債券利息収益相当額で株式投資  大和投資信託 「ダイワ新興国ハイインカム・プラス -インカムチェンジ(積立型)-」 

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ファンド内の積立投資は日本初 商品企画部 田代望氏に聞く

大和投資信託 商品企画部 田代望氏

大和投資信託
商品企画部 田代望氏

大和投資信託は12月21日、「ダイワ新興国ハイインカム・プラス ―インカムチェンジ(積立型)―」を設定する(販売は大和証券)。利回りの高い新興国のハイインカム債券(米ドル建ての国債、社債)に投資して、利息収益相当額を毎月、新興国株式に積立投資するという商品設計は日本初のもの。このファンドを組成した狙いや商品性の特徴、魅力などについて、商品企画部の田代望氏に話を聞いた。

――そもそも「ハイインカム債券」とは何か。ハイイールド債券とはどこが違うのか。
「『ハイイールド債券』は、主にBBB格を下回る非投資適格級の債券を指す。これに対して、当ファンドで用いる『ハイインカム債券』は、投資適格級も含めた、主として米ドル建ての相対的に利回りの高い国債、社債全体を示す言葉だ」

――投資債券から得られる利息収益相当額を毎月、新興国株式に積立投資していくという商品設計は、日本でも初めてとか。
「証券口座から毎月一定額が引き落とされ、自動で指定のファンドを買い付けるという金融サービスはこれまでにもあったが、その仕組みを1つのファンド内でやってしまおうとするものは、初めてではないか」

――そのような方式を採用した理由を聞きたい。
「まず、一般的に価格の変動が大きい資産ほど、タイミング良く底値で買うのは難しい。新興国株式などはその例だが、積立投資なら投資タイミングを分散する効果が期待でき、投資時期について頭を悩ませる必要もない。また、積立投資の対象資産としては、投資途上での価格変動はあるものの、中長期的には価格が上がっていく資産が積立投資のメリットを享受しやすいと考えている。新興国株式は高いEPS(1株当たり利益)成長率や経済成長などを背景に、中長期的な価格上昇が見込まれており、積立投資に適した資産であると考えている」

――過去データのシミュレーションなどはあるのか。
「利息収益相当額を『株式に積立投資した場合』と『現金で受け取った場合』に分け、過去に遡って調べてみたところ、(1)2002年10月末―2007年10月末と、(2)2007年10月末―2012年10月末は、ともに前者の収益が上回ることが分かった。5年ごとに分けたのは、このファンドの運用期間が5年間であるためだ。なお(1)の期間内の新興国株式は5.43倍に上昇した。途中にリーマン・ショックを挟んだ(2)の期間内の新興国株式も、一時は6割安となる場面もあったが、結局14.9%安にとどまっている」

――投資対象となるハイインカム債券の選定プロセスなどは。
「実際の運用は、この分野で豊富な運用実績を持つUBSグローバル・アセット・マネジメントが担う。各国のファンダメンタルズに加え、発行体の信用状況や流動性などを分析した上で、相対的にリスクが低く、かつ利回りの高い債券を選定する」

――直近のモデルポートフォリオの内容はどうなっているのか。
「資産の内訳は、国債が35.7%、社債が64.3%となる。国別構成比では、国債については、ベネズエラ14.8%、ウクライナ8.3%などとなり、社債については、中国13.5%、メキシコ11.1%、ブラジル10.2%などとなる(設定当初は株式の組み入れはない)。格付け別構成比では、B格53.9%、BB格31.2%、BBB格12.7%、A格2.2%だ。ポートフォリオ全体の最終利回りは9.3%(為替ヘッジ後9.2%)となっている。銘柄については、その時々の情勢を見ながら随時入れ替えなどを行っていく。なお、これはあくまで10月末現在の参考値であり、実際の運用に適用されるとは限らない」

――積立対象となる新興国株式への投資はどうなるのか。
「原則として『MSCIエマージング・マーケット・インデックス(米ドル建て)』を対象指数としたETF(米国市場上場)を通じて行う。新興国全体の成長を取りに行くには、指数連動型での運用が適していると考えている。また、利息収益相当額に限られるため、最初は金額も少なく、投資のしやすさなどを考慮して、当該ETFを選んだ」

――米ドル建て新興国債券、米ドル建てETFともに米ドル建てで、円ヘッジを行っているため、為替リスクは気にする必要がないのか。
「債券についてはそうだが、ETFの中には、いろいろな国の株式が含まれるため、それらの国の通貨の対米ドルでの為替変動には、一定のリスクも残る」

円ヘッジで元本の安全性確保

――円ヘッジもそうだが、全般に安全性を重視した商品設計との印象を受ける。
「当ファンドでは、円ヘッジにより『為替変動リスク』を低減させ、元本部分(円ベース)の安定化を図る。また、新興国および新興国企業の信用力はおおむね改善傾向にあり、『発行体の信用リスク』もさほど懸念されにくい。これらを踏まえた上で、毎月の利息収益相当分で少しずつ、新興国株式へ投資し、その成長を享受しにいくというものだ」

――依然、「毎月分配型」ファンド全盛の中、このファンドは年1回分配だが。
「繰り返しになるが、当ファンドの趣旨は、ハイインカム債券の利息収益相当額を活用し、新興国株式への積立投資を行うことで、より高い収益獲得を目指すものである。投資家には、基準価額の上昇によって報いていきたい」

――従来の多くのファンドでは、新興国債券の利息収益などを毎月分配の原資に充てる例が多かったが、基準価額よりも分配金を重視する風潮には一部で批判の声も上がっていた。業界に一石を投じることになるのでは。
「このファンドでは、これまでと違った趣向でやってみたいと思った。今回、初のスキームとなったが、こうした仕組みがこの先、『新たなメーンストリーム』になるかもしれないと感じている」

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