債券投資は3Dの時代 「分散」「機動的」「安全」がキーワード 日興アセットマネジメント

個 別


「ABグローバル・ハイインカム・オープン 愛称:ABコンパス」

毎月分配型:為替ヘッジなし/為替ヘッジあり
1年決算型:為替ヘッジなし/為替ヘッジあり

日興アセットマネジメント SMBC日興室長 日興アセットマネジメントに聞く

細萱善人氏

細萱善人氏

日興アセットマネジメントは1月31日に「ABグローバル・ハイインカム・オープン(毎月分配型)為替ヘッジなし/為替ヘッジあり、(1年決算型)為替ヘッジなし/為替ヘッジあり 愛称:ABコンパス)」を設定した。同ファンドはさまざまな債券で運用するマルチセクター債券ファンドだ。投資信託を購入する場合、トラックレコードが長く、安定した運用実績を持っていることが一つの目安になる。もちろん、過去の運用実績が、将来の運用実績を保証するものではないが、長い間好調を維持しているファンドは、それなりの理由があるはずだ。同ファンドは、そのような既存の類似ファンドと全く同じコンセプトで運用される。類似ファンドを含め、同ファンドの基本的な特徴や、運用の考え方、仕組み、魅力などについて、日興アセットマネジメント・SMBC日興室長の細萱(ほそがや)善人氏に聞いた。販売会社はSMBC日興証券。

■基本的な特色

当ファンドの基本的な特徴をいくつか挙げると、まず世界のさまざまな債券に分散投資してトータルリターンの最大化を目指す、シンプルなファンドという点が挙げられる。ただし投資対象は、BB格相当以下の格付が付与されている債券の比率は原則として全体の50%以下という制約が付けられている。実質的な運用は、世界20カ国44都市に拠点を持ち、総額40兆円を超える資産を運用する、世界屈指の運用会社であるアライアンス・バーンスタイングループ (親会社の本社はニューヨーク) の4社が担当する。ファンドは、お客さまのニーズによって選べるように、毎月分配型と年1回決算型、それぞれ為替ヘッジなしと為替ヘッジありの計4ファンドを用意している。

■ファンドの魅力

類似ファンドの設定来のパフォーマンスまずさまざまな債券に投資するということは、それだけ収益機会の拡大が期待できるということだ。「AB羅針盤(コンパス)戦略」と呼ぶ、市場環境に応じてさまざまな債券セクターに機動的に組み合わせる戦略を用いることで、あらゆる投資環境において、トータルリターンの最大化を目指す。投資対象となる世界の債券とは、信用力の高い投資適格の先進国の国債や社債、収益性の高いハイイールド社債や新興国債券などで、投資環境を見ながらこれらへの資産配分を機動的に変更していく。

当ファンドには、日本国内に既存の類似ファンドがある。1997年6月27日から運用を行っており、既に16年の長いトラックレコードを持つとともに、過去には、ファンドパフォーマンスに関するさまざまな賞を受賞するなど良好な運用成績を示してきた。この類似ファンドの運用と全く同じスキームで新たに設定するのが当ファンドであり、類似ファンドの優れたパフォーマンスをお客さまに提供するために、今回、新たに立ち上げることにしたものだ。

■設定の背景

ファンド設定の背景としては、家計を取り巻く環境の変化により、投資へのニーズが高まっているとの判断がある。これまでは預貯金でもよかったが、デフレ脱却に向けた金融政策や消費税引き上げなどによって物価が上昇すると、低金利の預貯金のままにしておくとお金が実質的に目減りしてしまう。こうしたことから、投資に対するニーズは過去に比べ高まってきている。投資をサポートする制度として、1月からはNISA(少額投資非課税制度)もスタートしている。家計の運用に対する姿勢は千差万別だが、安定した運用のニーズは高いと考えている。そこで、相対的に値動きが安定している債券を投資対象とし、既に良好な運用実績のある投資スキームを、家計における運用のベース商品として提供したいと考えた。

