HSBC投信 新ファンド設定 「HSBCユーロランド中小型株式オープン」

個 別


HSBC投信、初の先進国株ファンド 出遅れ感が強い「欧州中小型株」に選別投資

HSBC投信は3月25日に「HSBCユーロランド中小型株式オープン」を新規設定する。これまで新興国市場を投資対象とするファンドを手掛けてきた同社。日本の投資家に向けた初の先進国株ファンド設定の背景と商品概要、今後の投資戦略が語られた。

ファンド概要 ユーロランド中小型株に「買いの好機」到来!

フレデリック・ルゲー氏HSBCグローバル・アセット・マネジメント
欧州株式チームヘッド フレデリック・ルゲー氏

欧州経済の現状と見通し:「底入れ」から「回復」へ

欧州経済は債務危機による最悪期を脱したとみられる。厳しい財政緊縮政策により財政赤字(対GDP比)は低下、経済成長率も2013年のマイナスから14年はプラスに転じる見通しだ。

足元では景気の先行きを示すPMI(購買担当者景気指数)が景気拡大・後退の分岐点である50を上回るなど、一部の経済指標が景気回復の兆しを示している。加えてECB(欧州中央銀行)は低いインフレ率を背景に過去最低水準にある政策金利について、引き続き継続する方針を打ち出しており、低金利政策による景気下支え効果の継続も見込まれる。

何より欧州株式市場は米国などほかの株式市場と比べて出遅れ感が強い。今後は欧州景気の本格的な回復に伴う株価の上昇が期待される。

「企業収益」上方修正が続く

図1欧州出遅れの理由は「企業収益」にあるとみる。企業のEPS(1株当たり利益)を見ると(図1)、米国企業は09年の世界金融危機でダメージを受けるも、すぐにトレンドライン近辺にまで回復。近年はトレンドラインを上回る推移が続いている。一方、欧州企業は債務危機を受けていまだ低迷を続けており、ピークを25%ほど下回る水準にとどまる。

しかしながら欧州企業の収益は13年以降、上方修正の傾向を強めている。アナリストによる業績予想の上方・下方修正の銘柄数の割合を見るリビジョン・インデックスは足元で反転(図2)。加えて過去15年ほどさかのぼると、既に上昇トレンド入りした景気先行指数PMIとリビジョン・インデックスとの間には相関関係が確認され、今後はこのギャップを埋める動きが想定される。

「内需」の巻き返しに注目

図2欧州では今後「内需」主導の経済成長が期待される。欧州企業の収益は14-15年で2ケタ伸長が見込まれているが、既に欧州域外で経済回復の恩恵を受けるグローバル企業に比べて、内需関連企業の伸びが大きいことが想定される。

取りわけ銀行セクターは改善余地が大きいだろう。これまでリーマン・ショックに端を発した世界金融危機、欧州債務問題と2度のダメージを受けたセクターでもある。加えて近年は資本増強を図った結果、足元のROE(自己資本利益率)が改善しつつある。今後ECBによる銀行の資産査定が予定されているが、自己資本不足を指摘されるケースはほぼないとみる。金融機関は資産を06-07年の3倍程度にまで増やしており、この事実が広く知られれば、銀行セクターへの関心が高まる上に、今後は企業側が株主還元策などに着手する動きも期待される。

「欧州中小型株」に投資妙味

欧州株の中でも中小型株の投資妙味が高いと考える。欧州債務問題などで投資家に放置されていたこともあり、バリュエーションの観点から見ても、ほかの地域の中小型株と比べて割安だ。また、ECBの低金利政策を背景とした資金調達コストの低下によりM&A(企業合併・買収)活動が活発化していることから、企業の活性化が期待でき、中小型株式市場はその恩恵も存分に受けるものと考える。

過去の推移を見ると、欧州の小型株は大型・中型株に比べてアップサイドのポテンシャルが高い一方で、ボラティリティーもさほど大きくないとの特徴を持つことも大きな魅力。運用テーマをしっかり絞り込んで正しい銘柄選択さえできれば、市場平均を大きく上回るリターン獲得の可能性が高い。

「HSBCユーロランド中小型株式オープン」概要

投資対象は「ユーロランド中小型株」:ユーロ圏(通貨ユーロを導入する18カ国)に属する国の企業もしくはユーロ圏における事業活動がかなりの部分を占める企業の株式等の中で時価総額1.5億-80億ユーロの中小型株を投資対象とする。投資対象銘柄数は2,000ほど。ユーロランド時価総額全体の約20%を占める。投資テーマに基づいてトップダウン、ボトムアップ分析を組み合わせて銘柄選別を行い、最終的には約50-60銘柄をポートフォリオに組み入れる。その結果、中小型株といっても時価総額70億ユーロ以上(約1兆円以上)の企業がポートフォリオの中で15%程度含まれている

パリ拠点の中小型専門チームが運用:経験年数15年以上の中小型株に精通した4人のスペシャリストによる専門チームが運用を担当。多くの運用会社がロンドンに拠点を置く中、HSBCはユーロ圏内のフランス・パリに拠点を置く。

投資テーマの例:先進国が抱える「人口の高齢化」の観点から介護施設の運営、調剤薬局・医療機関向け製剤サービス、資産運用会社などに注目している。また、「ニッチな市場におけるグローバルリーダー」として、世界的大手のコールセンター運営企業、技術革新として電子決済ソリューションなどにより経済モデルそのものを変革するような企業に注目する。欧州景気の持ち直しに伴う業界再編もユニーク。

ファンド設定の背景と今後の投資戦略

松田宇充氏HSBC投信
代表取締役社長 松田宇充氏

米国利食い資金が欧州へ

米国をけん引役にグローバル株式市場が活況を呈している。米国S&P500は12年に13%、13年は30%上昇したが、14年も既に1-2%上昇している。昨年のファンド資金の流入先を見ると、米国株が50%を占めるのに対して、日本株が15%ほど、欧州株は8%ほどにとどまった。過去の資金フローの傾向に倣えば、活況の米国株についてはこの先いったん利食いの動きが発生して、他市場に資金が振り向けられることが想定される。米国株は現在、過去平均から2割ほど割高な水準にあることからも、今後は出遅れ気味な欧州株への資金流入が予感される。

企業増益率にも、欧州株の出遅れが顕著に表れている。昨年の米国企業の増益率は5-8%で、欧州企業は3%ほど。今年の予想はそれぞれ11%、15%ほどだが、欧州企業の変化率の大きさが際立つ。さらにユーロランドに絞れば20%超とさらに高い増益率が予想され、規模別では大型株15%に対して、小型株は48%もの増益率が見込まれている。ユーロランドの小型株は昨年も48%増益を達成しており、来年は24%が予想されている。

好機逃さずファンド提供

今回、当社にとっては日本で初の先進国株ファンドの設定となる。しかしながら、HSBCグループの持株会社であるHSBCホールディングスplcが本部を英国ロンドンに置くことからも、HSBCグループの欧州株運用には定評があり、グローバル運用資産45兆円の約3割を欧州域内で運用している。これまで当社はエマージング特化型ファンドを多数手掛けてきたが、欧州で収益環境の劇的な変化の訪れが予期される今、日本の投資家の皆さまに最適な投資機会を提供することこそが重要だと考え、ファンド設定を決断した。

戻る