欧州REIT・不動産関連株、息の長い上昇期待 三菱UFJ投信「三菱UFJ/AMP 欧州リート・不動産関連株式ファンド」

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投資家、出遅れ欧州市場に資金シフトへ

委託運用部株式・オルタナティブグループ チーフファンドマネジャー冨田道也氏
商品企画部開発グループアシスタントマネジャー中井和弘氏

冨田道也氏 中井和弘氏

冨田道也氏     中井和弘氏

三菱UFJ投信は3月25日に「三菱UFJ/AMP 欧州リート・不動産関連株式ファンド(3カ月決算型、年1回決算型)(愛称:欧州ロード)」の設定・運用を開始した。ともに足元の基準価額は1万円を超え、幸先の良いスタートを切っている。欧州REITや欧州不動産関連株のマーケットの現状と展望、同ファンドの特徴や魅力、強みなどについて、同社委託運用部株式・オルタナティブグループのチーフファンドマネジャー冨田道也氏と、商品企画部開発グループのアシスタントマネジャーの中井和弘氏に聞いた。

■基本的な特色

欧州のREITと、不動産関連企業の株式を投資対象にしたファンド。ある程度多頻度で分配を望まれる投資家と、分配は少ない頻度でよい投資家とで、ニーズに合わせて選べるようにファンドの決算頻度としては3カ月決算型と1年決算型の2種類を用意している。現時点で欧州のREITなどを対象としたファンドは業界にも少ないことから、貴重な投資機会を提供できると考えている。実際の運用を担当するのは、グローバルのREIT運用で実績があり、オーストラリアのリテール向け運用で最大規模の運用会社であるAMPキャピタル・インベスターズ・リミテッド。同社はREIT運用で優れた運用パフォーマンスを上げている運用会社に与えられるアワードも受賞している。

■REITと不動産関連株を組み合わせた理由

欧州のREITと不動産関連株の両方を合わせて主要投資対象とした理由については、欧州REIT市場規模がそう大きくないことや一部の国に偏りが見られることも踏まえ、REITに不動産関連株式を加えた方がより分散の効いたポートフォリオを構築できることに加え、より幅広く欧州の不動産関連市場の回復をとらえることができるため。REITの歴史を考えるとアメリカとオーストラリアが大きな市場として知られるが、欧州のREIT市場は意外とまだ大きくない。

■欧州REIT市場

当ファンドのモデルポートフォリオを見ると、1月末現在の構成比はイギリス48%、オランダ19%、フランス9%などの順。このほかスイス、ドイツ、スウェーデンなどが続いている。欧州のREIT・不動産関連株市場は、イギリスの構成比が非常に大きい、銘柄数がそう多くない、比較的時価総額の大きな銘柄がいくつか上位を占めている、という特徴を持っている。1月末現在のモデルポートフォリオでは、イギリスのREITが組み入れ上位10銘柄の中に4銘柄が入っている。なお、1月末現在のモデルポートフォリオではREITと不動産関連株の構成比は、REITが75%、株が25%となっている。

欧州REIT・不動産関連株の市場規模は16.5兆円程度(1月末時点・浮動株調整後)。欧州REITはリーマン危機のときにかなり下落したものの、欧州は低金利の環境が続いていること、資金調達が活発化していること、新規上場もこれから増えてくるのではないかと期待されることから、今後の上昇が期待される。

■ファンド設定の背景と魅力

昨年来先進国の景気回復により投資家の資金が新興国から先進国へと向かう流れがきており、その中で最初に恩恵を受けてきたのは、流動性も時価総額も大きいアメリカだった。しかしながら、アメリカの株式相場が既に相応に高くなってきている中で、先進国の中で次は欧州に目を向け始めている投資家も多いと考えられる。欧州では、中国やロシアなどからイギリスに資金が入ってきやすいという事情もあって一部バブルではないかとの見方もあるが、現状では需給関係もよく、モメンタムも強いということもあり、まだ欧州への資金流入が続くとみる向きが多い。こうした状況も踏まえて、欧州の低金利環境と資金フローで恩恵を受けやすいREITや不動産株への投資に妙味があるのではないかということで、当ファンドの投入に踏み切った。

