「株主利回り」に着目した投資の魅力 マニュライフ・インベストメンツ・ジャパン

個 別 概 況


「マニュライフ・新グローバル配当株ファンド」運用担当者が語る

エリック・サッペンフィールド氏

エリック・サッペンフィールド氏

エポック・インベストメント・パートナーズ・インク(USA)
マネージング・ディレクター兼ファンドマネージャー
エリック・サッペンフィールド氏

政府が成長戦略の中で企業統治の強化やROE(自己資本利益率)の向上などを掲げたことで、近年は投資家の間でも「株主還元」に対する意識が高まっている。国内公募ファンドでは「好配当」を切り口としたものが多数存在するが、中で、配当利回りにとどまらない「株主利回り」に着目したのが「マニュライフ・新グローバル配当株ファンド(毎月分配型)」だ。11月20日にファンドの実質的な運用担当者が来日して記者説明会を開催。そこで語られた投資戦略を抜粋して紹介する。

当社は2004年の創業時より長期的な株主リターンの源泉に対する明確な考え方を持ち、これに基づくグローバル株式運用を特徴とする。同様の戦略を掲げるファンドはほかにも存在するが、今回は当社運用ファンドの独自性の源泉ともいえる「フリー・キャッシュフロー」を重視した投資哲学について説明したい。

図1

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転換期を迎えたバリュエーション分析

株式リターンは「PERの変化」「EPS(1株当たり利益)の成長」「配当」の3つの要素から構成される(図1)。株式投資を成功させるためにはこの3要素をプラスにすることが最善なのだが、これまで株式市場は1980-90年代にインドや中国など新興国の成長が著しかったこともあり、株価の割安度を図るPERの変化が主なリターンの源泉となっていた(図2)。

しかしながら世界規模で成長率が鈍化している。EPSの成長率は2013年までの約90年間の平均が5.3%だったのに対して、14年以降は4-6%が見込まれている。これまでのように各種指標を用いて売買タイミングを図る伝統的な投資スタイルは変更を余儀なくされるだろう。

ファンド投資戦略(1)「フリー・キャッシュフロー」に着目

図2

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当ファンドが銘柄選別する際には次の3つのポイントに注目している。

(1)企業の事業形態は何か
(2)経営陣がその企業を強くするために何をしているのか
(3)資金をどのように活用しているのか

結果、当社では銘柄選別の際に「フリー・キャッシュフロー」を重視している。企業のマネジメントの努力が正当に現れる数字だと考えるためだ。

優秀な企業は適正なかたちでフリー・キャッシュフローを創出することができ、さらに素晴らしい企業は、経営陣が規律を持ってこれを配分することができると考える。フリー・キャッシュフローの使い道は、M&A(企業合併・買収)や新規事業の立ち上げなど「再投資」のほか、現金配当や自社株買い、債務の削減など「株主還元」の2通りがある。

ポートフォリオ

当社が運用するファンドでは「株主利回り」を重視したグローバル株式のポートフォリオを構築する。具体的には、(1)現金配当で4.5%、(2)自社株買いや債務の削減で1.5%、(3)キャッシュフローの成長で3%と、合計9%超の目標リターンを目指す。ファンドの年換算リターン(※1)は9.1%と、MSCI World指数の5.7%を上回る。

投資プロセス

投資対象は情報が得られるすべての上場企業で1万4000銘柄ほど。ここからファンダメンタルズ分析で300銘柄程度に絞り込み、リスク管理を行った後、最終的には90-120銘柄をファンドに組み入れる。

毎週ミーティングを行って5―10の新規銘柄の発掘も行う。その際には「公益セクターは好配当銘柄が多い」などといった国や業種への先入観を持つことなく、次の5つの指標のみを重視している。

(1)高水準の配当利回り。具体的には3%超
(2)直近3年間、営業活動によるキャッシュフローが配当を上回っていること
(3)過去5年間、営業活動によるキャッシュフローが成長していること
(4)過去に無配がないこと
(5)時価総額5億ドル超で十分な流動性を維持していること

ファンド投資戦略(2)徹底したリスク管理

徹底したリスク管理を行うことで一般的なグローバル株式戦略の弱点を補完する。投資のリスクを表す標準偏差(2005年12月末から14年9月末まで)は13.3%と、MSCI World指数の16.8%を下回る。

個別銘柄のリスクを最小化することが非常に重要で、1銘柄あたりのウエートは最大2.5%と上限を決めている。

売却方針

配当政策の実現性が低下した場合にはもちろんのこと、ファンダメンタルズが悪化した場合にも売却を検討する。業界を取り巻く環境が変わるとリスクの状況も変わり、配当政策にも支障をきたす可能性があるためだ。

例えばリーマン・ショック前の米シティグループ。急激に配当を引き上げて4%から13%にまで達したものの、当社では業績面などからもその背景が理解できず、投資を見送っていた。競合ファンドはそろって組み入れていたが、シティグループはその後、サブプライム問題で業界最大規模の損失を計上することに。

大多数のファンドのように、必ずしも株価水準を重視していない。ただし、先述した目標リターン9%に達しないと判断した場合には売却を検討する。

日本企業は「組み入れナシ」。改善待たれる

ファンドには9月末現在で97銘柄を組み入れるが、日本企業は存在しない。グローバル規模ですべての上場企業を分析するが、日本企業は株主還元よりも内部留保への意識が強いと感じるためだ。

例えば武田薬品工業(4502)。優れた製品群を持ち、フリー・キャッシュフローも世界水準なのだが、フリー・キャッシュフローの半分を配当として株主に還元しているだけで、残金の使途にアイディアが見られない。

類似指標への考えかた/ROEについて

日本で注目されるROE(自己資本利益率)だが、われわれは参考にしていない。自社株買いなどで数字を操作できるため、企業の真のマネジメント能力を図ることはできないと考えるためだ。米国でもこれが頻繁に行われており、米国企業の成長率の約半分は自社株買いによってもたらされている。

参考/「マニュライフ・新グローバル配当株式ファンド(毎月分配型)」概要

投資戦略:世界各国の様々な業種の企業から、株主還元に積極的な企業を選別して投資する。一般的に、企業の配当は利益よりも変動が小さく安定。加えて好水準の配当など株主還元を積極的に行う企業は株式市場で高く評価されるため、中長期的な値上がり益も期待できる(図3)。

分配方針:毎月決算を行って安定した分配を目指すとともに、年4回のボーナス分配を目指す。

図3

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