豪社債とハイブリッド証券に着目  三菱UFJ投信「三菱UFJ/AMP オーストラリア・ハイインカム債券ファンド(毎月決算型)」(愛称:カンガルー・ジャンプ) 

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相対的な利回りの高さと豪経済の安心感が魅力
商品企画部 開発グループ シニアマネジャー 渡部猛氏に聞く

三菱UFJ投信 商品企画部 開発グループシニアマネジャー 渡部猛氏

三菱UFJ投信 商品企画部 開発グループ
シニアマネジャー 渡部猛氏

三菱UFJ投信は7日、追加型の海外債券ファンド「三菱UFJ/AMP オーストラリア・ハイインカム債券ファンド(毎月決算型)」(愛称:カンガルー・ジャンプ)を設定した。オーストラリアドル建て債券を主要な投資対象にしたファンドは、日本の投資家にとって人気が根強く、同種の設定本数も増えているが、これまでの組み入れの中心はオーストラリア国債だった。今回のファンドは、オーストラリアの新たな資産を組み入れるもの。同ファンドの設定の背景や、仕組みや魅力などについて、同社商品企画部開発グループのシニアマネジャー渡部猛氏に聞いた。

ファンド設定の背景

当ファンドは、人気のオーストラリアドル建て債の中でも、相対的に利回りの高い普通社債とハイブリッド証券(劣後債、優先証券)(オーストラリアの普通社債およびハイブリッド証券をオーストラリアハイインカム債券と表す)に着目した。足元は、世界的に金利低下が進む中でオーストラリアドル建て債券は比較的高利回りとはいえ、既発商品の利回りは、例えば、国債は2008年9月のリーマン・ショック前の6%から現在は3%に低下、実に半分の水準となっており、さすがに魅力が薄れつつある。これに対して、当ファンドは6―7%の利回りが提供できる。当社が今回、オーストラリアハイインカム債券を投資対象にした当ファンドを立ち上げたのは、こうした背景がある。

基本的な特徴と仕組み

当ファンドの特徴をいくつか挙げてみたい。投資対象となる社債やハイブリッド証券の発行体はオーストラリアの企業に絞った。従来の豪ドル債券ファンドには欧州の銀行などオーストラリア以外の企業が発行する豪ドル建て債券などが含まれる場合があるが、当ファンドでは企業の所属国を経済が健全なオーストラリアに絞ることで安心感を打ち出した。通貨は、主に豪ドル建て債券に投資するため、豪ドル円相場の直接影響を受ける。一部豪ドル建て以外の米ドルやユーロ建てなどにも投資するが、その場合は原則として、実質、豪ドル建てになるように外国為替市場でヘッジを行う。毎月の決算時に分配を行う方針だが、当ファンドの初回の分配は3月7日を予定している。
ファンドの仕組みとしては、「三菱UFJ/AMP オーストラリア・ハイインカム債券ファンド(毎月決算型)」をベビーファンドとして、「AMP オーストラリア・ハイインカム債券マザーファンド」への投資を通じて、普通社債とハイブリッド証券へ実質的に投資するファミリーファンド方式により行われる。

ハイブリッド証券とは何か

投資対象の中核の1つであるハイブリッド証券とは何か。一般の方々にはまだ聞き慣れない商品と思われる。まずこれを紹介したい。ハイブリット証券は、債券と株式の両方の特性を有しており、一部はオーストラリアの証券取引所でも取引されている。期限付き劣後債、永久劣後債、優先証券などの種類がある。一般に利息(配当)が定められており、満期時や繰上償還時に額面で償還されているなど債券に似た性質がある。同一発行体が発行している普通社債とハイブリッド証券を比較すると、ハイブリッド証券の弁済順位は普通社債に比べて低いという特徴があり、リスクは普通社債に比べハイブリッドの方が高い。一方で、ハイブリッド証券の方が普通社債より利回りが高く、また期待リターンも高くなる。リスク・リターンを考えるとハイブリッド証券は債券と株式の間に位置しているといえる。また、一部のハイブリッド証券には発行企業の経営状況によって株式などに転換されるものがある。

