「コモンズ30ファンド」5周年フォーラム開催

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2009年1月に誕生した、いわゆる直販ファンドの一角「コモンズ30ファンド」が5周年を迎えた。ファンドの運用・販売を手掛けるコモンズ投信は4月13日に記念フォーラムを開催。冒頭のあいさつで渋澤健会長は「ウォーレン・バフェット氏のように年に1回、個人投資家を集める場を持ちたいとの夢が、ようやくかなった」と語り、加えて「投資先企業に協力を募ったところ、想定を上回る反応があった」とも。フォーラムには投資先企業29社中6社のIR担当者によるパネルディスカッションと、7社の企業がブースを並べて個人投資家からの質問を受け付ける「対話コーナー」が用意されるなど、投資家との「対話」を重視するコモンズ投信ならではの仕掛けに満ちていた。

「コモンズ30ファンド」運用報告

伊井哲朗代表取締役社長

伊井哲朗代表取締役社長

運用実績(第5期/決算日2014年1月20日)

期末時点の基準価額は1万8,782円。分配金200円を含む期中騰落率は32.5%のプラスだった。「まるでエマージング」と揶揄(やゆ)されるほどにフレ幅の大きかった日本株式市場において、「コモンズ30ファンド」は株式組入比率を80%程度に抑え、キャッシュコントロールに取り組んだ。イベント発生時には現金比率を高めてリスクを回避する一方、昨年5-6月の株価急落時にはすかさず組入銘柄を買い増すなど“守りながら攻める”を実践した。

マザーファンドの純資産残高は36億円から86億円に拡大した。個人投資家向け直販以外にネット証券経由での買い付けにも対応したことと、年金基金の運用を受託したことが主な要因だ。

運用戦略/約30銘柄に厳選投資

13年は激動の1年だった。日経平均株価は年間57%上げて、札幌冬季五輪が開催された1972年以来、41年ぶりの上昇率をたたき出した。日銀の異次元緩和導入に始まり、東京五輪招致や米国テーパリング開始などなど、相場を上下させるイベントが多数発生した。

基準価額の推移

基準価額の推移

波乗りのように、これらイベントを個別に事前予想して対応することは投資のプロでも不可能だ。そこで「コモンズ30ファンド」は「市場」ではなく「企業」を買うべく、世代を超えて進化し続ける“一握りの超優良企業”を選別。足元で国内上場企業約3,600社の1%未満に相当する29社に集中投資することで、ファンド保有者とそのご家族を長期的にサポートすることを目指す。

企業の「見えない価値」に着目

企業には「見える価値」と「見えない価値」とがある。見える価値とは財務データなど公開が義務付けられている情報のこと。ところが、人間の価値をテストの点数で判断すべきでないのと同様に、財務データだけでは企業の真の価値は図れない。「コモンズ30ファンド」は足元の業績や株価の変化にとらわれることなく、プロダクトの競争力、トップのマネジメント能力、あるいは長年育まれた企業文化など、長期の進化に必要な「見えない価値」を徹底調査した上で銘柄選定を行う。

投資企業6社スピーチ/自社の「見えない価値」を語る

「基本の切削領域に忠実」

ディスコ IR室長 小澤伸一郎氏

「高度なKiru(切る)、Kezuru(削る)、Migaku(磨く)技術によって遠い科学を身近に快適につなぐ」が当社のビジネステーマ。例えばシャープペンシルの芯の断面を846分割したり、ピラミッドを彫刻するといった技術を持つ。石器時代から続くこれら技術は、この先も人類に欠かせない。当社はこの3領域から逸脱せず、日々進歩していく科学を人々の暮らしの豊かさや快適さに帰結させていくことこそが社会的使命と考える。

かつては規模拡大に伴って社員の価値観や事業の方向性がバラバラになってしまったことがあった。1995年に企業理念「DISCO VALUES」を設けて、企業としての目指すべき方向や経営の基本的なあり方、一人ひとりの働き方など200を超える項目を明文化。以降は全社員がベクトルを合わせて効率的な成長を続けている。

「顧客ニーズに柔軟対応」

東京エレクトロン IR室 笹川謙氏

当社の特徴は「商社由来のメーカー」。20年ほど前に米国から電子部品を輸入する商社から始まり、購入後のサポートを求める顧客ニーズに対応するうちにノウハウを蓄積。現在は半導体装置の製造を主力とするまでに。

こうした柔軟性ゆえに先日、世界トップの米アプライド・マテリアルズ社との経営統合を決断した。社内でも驚きの声が上がったものの、実は、半導体製造の工程は非常に複雑なため両者に競合する商品はなく、今後は最高水準の技術を駆使した高効率成長が可能と考える。

「徹底したステークホルダー経営」

エーザイ IR担当役員 柳良平氏

当社は日本で初めて企業理念を定款(ていかん)に定め、株主の皆さまと共有化を図っている。がんやアルツハイマーなど難易度の高い分野の薬を手掛けるため、研究開発には莫大(ばくだい)なコストが必要。長期投資家の支援なくして企業理念は実現しない。

