機熟す NZドル債券単体のファンド投入 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント「LM・ニュージーランド債券ファンド(毎月分配型)/(年2回決算型)

個 別


運用担当のウエスタン・アセット、得意のクレジット分野で強み生かす

執行役員、運用本部長、シニアポートフォリオマネジャー 冨永恭右氏
執行役員、営業本部クライアントサービス部長 村越正明氏に聞く

冨永恭右氏 村越正明氏

冨永恭右氏    村越正明氏

レッグ・メイソン・アセット・マネジメントは2月28日に「LM・ニュージーランド債券ファンド(毎月分配型)/(年2回決算型)」に設定する。ニュージーランドドル建ての現物債を主要な投資対象とするシンプルな運用で、為替ヘッジはしない。ニュージーランドドル建て債券単体のファンドは、オセアニア(ニュージーランド・オーストラリア)以外では先駆的な取り組みになるものとみられ、関心を集めそうだ。ニュージーランドの経済・金融の現状と展望、同ファンドの特徴や魅力、レッグ・メイソン・グループなどについて、同社執行役員、運用本部長、シニアポートフォリオマネジャーの冨永恭右氏と、執行役員、営業本部クライアントサービス部長の村越正明氏に聞いた。

■設定の背景

当ファンド設定の背景には、レッグ・メイソン・グループのウエスタン・アセットのオーストラリア拠点にニュージーランドの債券運用のプロダクトがあったほか、営業サイドのニーズからは、最近の流れとして新興国より先進国の方に注目が集まっているという状況がある。昨年は、一般的にアメリカ株式ファンドの残高が大きく増えた。当社でもアメリカ株関連ファンドは、自社が提供した商品と、当社がほかの運用会社に提供した商品の残高が合計で昨年3月の設定来2300億円まで積み上がった。残高の増加に象徴されるように先進国の株式ファンドが人気だった。一方で、一般のマーケットを見ると、債券ファンドへのニーズには根強いものがある。昨年はカナダの債券ファンドというカテゴリーが人気化した。ほかに格好の投資対象がないかと探していたところニュージーランドの債券ファンドに出会った。先進国で信用力が高く、当ファンドのモデルポートフォリオで5%程度の金利が得られるニュージーランドの債券ファンドを販売会社に提案したところ興味を持っていただき、今回のファンド立ち上げにつながった。収益分配については、毎月分配型と年2回決算型の2種類。年2回決算型は、NISA(少額投資非課税制度)向けだけではないが、NISA口座を通じて購入いただける方には適していると考えて投入した。

■経済動向

ニュージーランドの経済成長は、先進国の中でも堅調だ。2013年度の成長率の伸びは、ニュージーラード政府の見通しでは2.7%、その後も14年度が2.7%、15年度は3%超で、比較的順調な伸びが見込める、先進国では数少ない国の1つだとみている。経済が堅調な理由については、複数のセクターが成長をけん引している。3年前の大地震で被害を受けたことに対応した復興需要で建設関係が伸びている。また、同国の主要な輸出品である酪農製品が堅調な伸びを見せている。国内景気の良さを反映して個人消費といった内需も比較的堅調に推移しており、全体としてバランスの良い成長になっていると考えている。

■金融政策

金融政策面では、米国がやっと量的緩和の縮小を始めた段階で、利上げには程遠い状況、ほかの先進国では一段の金融緩和を模索している状況下にあって、先進国では金融政策の正常化に最も近いのがニュージーランドと考えている。その意味では、ほかの先進国と状況はがかなり違うと言える。直近の同国の消費者物価はそれほど強くはなかったが、当局は、国内景気がかなり良い状態にあるため、賃上げなどへの波及を通じて、潜在的な物価上昇圧力がある程度強まると考えられ、そういった観点から金融政策を正常化するといった発言がニュージーランド中銀から聞こえている。当社も、今後、同国は利上げに転じると予想しており、今後の利上げのペースや幅はインフレ統計次第と考えている。また、他国との金利差は次第に広がる方向になっていくだろう。なお、マーケットでは早ければ3月にもニュージーランド中銀が利上げに踏み切るとの見方が出ている。

■資源国通貨の中身の違い

ニュージーランドドルは比較的堅調に推移している。ニュージーランドは、オーストラリアとひとくくりにされて、外国為替市場では資源国通貨として動いているが、両国の資源の中身は、オーストラリアが鉄鉱石など非鉄中心であるのに対して、ニュージーランドはバターやチーズなど酪農製品や、羊毛、林業などで、同じコモデティといってもオーストラリアとは違う。ニュージーランドの輸出の半分は一次産品が占めている。このほか観光や、通信インフラなどに力を入れている。地理的にもアジアの国々が中央貿易相手国に入っている。アジア経済全体が成長していく過程では、食の志向も変わってくるので、酪農製品などのへのニーズが今後ますます強まってくることが予想され、ニュージーランドの経済やニューランドドルを下支えする要因になると考えられる。

