利回りと信用力両面への配慮が基本コンセプト 日興アセットマネジメント「欧州社債ファンドAコース(為替ヘッジあり)/Bコース(為替ヘッジなし)」

個 別


投資適格社債とハイ・イールド社債 バランス良く保有、安定運用目指す

藤井美佐子氏

藤井美佐子氏

資産運用サポート第1部 シニアアドバイザー 藤井美佐子氏に聞く

日興アセットマネジメントは、追加型投信「欧州社債ファンドA コース(為替ヘッジあり)/Bコース(為替ヘッジなし)」<愛称:グラン・マルシェ>を8月19日に設定する。グローバルでの社債マーケットといえば、米国が圧倒的なシェアを占めるが、欧州も急速に成長しつつある。その魅力に注目が高まっている欧州社債を主要な投資対象とするファンドを今回投入する運びとなったもの。欧州景気が本格回復していく局面に入るという投資環境を踏まえて設定する。19日のファンド設定後も継続して購入できる。欧州社債市場の現状や、同ファンドの特徴、運用の考え方、魅力などについて、同社資産運用サポート第1部シニアアドバイザーの藤井美佐子氏に聞いた。

■ファンドの基本的な特徴

「欧州社債ファンド Aコース(為替ヘッジあり) /Bコース(為替ヘッジなし) 」の愛称の「グラン・マルシェ」はフランス語で大きな市場(いちば)という意味で、欧州の社債市場が現在、急速に拡大しつつあることを伝えようとするものだ。もちろん、フランスだけでなく、欧州全般でとらえていただきたい。当ファンドの基本的な特徴としては4つある。その1つ目は、その名の通り、欧州の企業が発行する社債に投資するということ。社債は、一般に利回りが国債を上回る傾向にあることでもともと相対的に高いインカム収益が見込める上、さらに、今後の景気回復により社債そのものの値上がり益による信託財産の成長も期待できる。投資対象とする社債は、格付けがBBB以上の投資適格債と、BB以下のハイ・イールド債の両方で、どちらかに偏ることはないようにする。2番目の特徴として、ロンドンに拠点があり債券運用において長年の経験がある、当社グループ会社の日興アセットマネジメント ヨーロッパ リミテッドが実質的な運用を行う。3番目としては、ユーロやイギリスポンド、北欧の通貨(ノルウェークローネ、スウェーデンクローナ、デンマーククローネ)などの為替変動の影響を極力排除するための「為替ヘッジあり」のAコースと、為替変動の影響を直接受けることで円安時に為替差益が期待される「為替ヘッジなし」のBコースの2つのコースを用意していること。4つ目は、毎月15日決算の毎月分配型であることだ。

■欧州社債の魅力は

投資対象である欧州社債の魅力についてさらに詳しく紹介したい。まず挙げられるのが相対的な利回りの高さだ。BBB格以上の投資適格社債の利回りは2%程度(2014年5月末現在。以下、同じ)。BB格以下のハイ・イールド社債では、BB 格で3.3%程度、B格で5.6%程度、CCC格では7.4%程度となっている。当ファンドでは利回りと信用力両面を配慮して、投資適格社債とハイ・イールド社債の両方に投資していく。

2つ目に挙げられるのは値上がり益への期待だ。社債は、企業業績の拡大が期待される景気回復期に投資家に選好される傾向がある。また、景気変動に伴う値動きの特徴を見ると、投資適格社債はより安定的に、ハイ・イールド社債はより大きくなる傾向が読み取れる。過去を振り返ると、リーマン・ショックのあった08年、欧州の投資適格社債とハイ・イールド社債はともに年間騰落率がマイナスにフレたが、その振れ幅はハイ・イールド社債のほうがはるかに大きかった。一方、09年・10年は投資適格社債、ハイ・イールド社債ともに値上がりし、特にハイ・イールド社債はほかの債券や株式を大きく上回る回復を見せた。欧州債務危機が発生した11年は、投資適格社債は年間でプラスを保ったが、ハイ・イールド社債はわずかながらマイナスとなった。また、12年から14年の最近までの景気回復/拡大局面では双方ともに確かな値上がりを見せた。いずれの時期も総じてハイイールド社債のほうが上下に大きくフレる結果となった。当ファンドでは、こうした投資適格社債、ハイ・イールド社債の両者の特性をとらえ、バランス良く保有して、価格変動を抑えながらより安定的な運用を目指していく。

fig23つ目はデフォルト(債務不履行)率の低さ。欧州社債のデフォルト率は、企業の財務基盤の底堅さなどを背景に、世界の中でも低水準にある。欧州社債全体の00年から13年のデフォルト率の平均値は0.7%にとどまる。10年以降は、欧州債務危機を背景とした域内景気の悪化などを背景にやや上昇したが、格付け別に見ると信用力の低いCCC 格が突出しているものの、BB格までのデフォルト率は極めて低水準となっている。最近のポルトガルの銀行問題についても、ECB(欧州中央銀行)が銀行全体を厳しく監視するということもあって、今のところデフォルトが欧州全域にまで広がる傾向は見られず、底堅さを物語っている。

足元では、欧州社債の市場規模は急速に拡大しつつある。直接金融への移行が進展し、社債の発行額は順調に拡大している。欧州社債の銘柄数は、10年前は約1660銘柄だったものが、現在では約2890銘柄へと2倍近くにまで増加している。企業が銀行から借り入れを行うのではなく、社債発行を通して市場から資金を直接調達しているということは、欧州企業が体力をつけているということだ。言い換えれば、投資家から投資対象として信任を受けていることを示すもので、健全な欧州企業が増えている証しであると理解していただきたい。

■モデル・ポートフォリオは

当ファンドの運用のイメージをとらえていただくために作成した想定モデル・ポートフォリオ(5月末現在)では、通貨別ではユーロが59%と半分強を占め、イギリスポンドの30%と合わせて、この2通貨で9割近くのウエートを占める。ノルウェークローネが8%、スウェーデンクローナが3%、デンマーククローネが1%と北欧3通貨も一部組み入れている。なお、この北欧3カ国の格付けはすべてAAAである。格付け別では、投資適格債だけ、あるいはハイ・イールド債だけに投資するのではなく、両者をバランスよく併せ持っている。具体的には、投資適格債ではAA格以上が4%、A格が20%、BBB格が33%、ハイ・イールド債ではBB格が24%、B格が20%となっており、平均格付けはBBB-(マイナス)となっている。利回りをある程度確保しつつ、格付けにも配慮する点が当ファンドの運用の基本的なコンセプトになる。想定モデル・ポートフォリオでの最終利回りは4.54%、デュレーションは利回りをある程度とっていくために、5.38年と若干長めになる。国別では、銀行銘柄が多いイギリスの28.0%をトップとして、製造業の多いドイツが18.0%、オランダが12.5%、イタリアが10.3%、フランスが8.0%などとなっている。業種別では銀行の30.3%、通信の14.0%、電力の7.3%、メディアの4.5%、小売の3.8%などとなっている。

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