ポートフォリオ、内需の復活が大きな柱 BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン「BNYメロン・日本株式ファンド 市場リスク管理型 愛称:攻守自在」

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2、3年のビューを確立、バリュエーションなど勘案しウエート決定

王子田賢史氏

王子田賢史氏

日本株式運用部長 王子田賢史氏に聞く

BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンが昨年12月24日に設定、運用を開始した日本株投信の「BNYメロン・日本株式ファンド 市場リスク管理型 愛称:攻守自在」。同ファンドは、中長期的に上昇が期待される日本株への投資を通じた収益獲得を目指すが、その上で、株式相場を大きく下落させるさまざまなリスク要因からの影響を、株価指数先物を使って軽減させる機能を持つ。この機能もこれまでのところうまくワークしているという。同ファンドの仕組みや強み、株式運用戦略などについて、同社日本株式運用本部日本株式運用部長の王子田賢史(おうしでん・まさふみ)氏に聞いた。

■ファンドの特徴

当ファンドは、過去5年運用してきた日本株ファンドをベースにして、外部の助言を受けているが、世界の金融市場のリスクアペタイト(リスク選好度合い)を指数化したものを使って、株のエクスポジャーを4段階――リスク・オンの時には株100%、環境が徐々に悪くなってくると、先物を使って第1段階として30%ヘッジする、第2段階では60%ヘッジする、第4段階では100%ヘッジして、残ったのはロングの部分だけでアルファだけを出せればそれだけがリターンになるという組み立てとなっている。例えば、今年1月の終わりにヘッジをかけた。アルゼンチンをきっかけにした新興国のフラジャイル・ファイブ(ブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピア、トルコリラ、南アフリカランドのぜい弱な5通貨)が話題になったときのタイミングで30%のヘッジをかけた。2月は最初マーケットが下がったが、基準価額はマイルドにしか下がらなかった。ダウンサイドの場面でヘッジを使うことでプロテクトするものだ。先日、ヘッジは外したが、マーケットもいってこいとなっていた。ヘッジポジションからは利益を取ってクローズした。仕組みとしてワークしている。相場が上に行くときはシグナルが出ていなくて、裸の状態で持っているのはいいが、仮に部分的にヘッジがかけられていても、基準価額の上昇は期待できる。相場が下に向けば、資産保全のお役に立てる。仕組み上は、個人の方が安心して持っていていただける商品設計になっている。

■日本経済の現状と見通し

今回のアベノミクス相場は、世界経済のギャリングの道具の日本でないということがポイントとなっている。トップダウン的な見方をすれば、日米の金融政策の違いから考えてわれわれとしては方向性としては円安とみている。米経済も、GDP(国内総生産)で昨年よりは1%程度良くなると予想されることから世界経済は良い方向に向いており、輸出産業でもいいとの考え方があり、輸出セクターをネガティブにみているわけではなく、そこそこついていけるポジションにはしてある。しかし、アベノミクスの最大の効用は、過去15―20年続いたデフレからの脱却であり、株高であれ円高是正であれ、今まで委縮してきた日本が希望や明るさを取り戻すことが肝だと考えている。それが経済指標にも徐々に表れ始めていると理解している。確かに、昨年第4四半期GDPは弱かった。第3四半期も足を引っ張っている部分があった。いずれも純輸出が主因だ。円安にもかかわらず輸出数量が伸びていないことと、福島の原発事故以降、海外から大量に購入している化石燃料が円安でコストが上がっているという2つの側面があるが、純輸出がGDPの足を引っ張っているが、内需はいい、個人消費も堅調、企業も投資し始めている。機械受注が伸びている。財政も出動している。

■運用戦略

こうした状況で、当ファンドの株式運用のベースとなっている「ING日本株式マザーファンド」のポートフォリオは、内需の復活が大きな柱となっている。東証33業種で見たときの対ТOPIXでのオーバーウエートにしているセクターは、上位5位までを見るとサービス業、建設業、不動産業、その他金融業、ゴム製品で、ゴム製品以外の4つのセクターは典型的な内需セクターで、ここにベットしている。しかし、輸出はネガティブ視しているわけではない。では、どこからその部分を持ってきているかというと、対ТOPIXでのアンダーウエートセクター(陸運業、保険業、電気・ガス業、医薬品、食料品)で、典型的なディフェンシブセクターだ。景気が悪いときに相対的に活躍するところからファンディングして、内需シクリカル的なところから持ってきているのが現在の戦略となっている。ただし、われわれがセクターでアルファを稼ぐのはそれほど大きくなく、どちらかというと選んだ銘柄(2014年1月末現在、上位は五洋建設、日立製作所、光通信、日機装、ブリヂストン)をオーバーウエートにしてアルファを稼ぎにいっている。70数銘柄を組み入れているが、1銘柄当たりのウエートが突出して大きくなることはない。ガイドラインで上限を設けており、そう派手にオーバーウエートできるファンドではない。また、当ファンドはサイズ(時価総額)による制限はない。オーバーウエート上位5銘柄を見ても分かる通り、小型株から大型株までブレンドされている。当チームの運用方針により、2、3年のビューを確立して、バリュエーションなどとの相談でウエートを決めていくという方法だ。

同ファンドは5年ぐらい運用しているが、年間の回転率は30%ぐらいだ。ということは1銘柄当たり、平均3.3年ぐらい持っているということを示している。銘柄によっては5年前に買ってずっと持っているということもある。逆に1、2年で売却している銘柄もある。まず買いを決めるときに3、6カ月の短期で利益を取ろうとする銘柄の選び方は基本的にしていない。なるべく2、3年は持てるものを探しているが、継続的に調査をかけることによって継続して4、5年になりましたという銘柄もあれば、株価が先に反応してバリエーションが割高になって、1、2年で売却してしまう銘柄もある。また見通しを間違えて早めに閉じてしまうこともある。勝率は良くても7割、平均は6割ぐらいであり、目指しているのは10対0だが、結果的に勝敗は6対4といったところだ。ただし、降りなければいけないときと、持ち続けていいという判断は、フォローしながら個別に判断している。

■突発的なイベントの対応

ウクライナ問題について。経験上、悪材料はたびたび起る。リスク要因はカレンダーに乗っていないこと。例えば、米雇用統計はリスクはあると分かっていることで、たかが知れているリスクとの見方もできる。今回のクリミア問題は事前には分からないことなので、リスクだと言っている。しかし、今のわれわれのストーリーとあまり関係ないこと、日本がやっている構造改革が変調をきたせば対応せざるを得ないが、それとは関係ないところで起っていることであり、1カ月後に運用にとってリスク要因となっているかは疑問だ。例えば、アルゼンチンの通貨切り下げも既にどこかに行ってしまっている。日本には直接関係なく、外部要因だけで下がった場合、むしろ買いに動いてもいいのではないか。

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