日興アセットマネジメント「日興USグローイング・ベンチャーファンド」

個 別


米IPO後数年間の“変化”する可能性に着目

熊谷幸絵氏

熊谷幸絵氏

日興アセットマネジメント・SMBC日興室シニアアドバイザー
熊谷幸絵氏に聞く

日興アセットマネジメントは10月1日、「日興USグローイング・ベンチャーファンド」を設定、運用を開始している。米国でのIPO(新規株式公開)後5年以内の新興企業を主な投資対象とするというユニークな切り口がポイント。日本では、米国株を投資対象にしたファンドが意外に少ない。一部では「一人勝ち」とも言われるなど米国経済の回復傾向は鮮明な中で、米国株を見直したい。同ファンド設定の背景や特徴、魅力などについて、日興アセットマネジメント・SMBC日興室シニアアドバイザーの熊谷幸絵氏に聞いた。

■ファンドの基本的な特徴

当社には、10年以上の運用実績がある「日興グローイング・ベンチャーファンド」という、IPO後5年以内の日本国内の高成長新興企業(=グローイング・ベンチャー)を主な投資対象とする日本株ファンドがある。基準価額(分配金込み)は一時3万4,000円台をつけ、足元でも2万円前後で推移するなど、パフォーマンスの良さをご評価いただき、根強い人気のあるファンドだ。今回の「日興USグローイング・ベンチャーファンド」は、このファンドのいわば米国版といえるものだ。

新ファンド「日興USグローイング・ベンチャーファンド」には、主に3つの特色がある。1つ目は飛躍的な成長のきっかけとなり得るIPOに着目すること。主に公開から5年以内の企業の株式を中心に投資する。株式公開からの年限に着目した海外株ファンドは、当社調べでは、当ファンドが日本では初めてとみられる。なお、原則として為替ヘッジは行わない。2つ目の特色は、世界の中でも特にIPOの盛んなアメリカの上場企業を投資対象とすること。3つ目は、運用を、株式のアクティブ運用で高い実績のある米有力運用会社「ラザード・アセット・マネージメント・エルエルシー(ラザード社)」(本拠・米国ニューヨーク)が行う点だ。

■IPO注目の背景

一般に株価は、企業の“変化”に反応する傾向にある。IPO後数年間は、企業のステージが「創業期」から、飛躍的な成長が期待される「成長期」へと大きく“変化”することが期待されるため、当ファンドはIPOからの年限に着目をして投資を行う。

IPO後は、株式発行による増資や社債発行など、金融市場からの資金調達の可能性が広がり、それまで限定的だった資金調達力が著しく拡大する。事業資金の獲得により、積極的な設備投資や研究開発の機会拡大、信用力・知名度の向上による優秀な人材の確保、さらには調達資金を元手とするM&A(企業合併・買収)なども可能となる。そのことが、IPO後数年間の“変化”の源泉になると考える。

米国でのIPOはまさにアメリカンドリームの体現に向けての大きな一歩と捉えることができ、IPO後数年間の企業への投資は、高成長新興企業へと“変化”する可能性を秘めた、非常に魅力的な投資機会と考えられる。

fig■なぜアメリカのIPOなのか

われわれは、米国で上場を果たす企業に魅力的な企業が多く、今後もそうした企業の上場が期待できると考えている。

その理由の1つに、米国の株式マーケットが、世界最大規模であることが挙げられよう。上場後の円滑な資金調達やグローバルでの知名度向上など、世界最大マーケットである米国で上場するメリットは大きい。実際、米国のIPOの件数および調達額は世界の中でも突出している。

特に近年は、2013年に調達額が過去最大となるなど、調達額・件数ともに大きく伸びている。きっかけの1つになったのが、12年4月に制定されたJOBS法(新規産業活性化法)だ。同法は、一定条件を満たす企業に対して、IPO後最長5年間、財務報告に関する規制を緩和することや税制優遇措置を設けることなどを定めている。同法の後押しを受け、多くの魅力的な新興企業がIPOを目指し、またそれを実現している。JOBS法は今後も米国のIPO市場の活性化に大きな役割を果たすと考えられている。

さらに、大きな理由として、米国に有望なベンチャー企業が数多く育っていることが挙げられよう。起業とIPOを支えるキーワードは「ヒト」「知識・技術」「カネ」の3つだ。アメリカには新たな着想・創意を起業に活かすことを可能とする土壌があり、優れた「ヒト」が「知識・技術」を求めて、または、既に持っている優れた「知識・技術」を生かすために、米国に引き寄せられている側面がある。例えば、米国で国際特許を出願した外国人の数は他国に比べて突出して多い傾向にある。

優秀な人材が米国に流れていることの証左の1つと言える。「カネ」の部分でも、ベンチャーキャピタルの投資額を見ると、13年のアメリカの投資額は約300億米ドル(約3.1兆円)に達している。これは日本のベンチャーキャピタル投資額のおよそ18倍超に相当する規模だ。新興企業の可能性をきちんと見極める目を持つベンチャーキャピタルがあるアメリカに、資金の獲得、そしてその先のアメリカンドリームを目指す有能な起業家たちが集まるのは、当然の帰結ともいえよう。

また、米国では、経済成長や国際競争力の維持に向け、イノベーション(技術革新)が重視されている。政府の支援も大きい。11年時点のアメリカの研究開発費は4,244億米ドルと世界最大だが、その実質負担状況を見ると政府が約3割を占めている。ちなみに日本の政府負担割合は2割程度。米国では、民間資金も非常に活発な一方で政府による支援もしっかりしており、国が積極的に先端技術を下支えしている格好だ。例えば、米国防総省にダーパ(国防高等研究計画局:DARPA)と呼ばれる部局がある。国防にとって将来的に重要と考えられる研究開発の支援などを担っており、インターネットの基盤技術となったアーパネット(ARPANet)やGPS(全地球測位システム)などの技術も同機関が発端となっているとされる。このほかにも各省庁が各分野で研究開発支援を展開しており、そこから生まれた技術が実用化・製品化され、ビジネスにつながるサイクルがアメリカにはある。

技術に対する研究開発費が潤沢であれば、優秀な人材が集まってくるし、それを企業がビジネスにして、人材に対して報酬で応えることもできる。過去、その時代時代を象徴するようなイノベーションやベンチャー企業がアメリカ発で興ってきた背景には、同国の豊かな起業支援の土壌があると考えている。

■堅調なスタート

運用は、株式運用の中でもアクティブ運用を強みとし、機関投資家や公的年金などを主な顧客とする、米有力運用会社のラザード社が行う。10月1日に運用を開始してからまだ日が浅いが、基準価額は1万790円(14年11月5日)と、同期間のS&P500のリターンを2.24%上回る、堅調なスタートとなっている。

10月1日に運用を開始している当ファンドの最初の月次レポート(10月末時点)は11月17日ごろに開示する予定だ。現時点で大まかな運用のイメージをつかんでいただくため、7月末時点の想定のモデルポートフォリオをお示しすると、業種別配分では、イノベーションのポテンシャルが大きい「情報技術」(27.3%)と「ヘルスケア」(23.8%)で約5割を占め、以下、「一般消費財・サービス」「エネルギー」「金融」などとなっている。銘柄数は46銘柄で、時価総額別では20億米ドル未満の小型株(23%)と20億米ドル以上100億米ドル未満の中型株(46%)で7割近くを構成している。ただし、あくまで想定ポートフォリオなので、実際の運用の状況については、当社ウェブサイトなどから月次レポートをご覧いただきたい。

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