■NZ債券市場

ニュージーランドドル建ての債券市場規模は、ニュージーランド国内と国際市場合計、円換算で約11兆円規模、この10年では5.4倍に拡大している。このうち約6割が国債、州政府債および一般企業などがニュージーランド国内で発行した債券で、残りは海外で発行されたものとなっている。国際機関およびオーストラリアや欧米系企業の発行も多い。ニュージーランドでビジネスを行う目的での資金調達に加え、グローバルなマーケット環境の中で、特に国際機関や政府機関が、調達先を多様化しより有利な資金調達を行うために起債することも多いと考えられる。

■ファンドの運用会社とモデルポートフォリオ

当ファンドの実質的な運用は、レッグ・メイソン・グループ傘下の債券運用会社であるウエスタン・アセットが行う。直接的には、同社のオーストラリア拠点であるウエスタン・アセット・マネジメント・カンパニー・ピーティワイ・リミテッド(本部メルボルン)のチームが担当する。一方、当ファンドのモデルポートフォリオ(13年12月末時点)を見ると、銘柄数が77、デュレーションが4.1年、最終利回りが5.0%、平均格付けAAで、構成比率は、社債などが5割弱、国債が4割弱と、国債に比べ利回りが相対的に高い社債のウエートが比較的高い。

■NZ債券ファンド

オセアニア以外でのニュージーランドドル債券単体のファンドは極めて珍しい。ニュージーランド国債の非居住者保有比率は6割を超える水準に達している。ルクセンブルク籍のファンドが購入している可能性が大きく、海外投資家は投資しているが、あくまで債券ファンドの一部として購入しているとみられ、ニュージーランドドル債券単体としてのファンドの存在は聞かない。ニュージーランドドル債券ファンドの立ち上げ本格化はこれからだと考えている。市場規模が10兆円以上に増えて流動性が拡大し、市場参加者が多様化してきた状況を踏まえ、当社はファンド組成に向けて検討できる段階になってきたと判断して準備を進め、今回、機が熟したと考え、ニュージーランドドル債券単体のファンドの投入に踏み切ったわけだ。今後は、徐々に同ファンドの設定が増えてくる可能性もあるとみている。

■レッグ・メイソン・グループ傘下の運用会社の特徴

アメリカの大手資産運用持ち株会社のレッグ・メイソン・インク(本部は米メリーランド州ボルティモア)は、グループ傘下に複数の特徴のある運用会社を抱えている。それぞれの運用会社の個性を生かすように親会社は運用に関してタッチしない。当ファンドの運用を担当するウエスタン・アセット(本部は米カリフォルニア州パサデナ)は13年12月末時点で約47.6兆円規模の債券運用を行っており、運用力は世界的に定評がある。同社は東京にも拠点を持っているが、グローバルに展開している運用会社とあって、ニュージーランド以外で発行される社債のクレジット分析もきちんと行える体制になっている。直接運用を行う同社のオーストラリアの拠点だけでなく、運用のプロフェッショナルを含め世界合計800人以上の体制の下で運用を行っていることが大きな特徴となっている。「ローカルプレゼンス・グローバルプラットフォーム」という言い方がされているが、グローバルなプラットフォームの中でそれぞれの拠点に運用のプロフェッショナルを置いてやっているのが大きな強みだ。特に同社は社債などのクレジットの運用を得意分野としている。同社の強みを生かせる市場の1つと考えているのが、国債だけでなく、ニュージーランド国外の発行体が比較的利用している市場である点だ。同社のポートフォリオの債券の中身を見ると、6割が国債以外のセクターとなっており、同社の持ち味を生かしやすい市場といえよう。

一方、レッグ・メイソン・グループの東京の拠点であるレッグ・メイソン・アセット・マネジメントはファンドの設定本数が比較的少ないことが特徴だ。できるだけ長期に持っていただけるように日本のお客さまのニーズに合致するものに少数に絞り込んでやっていく。当社にはオーストラリアの債券と株式ファンドがあり、債券ファンドは運用を開始して以来、今年の6月で11年に達する。またブラジルの債券と株式のファンドもある。昨年はアメリカ株のファンドを設定、今年は今回のニュージーランド債券のファンド設定と、毎年1つか2つのカテゴリーのファンドを投入して、それをできるだけ多くのお客さまに持っていただけるようにすることを目指している。

戻る