純資産残高1000億円の大台を突破 三菱UFJ投信「eMAXIS(イーマクシス)」

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さまざまな試みで投資家を増やすための草の根活動に取り組む

土生英樹氏

土生英樹氏

営業企画推進部ネット・WEB戦略グループ兼戦略営業室
シニアマネジャー 土生英樹氏に聞く

三菱UFJ投信がネット投資家中心に提供しているインデックスファンド・シリーズ「eMAXIS(イーマクシス)」の純資産残高がこのほど1000億円の大台を突破した。同ファンドは幅広い品ぞろえと低信託報酬に特徴がある。少額投資中心のネット向け販売で、これだけの資金を積み上げた実績は注目されよう。その背景や現状、取り組み、今後の展開などについて、同社営業企画推進部ネット・WEB戦略グループ兼戦略営業室シニアマネジャー土生英樹(はぶ・ひでき)氏に聞いた。

■対話を通じてニーズ把握に

現在、eMAXISの販売本数は15本、内訳はインデックスファンドが13本、インデックスファンドで構成されたバランスファンドが2本だ。直近では、2014年4月にJPX400を対象にしたインデックスファンドを追加した。インデックスファンド13本については、資産別では、国内、先進国、新興国の債券、株、REIT(リート=不動産投資信託)が非常にバランス良く構成されている。eMAXISは、資産運用のツールの1つとしてお客さまに使っていただく商品というコンセプトでやっている。そこでは、取り扱いファンドを増やすことありきではなく、これまで実施しているアンケートや、コールセンターへの問い合わせ、お客さまとの対話などを通じてニーズを把握しており、今後も、お客さまのニーズのある商品やニーズが想定できると判断される商品を提供していきたい。

■複利大切に資産形成向け

最近の投資信託業界は、分配金を多く出す商品が売れている。一方で、トータルリターンという、分配金を出さなかったらどれだけ利益を上げているかという、複利の概念を重視する、資産形成向けの商品があまりなかった。また、現在、現役世代が将来に年金不安を抱えていることも踏まえると、そこに共通する項目としてネットで手軽に資産形成したいということが浮かび上がる。最近は20歳代、30歳代だけでなく50歳代もネットを使えるようになっている中で、資産形成にはある程度運用に掛かるコストが安い商品が必要であり、ネットで安く商品を提供できないかということでeMAXISという商品を考えた。分配金とは対極的な考え方で、複利を大切にして資産を積極的に増やしていこうという考えの商品だ。販売会社のお話を聞くと、お客さまは30歳代、40歳代がかなりの割合を占めている。対面販売の一般の投資信託とは少し年齢層が違って、若い層の方々がeMAXISに投資していただいていると聞いており、若年層に支持していただいていることをうれしく思っている。また、今後は、ネット取引をしている50歳代、60歳代の投資家の方々にも、eMAXISを知っていただき投資対象に加えていただければ幸いだ。

■地方銀行も関心

eMAXISの販売会社として昨年から地方銀行が増えている。直近で16行に達している。これはNISA(少額投資非課税制度)を意識したものと推定している。政府も若年層の資産形成に向けてNISAを導入したと聞いている。地方銀行としても、20歳代、30歳代、40歳代を資産形成の層として積極的に取り込んでいきたいとのニーズがあって、eMAXISの取り扱いを採用していただいているのではないかと考えている。

ただし、投資を行っているのは全体の多数派ではないので、当社から情報をご提供する中で、もっといろいろな方に投資について知ってもらい、投資する、しないという判断も含めて、判断していただきたいと考えています。知らなくて投資できない方々が少しでも少なくなるように、当社としては取り組んでいきたいと考えている。

■時間分散にも最適

若年層は投資に回すことができる金額は限られているが、最近のネット証券では積み立てに関して500円からできるようになっているし、銀行でも一定の条件の下で1000円から投資できるようなところもある。投資信託の一番のメリットは少額から積み立てで投資できるところと考えており、20歳代前半でまだ手取りの金額が低い方でも将来を見据えて少ない金額で投資できるところが非常にいい点といえる。少ない金額で毎月毎月積み立てしていただくということは、投資できる金額が少ない方のメリットだけでない。毎月毎月、時間分散で投資をすることで投資のリスクを抑えることができると考える。例えば、投資し始めたときの基準価額が評価時点の基準価額を上回っていなかった場合、一括である時点に投資している場合は利益が出る可能性はないものの、積立投資であれば利益が出る可能性もあるという投資手法となっている。グローバル化で金融マーケットの連動性が高まっているため、資産分散に加えて、時間分散でお客さまには資産防衛に取り組んでいただきたい。金融危機にも対応できる投資手法と考えられる。また、時間分散をするにはそれなりの投資期間が必要で、投資期間が長くなればなるほど、信託報酬の負担が大きくなるが、当社は信託報酬をかなり抑えた水準で提供しているので、時間分散には非常に向いている投資手法と考えている。

■コンセプト賛同者が後押し

eMAXISは、受益者を含む販売や運営にかかわる方々と対話の機会を設けていることが大きな特徴といえる。また、有志のブローガーや一般の投資家に参加いただいて、意見交換できる場を設定するなど新しい試みも実施している。ご意見を頂戴してファンドの運営に反映できればとの思いで始めたものだ。ブローガーミーティグでは最近はブローガーに会場に来ていただいて、一般の方は事前登録すると生中継でその様子が見られて、チャットでご意見を表明できる仕組みを作っている。投資家の意見を聞こうとする姿勢や、前向きな取り組みについてはさまざまな場所で評価をいただいている。こうした取り組みは今後も継続していきたいと考えている。

■ポートフォリオコンテストでリスクを啓蒙

eMAXISがスタートして5年となるが、ブローガーミーティグはこれまで6回実施している。ある機会に、どうすれば投資未経験者の皆さまに投資を始めていただけるのかについて議論したことがあった。その際の意見として投資とは将来の不確実性に対してベットしていくのでなかなか見えない。見えないという不透明感が投資意欲を失わせている。初めて投資をやる人にとって株がどの程度の値動きをするのか、最大どのぐらい下がりそうなのか上がりそうなのか、全く知らない中で投資してくださいと言われても投資しにくい。それならば最大どのぐらい下がりそうなのか上がりそうなのか見てもらうのが良いという発想になって、それで生まれたのがポートフォリオコンテストだ。eMAXISの中から3資産以上を選んでポートフォリオを作る。4カ月間の仮想運用の評価基準はリターンをリスクで割ったものだ。ポートフォリオコンテストは過去2回開催している。また、個人戦だけでなく、第2回目では3人1組の団体戦も用意した。投資を説明しながら友人・知人をコンテストに誘ってもらって、仮想シミュレーションの運用に参加いただくことで、肌感覚でリスクを身につけたり、コンテンツでリスクを知ってもらったり、いろいろな機会でリスクを知っていただきたいと考えている。単にリターンのコンテストではなく、リスクを啓蒙することで販売会社にも賛同をいただいている。こうした試みは、投資家を増やすための草の根活動であると考えている。

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