欧州経済好転で純資産急増 ドイチェ・アセット・マネジメント「DWSユーロ・ハイ・イールド債券ファンド」 

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283本中最優秀ファンド賞を受賞 分散投資と銘柄選別に力点

加藤善将氏

加藤善将氏

運用部ポートフォリオマネージャー、ディレクター 加藤善将氏に聞く

ドイチェ・アセット・マネジメントの運用する「DWSユーロ・ハイ・イールド債券ファンド」のパフォーマンスが良好だ。2011年1月設定から今年3月末までの税引き前分配金込み騰落率は、円ヘッジありのAコースが「+31.73%」、円ヘッジなしのBコースでは「+70.95%」に達している。明るさを増す欧州経済に、こうした好成績も相まって、新規の資金流入も極めて活発だ。ここ1年ほどの純資産残高推移をたどると、一昨年末の約3億1,000万円から、直近4月18日現在で約286億円へと文字通りの急拡大をたどっている。資金流入の背景となった欧州経済の動向や、ファンドの特徴などについて、運用部の加藤善将ポートフォリオマネージャー、ディレクター(写真)に話を聞いた。

――一時期盛んに語られたギリシャ破たんやユーロ崩壊といた悲観シナリオも、最近はめっきり聞かれなくなった。そもそも欧州債務危機は「終わった」と言えるのか。

「危機終結を断言するわけではないが、少なくとも、終わりの方向に近付いていることは間違いないだろう。ECB(欧州中央銀行)による各国国債の直接買い入れ策(OMT)や2度に及ぶ3年物資金供給オペ(LTRO)など、ECBとEU(欧州連合)の連携によるセーフティネット(安全網)構築やユーロ圏各国の財政規律の監視体制強化といった取り組みが功を奏し、市場参加者の不安感が払しょくされつつあることが背景だ」

――流動性(リクイディティ)確保で短期的な資金繰りはついても、中長期的には支払能力(ソルベンシー)の問題が残るのではないか。

「各国の経常収支は順調な改善傾向を示している。財政懸念の指摘されてきた、いわゆるGIIPS諸国(ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)にしても、IMF(国際通貨基金)などの支援条件を満たすための努力が実を結んでいる。その辺は、金融市場の反応にも現れている通りだ。11年から12年にかけて、国債利回りが7―8%を超える国が相次いだが、今や、いずれも欧州債務危機発生以前の水準まで低下している」

――欧州経済の復調は分かったが、ファンドの投資対象となるユーロ・ハイ・イールド債券市場の現状や規模、今後の見通しなども聞きたい。

「昨年11月末時点での市場規模は約36兆4,000億円、銘柄数は504銘柄だ。同時期の米国(約132兆6,000億円、2,235銘柄)よりも規模は小さいが、欧州市場は成長過程にある。例えば直近10年間の伸び率では米国を大きく上回っている。新たなアセットクラスとして認知されつつあり、今後も順調な拡大が続くと考えている」

――ユーロ・ハイ・イールド債券市場の利回り水準はどのくらいか。

「当ファンドのポートフォリオの最終利回りは3月末現在で6.1%だ。近年は、市場金利全般の低下やユーロ企業の信用力向上に伴って、ハイ・イールド債券の利回りも低下(価格は上昇)傾向にあるが、グローバルな低金利水準が長期化する中では、なお利回り面での魅力が高いユーロ・ハイ・イールド債券へのニーズが高まっている」

――「DWSユーロ・ハイ・イールド債券ファンド」の特徴を聞きたい。

「名前の通り、主に欧州企業の発行するユーロ建ての高利回り社債を中心に投資するものだが、利回りが高い半面、先進国国債や投資適格社債に比べてクレジット(信用力)の低い商品が対象となるだけに、銘柄選択を最重要視しながら、銘柄分散、セクター分散も心掛けてきた。3月末時点で281銘柄を組み入れているが、このうち最もウエートの高いバークレイズ・バンクでも組み入れ比率を1.8%にとどめていることにも、分散重視の運用姿勢が反映されているのではないか」

――組み入れ首位のバークレイズ・バンクの格付けはBBBマイナス。非投資適格債(BB格以下)ではないが…。

「非投資適格債中心にするのは高い利回りを求めるためだ。必ずしも格付けが低くなくても、利回りが魅力的であれば投資できる。実際、3月末時点でAが1.2%、BBB格11.6%を占めている」

――「銘柄選別最重視」を標ぼうするのなら、企業調査なども極めて重要になる。調査体制も含め、運用チームの陣容などはどうなっているのか。

「リードポートフォリオマネージャーを中心とする『欧州ハイ・イールド・チーム』5人体制で運用にかかわっており、彼らが企業取材やクレジットミーティングなどを通じて収集した情報がベースとなっている。なお、当社のハイ・イールド・チームは欧州と米国に分かれるが、企業活動や金融のグローバル化が進む現在では、地域の垣根を越えた密接なコミュニケーションをとることで情報共有化に務め、ファンド運用に生かしている。ハイ・イールド・チーム全体では20人弱となる」

――1月28日に発表された「モーニングスターアワード ファンドオブザイヤー2013」では、Bコース(円ヘッジなし)がハイ・イールド債券型の最優秀ファンド賞を受賞したそうだが、対象ファンド何本中の「最優秀」か。そして、高評価を受ける運用成績を上げられた要因をどうみているのか。

「対象ファンドは283本だ。欧州債務危機を乗り越えて、ユーロ・ハイ・イールド債券が堅調に推移してきたことや、(円ヘッジなしのBコースについては)為替のユーロ円相場が上昇したことも背景となった。高い評価を得られたということは、当社の銘柄選択も、うまく効いていたと言えるのではないか」

――ファンドの純資産は急激な増加をたどったが、足元はどうか。また、この先、どのような投資家層の購入を想定しているのか。

「日次ベースで残高をチェックしているが、依然として資金流入の日が上回っているようだ。なお、当ファンドは利回りが高い分、その一方で相応のリスクも伴う。すべての資産を投じるというのではなく、分散投資の一環として、その中の1つに使ってもらえば、魅力的な資産として、ポートフォリオ全体のパフォーマンス向上にも資するのではないか」

――最後に、ドイチェ・アセット・マネジメントでは「2014年はユーロの年」と規定して情報発信に注力しているとか。

「欧州経済は緩やかな回復を続けており、ファンドを取り巻く投資環境なども良好だと思われる。ところが、販売会社の方やメディア関係者に話を聞いても、『ユーロ圏の情報があまり入ってこない』といった声が少なくない。好転するユーロ圏の情報をどんどん出していくことは、ドイツの運用会社である当社の重要な役目と考え、ウェブサイトやセミナー、臨時レポートなどさまざまな形で積極的な情報提供に務めていきたいと考えている」

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