■債券の投資戦略

当ファンドと同じ投資スキームを持つ既存の類似ファンドは約16年前から運用されているが、設定当初から同ファンドの運用戦略は、現在を先取りしていたのではないかと考えている。それを「債券投資は3Dの時代」という観点から説明したい。1つ目の「D」は「ダイバーシフィケーション=分散」で、さまざまな債券に分散投資するということ。2つ目の「D」は「ダイナミック=機動的」に配分を変更する点。3つ目の「D」は「ディフェンシブ=安全」への意識。例えば、ハイイールド社債を全体の50%以下するというルールを設けているのも「安全」に対する意識が高いということだ。ITの発達や高度なグローバル化によって、過去とは異なり、瞬時にさまざまなことが起きて債券相場が急激に下落するケースなども想定し得る。仮にこうしたことが突発的に発生しても、商品の仕組み上の工夫で、例えば一定の運用制約を設けることなどによって急落をある程度緩和することは可能だ。このように、債券運用ではその時代に適合した運用戦略が必要であり、当ファンドはそれを兼ね備えていると考えている。

■類似ファンドの経験と過去に学んだ対応

当ファンドの類似ファンドのトラックレコードを見ると、97年6月に運用をスタートして以降、16年以上におよぶ長い運用期間の中でさまざまな危機に見舞われた。97年のアジア危機を皮切りに、ロシア危機、ITバブル崩壊、エンロンの決算粉飾、リーマン・ショック、欧州債務危機などだ。アライアンス・バーンスタインは、その時々の経験を踏まえて、運用体制の見直しを行なってきた。例えば、チーム運用の強化やアナリストの増員、運用部門と調査部門の連携強化、さらにはリスク管理などに関する自社モデルの開発と活用などといった施策だ。危機発生時、人間の判断とは別にクオンツによる客観的な判断を得て、これを適切に活用することで、リスクを回避できたり、適切なリスクテイクに基づいてその後のリバウンドを享受できたりすることがあり、これは長い実際の運用の中でアライアンス・バーンスタインが経験し、必要な改善などを行うことによって同社が得た成果だ。もちろん、こうした改善は今後も継続していかなければならないことだが、同社が積み重ねてきたこれまでの実績を当社は評価している。

この当ファンドの類似ファンドは、これまで世界のさまざまな債券に投資しながら、機動的にセクターの比率を動かしてきた。危機の際の対応を見ると、例えば、リーマン・ショック発生前後では、先進国の投資適格債の投資比率を引き上げた。ロシア危機やITバブル崩壊時にはリバウンドを取りにいけなかったという反省のもと、リーマン・ショック後には割安と判断されたハイイールド社債や新興国債券の投資比率を引き上げた。この結果、基準価額はボトムを付けた後、V字回復している。下落局面は回避できなかったとしても、下落後の回復を早めることができたというわけだ。

■類似ファンドの米金利上昇への対応ポートフォリオ

類似ファンドの直近のポートフォリオを見ると、国別構成比では2013年12月末現在で、米国が41.1%と高くなっている。これは、ハイイールド社債のウエートが上昇していることが大きく、米金利の上昇に対応した取り組みともいえる。債券は一般に金利が上がれば価格は下落するが、それでもハイイールド社債の場合、金利上昇感応度が低く、過去には逆の動きをするケースもあった。金利が上昇するのは景気回復を背景にしていることが多いため、景気が回復すれば信用力が高まり、そうなればハイイールド社債の価格はむしろ上昇する。以前よりも、金利上昇時でも収益機会が取れるようなポートフォリオになっているといえる。

このところ米国では金利上昇の予想が出されているが、過去の金利上昇時、例えば03年から05年の間を見ると、類似ファンドの基準価額は、為替ヘッジなし、為替ヘッジありともに上昇している。内訳を見ると、特に新興国債券、ハイイールド社債の上昇が大きくなっている。また、米国の金利上昇局面では円安となる傾向も見られることで、金利上昇による債券下落を為替でカバーすることもある。日本の投資家から見ると、ある程度相殺されて安定的なリターンにつながる可能性が高い。緩やかな金利上昇であれば、不利になるとは必ずしもいえない。債券の種類によって金利感応度が異なることで、リスク分散を図りながら収益の獲得を目指すことは可能と考えている。

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