GDP(国内総生産)ベースで見ると、IMF(国際通貨基金)の予想では、2014年以降、ユーロ圏がプラスに転じるとみている。欧州債務危機などから出遅れていた欧州景気の本格回復が見込まれる中で、出遅れていた欧州市場にも資金が回ってくることが期待され、そこをREITや不動産関連株に投資することでとらえていくことを狙っている。

金利政策を見ると、アメリカは量的緩和策の縮小で、金利は今後どちらかというと上昇すると考えられる。ところが欧州を見ると直近の消費者物価指数がユーロ圏、イギリスとも中央銀行の目標水準を下回っている。こうした状況下、低金利環境がまだしばらく続くと予想される中で、REITや不動産関連株は金利に敏感な面もあり、投資環境としてはかなり魅力的なのではないかとみている。

■注目はイギリスREIT

本ファンドの運用を委託するAMPキャピタルでは欧州の中でも特にイギリスに注目しており、モデルポートフォリオではインデックス対比でオーバーウエートしている。これは低金利環境が続くということ、ロンドンなどは参入障壁が高くて物件の供給が限られていること、ロシアや中国からの資金流入などにより需要は強く需給関係が良いことなどを考慮している。さらにイギリスでは政府の持ち家購入支援スキーム(「ヘルプ・トゥ・バイ」)があって、昨年から持ち家を取得させる政策が推進されていることなどをポジティブ材料として勘案してのことだ。イギリスの不動産の中でも住宅、小売、オフィスなどすべてのセクターにわたって非常にポジティブな見方がされている。ポートフォリオの中でもロンドンにエクスポジャーがあるような銘柄を積極的に組み入れたいと考えている。イギリスの景気は好転しており、それに伴って不動産取引も活発化しており、一部はバブルの懸念もあるようだが、当社のロンドンオフィスの見解も含めまだ割高ではないとみている。

■セクター別比率では小売りが最大

REITのセクター別の構成比は、モデルポートフォリオ(1月末時点)ベースで小売が36%、複合が33%、オフィスが20%となっている。資金や人が入ってくると小売が恩恵を受けることにもかんがみ、セクター別比率では小売の分野が最大となっている。特にイギリスの小売の分野はここ数年でポジティブな状況にある。消費が活発化してくると不動産、REITも活発化してくることからそうした銘柄を組み入れている。

■欧州REITマーケットの展望

景気回復のサイクルを考えてみると、今後、企業の設備投資、輸出、消費者センチメントなどが上向いていく。例えば、設備投資であれば、今注目されているのはTMT(テレコム、メディア、テクノロジー)だ。最近、欧州ではこの3業種でM&A(企業合併・買収)が活発となっている。設備投資が増えてくると関連設備―不動産を購入して投資する動きが起きてくることが想定されるため、企業の設備投資動向が上向いていることはポジティブと言えよう。消費者のセンチメントが上向いてくることも、小売の増加にもつながってくる。欧州全体としてみると景気回復のサイクルに入ってきているが、AMPキャピタルの分析では、不動産の長いサイクルを見てみると、欧州のメジャーな都市はほとんどがサイクルのボトムにあるとの見方がされており、欧州の不動産はこれから投資する時期に入ってくるとみられる。イギリスは住宅価格が上がり、商業不動産の取引も増えてきており、オフィスの空室率も下がる見込みとなっている。小売のウエートは高いが、そのほかの分野も改善が見込まれることで、当ファンドでは分散投資をしていく考えだ。

リーマン危機前の04年から07年にかけての景気拡大局面では欧州REIT・不動産関連株は世界のREIT・不動産関連株式に比べてアウトパフォームしている。欧州市場が現状他地域より出遅れていることも考慮すると、いったん景気回復局面に入ると息が長く上昇していくのではないかとみている。市場が動き始めると政府系ファンドや富裕層などの資金が流入する期待もあり、需給面から見ても良好な状態になるのではないかと考えられる。

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