「三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン(愛称:椰子の実)」 三井住友アセットマネジメント

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「好配当」銘柄厳選で真の中長期投資を実現

橋爪謙治氏

橋爪謙治氏

株式運用グループ シニアファンドマネージャー
グローバル株式運用担当 橋爪謙治氏

アジアの株式市場が戻り基調だ。昨年は調整に見舞われたインドネシアやタイの反発が鮮明になっているほか、台湾は約6年ぶりの高値水準を回復した。インドやマレーシアのように史上最高値を更新したところもある。そんなアジア好調の恩恵を効率良く享受するのが、「好配当」銘柄に厳選投資を行う「三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン(愛称:椰子の実)」だ。ファンドの特長や運用状況を聞いた。

――まずはファンドの特徴を教えてほしい。

投資先は日本を除くアジアとオセアニア各国・地域の株式、REIT(不動産投信)など。アジアを投資先とするファンドは多いが、当ファンドは隣接するオセアニアを加えたことと、「好配当」銘柄に厳選投資を行うことが大きな特徴だ。

アジア域内では政治的な対立を抱える国・地域もあるが、直接投資や貿易、人の往来など経済的な結び付きはますます強まっている。オーストラリアは豊富な資源を輸出することでアジアの都市化を後押しするほか、留学生や移民の受け入れなどでも存在感を増している。このような経済活動の実態をとらえることで、より魅力的な投資機会を見いだすことが可能になると考えた。

加えて当ファンドでは好配当銘柄に絞りこんだ結果、ともすれば投機的になりがちだったアジア株式投資を、真の中長期投資に向いたツールへと変化させることができたと考える。

――“真の中長期投資向き”とする理由は?

アジアを含む新興国市場は、高いリターンが期待されるものの、総じて先進国よりも株価のボラティリティが高い傾向がある。しかしながら、当ファンドではリスクを抑えながら信託財産の安定成長を目指しており、そのための有効な手法として、ファンダメンタルズが良好な好配当銘柄にフォーカスすることとした。

そもそも経済が成長している地域では、特に高い利益成長の見込まれる企業を追求せずとも、魅力的な成長が期待される企業が多い。中で、配当をしっかり支払うことは「将来の業績に対する自信」や「財務の強さ」の表れであり、こうした企業は堅実な成長を持続する可能性が高く、中長期的にはキャピタルゲインも期待できる、といった流れをイメージしている。

――まさに一石二鳥。にもかかわらず「アジア好配当」への注目度は高くないようだ。

理由の1つに、好配当銘柄は総じて値動きが鈍いことが挙げられる。多様な投資家が存在する欧米では好配当銘柄への投資は有効な手法として認知されているのだが、短期売買を好む傾向が強いアジアの投資家は「退屈」と感じるようだ。

ある経営者の言葉を借りれば、アジアの投資家は「アイドル歌手にしか興味を持たないティーンエイジャーのよう」。アジアの株式市場は個人投資家の比率が高いところもあり、話題の企業に人気が集中して株価が急騰したり、期待外れで急落したりと、荒っぽい展開が度々見られるが、これに機関投資家も参戦して短期の利ざやを稼ぐ。ならば当ファンドは安定した歌唱力を持つ実力派歌手への投資を信条とすることで、見過ごされがちなリターンを丁寧に拾うこととした。

私の好きな言葉にジョン・バー・ウィリアムズの「株は、どう考えても配当のためだ」というものがある。株式の価値の算定方法にはいくつかの理論があるが、“そこから何が得られるか”、つまり将来受け取る「配当」によって決まる、というのは最も古典的な考え方だ。

――アジアならではのリスクもありそうだ。

確かに企業統治が未熟な企業も多く、不正会計が発覚したり、新規事業や買収で失敗したりと、投資家を失望させる企業が少なくない。しかし、ここでも「好配当」の視点が奏功している。何より現金配当には不正の余地が存在しないし、しっかり配当を支払うことは「株主を重視した経営が行われている」ことを意味するからだ。

低ボラティリティとは、裏を返せばリスク耐性を備えているとも。株式市場は上がるよりも下がるタイミングを予測することが難しい。株価は多くの場合、上昇はゆっくりだが、下落は想定外の出来事とともに突然に訪れる。ところが好配当銘柄は財務健全性が担保されているため、市場平均に対して下げが限定的。そしてこのディフェンシブ性は、投資家があまりに一方的に動きやすいアジア市場においてより効果的に発揮される。

――ところで、なぜ今アジアなのか?

アジア・オセアニア各国・地域は先進国と比べて高い潜在成長力を有するとともに、配当利回りも魅力的な水準にある。5月末時点の米国長期金利は2.5%程度にすぎないが、当ファンド全体の予想配当利回りは4.6%となっている。アジアでは6つの株式市場で日々の外国人投資家の売買動向を発表しており、3月以降は資金流出が流入に転じていることが確認できる。米国などと比べて株価の出遅れ感が強く、割安感のあるアジアに資金が戻り始めたようだ。

――銘柄選択方法など運用について教えてほしい。

当ファンドでは「収益性」「成長性」「予想配当利回り」に基づいて、対象地域の上場銘柄の中から、まずは約200銘柄に絞り込む。また「経営者の質」を重視しており、経営者にインタビューを行って、稼いだ利益を株主に還元する意思があるか、内部留保に回す資金を正しく使えるか否かをチェックし、最終的には80銘柄程度に厳選する。

――リサーチ体制に特長がありそうだ。

活動量の多さとメンバーの多様性はユニークな特長といえるだろう。当社のアジア・オセアニア株式および経済の調査体制は、東京、香港、上海の3拠点に約25人が在籍、年間1800社ほどの企業を取材している。香港拠点には中国、台湾、韓国、マレーシア、インドなどさまざまな国・地域からメンバーが集い、独自の視点や知見から情報収集・企業分析を行っている。拠点間で定期的にテレビ会議を開催して情報を共有化しつつ、最終的には東京にいる私が投資判断を行う。

私自身も定期的に出張し、また東京へ足を運ぶアジア・オセアニア企業の経営者も多いので、私も年間250社ほどの企業と面談を行う。日本の投資家に株主になってほしいと考える経営者が少なくないのは、短期売買ではなく、中長期的な視点での投資を求めているからだ。企業と日ごろから定期的にミーティングを持ち、意見交換を行うからこそ、経営の核心部分に触れることができる。

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