運用

債券運用に当たっては、オーストラリアのAMPグループの一員で、同国リテール向け運用分野で最大手の運用会社であるAMPキャピタル・インベスターズ・リミテッドに運用の指図に関する権限を委託する。同社の主にオーストラリアの社債に投資する旗艦ファンド「AMP Capital Corporate Bond Fund」の運用実績はモーニングスターの調査の「オーストラリア債券」部門で過去3年間のトータル・リターンが1位となっている。三菱UFJ信託銀行は2011年12月に、AMPキャピタル・インベスターズ・リミテッドの持ち株会社であるAMPキャピタル・ホールディングス・リミテッドへの出資と業務提供を発表しており、投資商品を共同開発している。三菱UFJフィナンシャル・グループの当社との協働の一環で、その第1弾として当社は今年春に「三菱UFJ/AMP グローバル・インフラ債券ファンド(毎月決算型)」(愛称:世界のいしずえ)で運用を委託している。今回はその第2弾といえる。

モデルポートフォリオ

設定以後に運用が開始されるファンドのイメージを理解していただくため、参考としてポートフォリオ(9月末)を紹介したい。その構成をみると、種別組み入れ比率は、普通社債が54.0%、ハイブリッド証券が46.0%と、半々といったところだ。格付け別組み入れ比率は、BBB格が56.5%、A格が21.5%、BB格が6.5%などの順。業種別組み入れ比率は、資本財・サービスが23.0%、銀行が18.5%、不動産が17.2%、公益事業が16.8%、エネルギーが11.0%などの順。業種別の偏りがなく、バランスが取れている。また、同ポートフォリオの特性は、最終利回りが6.9%、デュレーションが2.7年、平均格付けがBBB、銘柄数が38となっている。

オーストラリア経済の現状

良好なオーストラリア経済の下、同国企業が発行する普通社債とハイブリッド証券は投資対象として魅力的だ。このところ先進国では格下げが相次ぎ、最上級の格付け「AAA」(S&Pのケース)の引き下げを余儀なくされる国が出でいる中で、オーストラリアは最上級の格付けを維持している。同国の財政状況は相対的に健全性が高いと判断されるからだ。主要先進国の中で、同国は政府債務残高が低く、経済成長は相対的に高い。また、国債利回りは日、米、独などと比べ高い水準にある。同国経済を引っ張るのは、内需拡大と豊富な資源だ。人口増加見通しで今後も個人消費の拡大が期待される。また、鉄鉱石や石炭などで世界有数の資源国であるオーストラリアは中長期的に経済成長が見込まれる中国などアジア圏への輸出拡大で同国経済の一層の成長が期待される。

オーストラリアハイインカム債券の収益力

オーストラリアのハイインカム債券の収益力は高い。豪ドル建て資産の利回り比較では、同国国債が2.7%に対して、ハイインカム債券(格付けBBB)は6.9%(モデルポートフォリオベース)に上っている。またリート(不動産投資信託)の5.6%より上回っている。世界の債券利回りとの比較では、グローバルハイブリッド証券(格付けBBB+)の5.3%、米ドル建て新興国国債(格付けBBB-)の4.6%、グローバル投資適格社債(日本を除く、格付けはA-)など比べ高い水準にある。またグローバルハイイールド債券(格付けB+)の利回りは7.5%で、ハイインカム債券の方が格付けは高いが、利回りはそう遜色(そんしょく)はない。

運用プロセス

運用プロセスは、まずトップダウンアプローチでマクロ要因分析、ボトムアップアプローチで業種分析と、個別企業の財務・業績などの信用分析をそれぞれ行う。次の段階で業種、信用環境、金利などリスク源泉別に見通しを点数化、社内格付けなどの活用および個別発行条件などの精査による銘柄を選別化する。最終段階で、運用目標や資金動向および投資対象資産の流動性などを総合的に勘案してポートフォリオを構築する。

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