投資家からの信頼獲得のためにもコーポレートガバナンスの充実に注力している。例えば取締役会11人中7人が社外の人間で、議長も社外取締役が務めるなど、業務執行機能と経営監督機能との役割分担を明確にしている。

「揺らぎながら進化する」

楽天 IR担当 市川祐子氏

創業者でオーナーの三木谷の著書「成功の法則92ケ条」の中に、「概念は揺らぎながら進化する」という言葉がある。当社はEC(電子商取引)からスタートするも、利用者の利便性などを考慮して金融や通信など想定外の事業を適時プラスしてきた。

2010年に英語公用語化に踏み切ったとき、その効果を疑問視する声も聞かれたが、結果、現在は国内社員の外国人比率が3割まで高まり、事業フィールドはスムーズに世界へと広がっている。三木谷はこれからも著書刊行などを通じて自分の考えを周囲に発信しながら、企業と社員、利用者とが共に進化することを求めている。

「トライ&エラー推奨体質」

日東電工 経営企画部IRグループ 板倉正幸氏

当社は1918年の創業から常にチャレンジを続けており、売上高は70年代の200億円台から、2013年には7,400億円を計画するまでに。現在の主力製品、スマートフォン向け透明導電性フィルムの製造拠点である尾道事業所は、約20年前の1995年に当時の年間売上の半分ほどを先行投資して立ち上げたものだ。

社内にはトライアンドエラーを推奨する風潮があり、例えば現会長の柳楽は赤字の連続記録を、相談役の竹本は半導体事業を立ち上げるも単月で最大の赤字額を出した。そんな人間自らが「失敗を恐れずにチャレンジしろ」と発破をかける。事業にかける情熱がある限り、会社側はそれを見守る器を用意している。

「時代に合わせて領域拡大」

堀場製作所 IR担当 上杉英太氏

創業者が大学在学中に起こしたベンチャー企業ということもあり、柔軟性が高い。事業セグメントは5つあるが、主力は、10年前が自動車向けで、5年前は半導体向け、そして現在は医用システム機器部門と様変わりしている。これは当社の意思によるものではなく、市場ニーズに応えた結果なのだが、数年前に半導体業界が低迷したときにはほかの4事業が支えるといった耐性も自然に備わっている。

「コモンズ30ファンド」投資先 1月20日時点
日揮(1963) アジア、アフリカの未来を創る国境なき技術団
カカクコム(2371) インターネットユーザーに「便利」を届け続ける
ローソン(2651) 時代を超えて、生活者に便利を届ける
味の素(2802) 「食・健康・いのち」の“UMAMI”で世界の食品トップ10を狙う
クラレ(3405) 真似できないアナログ化学会社
旭化成(3407) 伝統企業の事業転換
信越化学工業(4063) 戦略的なポジショニングに優れ、素材メーカー随一の収益性
エア・ウオーター(4088) ねずみの集団経営で景気の全天候対応
エーザイ(4523) 患者家族まで心を配る徹底したステークホルダー経営
久光製薬(4530) 貼り薬で世界の人々を癒す
楽天(4755) 強烈な成長意欲でアジアを代表するインターネット企業
資生堂(4911) 銀座も、アジアも、美しく
リンナイ(5947) 「熱」を通じて「快適な暮らし」を提供
ディスコ(6146) kiru、kezuru、migaku、世界を代表する精密加工装置メーカー
SMC(6273) 呼ばなくても来るサポート体制でじりじりシェア拡大
コマツ(6301) 世界のインフラ力をつくる日本のモノづくり&IT力
クボタ(6326) 日本で培った競争力でアジアの食糧問題に寄与
ダイキン工業(6367) 世界一、快適な空気をつくる
マキタ(6586) 環境、安全、安心に優れ、世界のプロに選ばれる
堀場製作所(6856) 「おもしろおかしく」時代に合わせて領域を拡大
シスメックス(6869) 起源は音響機器、今は血球計数分野で世界ナンバーワン、成長するグローバルニッチのリーダー
日東電工(6988) 柔軟変化し、持続成長グローバルニッチトップ
ホンダ(7267) 夢と技術で、難局をチャンスに変える
丸紅(8002) 規律ある経営で収益を積み重ね、いつか総合商社ナンバースリーに
東京エレクトロン(8035) 創業時のエネルギーが脈々と続く「革新」を続ける会社
三菱商事(8058) 変化に強い組織力で進化し続ける
ユニチャーム(8113) 世界企業と切磋琢磨し、空白地帯で成長
ヤマトHD(9064) 母ネコが子ネコをやさしく運ぶように大切に
ベネッセHD(9783) 「よく生きる」を支援し、世界一の教育企業を目指す
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