成長持続性、4指標で判断 ニッポン持続成長株ファンド(限定追加型)3月14日設定 三井住友アセットマネジメント

個 別


個別銘柄の調査体制充実

株式運用グループ シニアファンドマネージャー 上村孝広氏
投信営業第三部 シニアマネージャー 三角慎氏語る

上村孝広氏 三角慎氏

 上村孝広氏       三角慎氏

三井住友アセットマネジメントは3月14日、「ニッポン持続成長株ファンド(限定追加型)」を設定する。成長の持続性が高いとみられる日本株に投資する同ファンドの主な特徴などについて、株式運用グループの上村孝広シニアファンドマネージャー(写真左)と、投信営業第三部の三角慎シニアマネージャー(写真右)に話を聞いた。

――このファンドは、昨春3月29日にされた「ニッポン割安成長株ファンド(限定追加型)」の“後継ファンド”とされるが、どのような位置付けなのか。

三角 「同じく『成長株』を掲げているが、前回の『割安成長株ファンド』は、主にPERやPBR(株価純資産倍率)のバリュー指標を重視したものだった。基準価格が1万2,500円を超えたため、設定から1カ月半足らずの5月24日に早期償還した。今回、『持続成長株ファンド』と銘打ったのは、金融相場から業績相場への変わり目を迎え、重視する指標も、バリューからグロースへと移行するタイミングにあるとの判断による。東証1部銘柄の実績PBRは過去10年の平均である1.36倍に到達し、PERも同様に過去平均の16.5倍に近づいてきた。もちろん、まだ『割高』というわけではないが、単純に割安株を拾う相場は終わり、より選別色の強まる局面に移行するのではないかと考えている」

――それでは、単なる『成長株』ではなく、『持続成長株』とした理由を聞きたい。

上村 「一口に『成長株』と言っても、どこか漠然としたイメージを伴う。例えば、前年に大きく落ち込んだ反動などで一時的に収益回復する場合も、見た目の収益変化率が大きくなり、高成長株と映る場合がある。そうではなく、既に何期も最高益が続き、さらに今後も高成長が期待されるような、成長の持続性が高い銘柄をフォーカスしていきたい」

――「持続成長株」というネーミングのファンドは、あまり聞いたことがないが…。

上村 「当社の“造語”というわけではないのだが、確かに、過去の他社ファンドにもなかったかもしれない。投資銘柄選定に当たっての当ファンドの考え方が反映されていると言っていいだろう」

――銘柄絞り込みの過程で、「成長性」「収益性」「効率性」の3つの観点からスクリーニングを行うとのこと。均等に重点を置くのであれば、ファンド名の割に「成長性」の比重が3分の1と低いようにも思えるが…。

上村 「成長性は『売上高増収率』と『営業利益増益率』、収益性は『営業利益率』、効率性は『ROE(自己資本利益率)』を基準に、それぞれ上位50%程度の銘柄を選定する。成長性の指標は4つのうちの2つ、比重は2分の1となる」

――「増収率」と「営業増益率」の2つの基準には重複する部分も多いのではないか。

上村 「『増益率』だけではなく『増収率』の重視する理由はいくつかあるが、まず、利益拡大の“先行指標”としての側面。最初に売り上げが伸びて、利益がキャッチアップするケースが多い。新製品、新サービスなどは最初に広告宣伝などのコストが先行するためだ。また増収率は、利益の質を図る指標にもなる。単なるリストラや、縮小均衡型の費用削減で増益となっても持続性に乏しい。実際にモノが動いているか、売れているかを知る上でも増収率は有効な指標となる。ただし、過去の株価検証を行うと、もちろん増収率が高ければいいというわけではない。薄利多売型のビジネスも少なくないためだ。増収率と増益率を合わせて判断することが重要と言えるだろう」

――具体的な銘柄選定プロセスは、どのようになるのか。

上村 「日本の取引所に上場する約3,500銘柄のうち、株式流動性を考慮して時価総額100億円未満の銘柄をいったん除外し、また信用リスクの観点からは自己資本比率でも選別を行う。こうして残った2,000前後の銘柄のうち、先の4つのスクリーニングによって、約1,000銘柄の持続成長株集団に絞り込む。ここから各企業の成長戦略やビジネスモデルを個別に精査していき、組入候補銘柄として約350銘柄を継続フォローしていくことになる。さらに選別を徹底し、最終的にポートフォリオに組み入れられるのは、大体60銘柄から80銘柄くらいになるだろう。3カ月に1度、本格的な銘柄入れ替えを予定しているが、それ以外にも、新たな有望銘柄を発掘したり、また、組み入れ銘柄に急騰、急落などが生じた場合は、随時見直していく」

――個別選別を行う際の調査部門の体制は。

上村 「企業調査グループに17人の日本株アナリストが在籍している。企業への個別訪問や説明会などには、私もできる限り同席し、共同リサーチを行っている」

三角 「バイサイド(機関投資家)で、独立したアナリストの専門部署を設けており、投信業界内でも、調査体制は、かなり充実していると自負している」

――日本株を取り巻く投資環境については、どう見ているのか。

三角 「昨年の大幅上昇を経てきただけに、そのままどんどん上がり続ける状況にはないが、国内では昨年同様、成長戦略などで政府のサポートを受ける環境に変わりはなく、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉などもこれから本格化してこよう。海外においては、米国景気はさらに好転するとみている。欧州経済は『底打ち』から『底上げ』へと転じ、懸念される中国など新興国経済も、これ以上、懸念を深めることはないとみている。来年度も日本企業の増収増益が継続しそうで、個別企業では、かなり上昇余地を残すものもあるのではないか」

――基準価格1万3,000円超えで、早期償還となる。「ニッポン割安成長株ファンド」では、これを1万2,500円に設定していたはずだが…。

三角 「今年の日経平均の高値のメドを『1万8,000円』程度と予想される専門家の方が多いようである。当ファンドのようなアクティブ型ファンドは市場平均を上回る上昇が期待されており、今後の日本株市場全体の上昇分も含めて1万3,000円超えの繰上償還の水準であれば、ご購入いただくお客さまにも納得してもらえるものと想定している」

――運用期間は5年弱だが、通常の「追加型」ではなく、来年3月末まで追加購入できる「限定追加型」としたのはなぜ。

三角 「今が、投資タイミングであるということをコンセプトにしたファンドである」

上村 「タイミングという点では、4月に迫った消費税率引き上げも注目されている。今の市場では、具体的な影響度合いを読みかねて買い手控えムードが強まっているが、4、5月の決算発表時には企業側の収益計画や経営者のコメントなども明らかになる。個人消費の底堅さなどを踏まえれば、駆け込み需要の反動といった悪影響も比較的短期間にとどまると考えているが、そうした状況が見えてくれば、市場参加者の買い意欲も復活してくるはず。足元で調整局面が続いても、中期的に見れば、買いのタイミングと言えるのではないだろうか」

――ほかにも何か、このファンドで注目してもらいたい点などはあるのか。

上村 「先ほども触れたが、スクリーニング基準の1つにROEを入れたことだ。かつての日本企業には、比較的安易にエクイティファイナンスを実施するなど、資本効率をさほど重視しない企業も少なくなかった。グローバルスタンダードの投資指標とも言えるROEを選別基準に据えることは結果的に、外国人にも長期保有してもらえる銘柄を多く組み入れることにもつながる」

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