャラート州の首相を2001年から12年間務めたモディ氏。グジャラート州の実質GDP成長率は03年度から12年の平均で10.3%と、インドの全国平均7.9%を大きく上回った。この原動力こそがインフラ投資だった。結果、グジャラート州の発電能力は01年から12年までには約2.5倍に、幹線道路の敷設距離は約3.6倍に伸びて、多くの企業誘致に成功。雇用創出や所得向上を実現した。

fig1モディ首相の戦略(2)インフラ投資で高成長を実現

州レベルで実績を上げたインフラ投資を中心とした取り組みによる経済成長が、今度は国レベルで実践される。インドでは現在、17年3月までの第12次5カ年計画でインフラ整備計画を掲げており、約100兆円相当が投じられる見込み。これは第10次の16兆円、第11次の41兆円をはるかに上回る規模だ。加えて、今後は新規プロジェクトにとどまらず、前政権下で停滞していたプロジェクトの再稼働も期待される(図1)。
インフラ投資にはデリーやムンバイなど主要都市を結ぶ高速鉄道網、新しい港湾の開発といったオーソドックスなものから、急増する都市部への人口流入に対応するため、全国100都市の「スマートシティ化」といった計画も盛り込まれている。

モディ首相の戦略(2)「Make in INDIA」ブランド確立

モディ首相はインドを世界の製造ハブにすることを目論む。GDP(国内総生産)に占める製造業の割合を現在の15%から、22年には25%へ押し上げるとの目標を掲げている。

実現にはさまざまな改革が必要で、現在は、企業にとってフレンドリーではなかった労働法や土地取得に関する規制を改善するためのガイドラインづくりに着手。あるいは州ごとにバラバラの間接税を統合する、新たな税制の導入も検討されている。

■今後の見通し

財政の安定化:

政府は財政赤字を15年3月までにGDP対比で4.1%、16年3月までに3.6%、17年3月までに3%に削減することを目指すが、これは達成可能とみる(14年3月時点で4.5%)。格付会社S&Pは9月、インドの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」へ引き上げており、バークレイズ銀行も17―18年に向けてソブリン格付けが2ノッチ引き上げられると予想している。

インフレ:

インド準備銀行は16年1月までにインフレ率を6%までに抑制するとの目標を掲げている。インフレの主な要因は食糧価格の高騰であり、これは、この先進むインフラの拡充に伴って大部分が解消されるだろう。今のインドには大型コンテナ船やそれを受け入れる港湾、食糧を貯蔵する大型倉庫など流通施設が欠如しており、流通段階で大幅な価格上昇が避けられない仕組みに。

通貨:

13年9月、インド準備銀行の総裁に就任したラジャン氏はルピーの安定を重視する旨を明言。政策金利の引き上げや外貨準備高の積み上げなどに着手して、ルピー相場は長期低迷から抜け出した。インフレ率の鈍化、財政赤字・経常赤字の縮小などが好感されて、今後もルピーは世界で最も安定した通貨であり続けるだろう。

fig2,3インド株式市場の現状(10月末時点):

他国に先駆けて市場最高値を更新したインド株式市場は現在も順調な推移が続いている。年初来騰落率は市場全体(CNX Nifty指数)の32%(現地通貨ベース)に対して、インフラセクターが32.3%と全体を若干上回る(図2、3)。出遅れていたインフラセクターの巻き返しが鮮明で、今後はモディ首相の下でさらなる上昇が期待される。

「イーストスプリング・インド・インフラ株式ファンド」および「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」の運用戦略:

インフラ関連株は投資サイクルの回復局面で最も恩恵を受けることが期待されるセクター。銀行・資本財・公益・建設といったセクターでは、今後、質の高い企業が見直されると考えている。消費関連株については、豊富な若年人口、消費財普及率の低さ、中間所得者層の増加、急速な都市化により、インドの消費成長ストーリーは長期に及ぶと考えられることから、インドの消費テーマに合致した銀行、自動車、消費財などの銘柄に注目していく。

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