独自のリスク指標「RAI」活用で下落リスク測定 BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン「BNYメロン・日本株式ファンド 市場リスク管理型」(愛称:攻守自在) 

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市況環境好転時には「攻め」、悪化時には「守る」

松岡博敏氏

松岡博敏氏

リテール営業本部長兼リテール営業第2部長 松岡博敏氏に聞く

BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパンは昨年12月24日に「BNYメロン・日本株式ファンド 市場リスク管理型」(愛称:攻守自在)を設定・運用を開始している。愛称に「攻守自在」とあるように、晴れの日(相場上昇時)には株式運用で収益獲得を目指して攻める一方で、雨の日(相場下落時)には傘を差して収益を守るというイメージで理解されるファンドだ。同ファンドの特徴や仕組み、魅力などについて、同社リテール営業本部長兼リテール営業第2部長の松岡博敏氏に聞いた。

■基本的な特徴

特徴は主に2つ。1つ目は資産のほとんどを日本株に投資して、アクティブな運用を行う。銘柄の選択では企業の成長性と株価の割安度の両者を考慮して銘柄を選定していく、いわゆる「GARP(ガープ/Growth At Reasonable Price)運用」が採用されている。どっちかというとグロース寄りの運用だが、銘柄の割高度・割安度も考慮していく。2つ目は当ファンド独特の運用手法だ。株価下落リスクが高まっていると判断される局面では株価先物指数を用いて、実質的な株式の組み入れ比率を減らしていく。1つ目の日本株の運用部分の銘柄選定、ポートフォリオの運用は、当社の日本株式運用チームが行っていく。2つ目の先物を用いた、株式の実質組み入れのコントロールは、クオンツモデルの開発・運用助言に定評のある日興グローバルラップからの投資助言に基づいて運用を行っていく。

■日本株マーケットの現状

日本株の魅力については、アベノミクスや「3本の矢」を背景として日本株式市場は今後ますます上昇が期待されると考えられるが、株価が現在どんなポジションにいるのかということを見た場合、1株利益は結構高い水準まで戻ってきている。それに対して東証・TOPIXは株価が戻ってきていない。利益の改善に比べて株価はまだ上昇の余地があるのではないかと考えられる。また、小泉政権時に外国人の買越額が累計28兆円に上っている。それに比べて現在はまだ13兆円にとどまっており、外国人の買い余力はまだあるとみている。当社のファンドマネージャーが欧米や、アジアの年金のお客さまを回っても、7-8割のお客さまは、日本株はアンダーウエートの状態にあると口をそろえている。世界の機関投資家は日本株を2013年のアンダーウエートからニュートラルに戻してくるだけでも、相当程度の外国人が期待できるのではないか。日本の経済が良いサイクルに入ってきており、ファンダメンタルズのデフレ脱却に向けた好循環に入りつつある。また、市場の売買高に影響のある外国人の余力があるということを考えれば、日本の株式市場は上昇の余地のある魅力的なマーケットとして評価できよう。

■相場環境悪化への対応

とはいえ、ファンダメンタルズは良くても、過去にリーマン・ショックや欧州の債務問題、米国債の格下げなどグローバルな金融ショックで株式市場が大きく下落する局面は過去何度も見られた。マーケットが悪くなりそうな局面では株式の組み入れ比率を減らして、防御していくというような運用をしていけば、安定的に収益を積み上げていけるのではないかというのが当ファンド設定の狙いだ。相場環境が良い時にはなるべく上昇に追随していく、一方で相場環境が悪い、または悪くなりそうな局面では先物を使って株式の実質的な組み入れ比率を引き下げて、相場下落の影響を軽減していくことを目指す。当ファンドの愛称に「攻守自在」と名付けられているのは、投資環境が良い時には攻めて、投資環境が悪い時には守るという攻守自在な運用を目指していく。

■独自のリスク指標「RAI」による判断

それでは、今後の投資環境の良しあしの判断を誰がどのように行うのかという点を紹介したい。この点は日興グローバルラップから当社に助言していただいている。具体的には日興グローバルラップが算出する独自のリスク指標-リスクアペタイトインデックス(RAI)を用いて株式市場の下落リスクを測定している。RAIは、株式市場関連データやクレジット関連のデータ、為替関連のデータといった、世界のさまざまな金融データから作られ、世界の投資家のリスク選好度合いを測定するもの。2010年に開発・算出しており、運用の実績があり、当社に協力していただいている。

■運用の仕組み

運用の仕組みについては、相場環境が良いと判断される局面では、株式の実質組み入れ比率を100%にして、株式相場の上昇を取りに行く。一方で、市場環境が悪化してきたと判断される局面では、先物で売りヘッジをしていく。実質的な株式の組み入れ比率は70%、40%、0%へと低減させていく。4段階のギアで株式の組み入れ比率を調整していくわけだ。

■過去の相場上昇・下落局面でのシミュレーション

実際の株式相場の動きと、RAIが示唆する実質株式組み入れ比率のシミュレーションを見ると、株式相場の下落局面では株式組み入れ比率が低下して、相場の上昇局面では株式組み入れ比率が上昇する傾向が見られる。過去の上昇局面でRAIが示唆する実質株式組み入れ比率を見ると、「ITバブル」(期間1998年10月9日-2000年2月7日)が74.8%、「世界的な景気拡大」(期間2003年3月11日-2007年2月26日)が90.5%、「ギリシャユーロ離脱懸念後退」(期間2012年6月4日-2013年5月22日)が84.6%と、おおむね上昇局面では、実質株式組み入れ比率が高くなっている。一方で、過去の下落局面でRAIが示唆する実質株式組み入れ比率を見ると、「ITバブル崩壊-エンロン・ワールドコム破たん」(2000年2月7日-2003年3月11日)が49.8%、「サブプライム問題表面化-リーマン・ショック」(2007年7月9日-2009年3月12日)が32.6%にそれぞれとどまっていた。RAIのシグナルに従って運用していけば、上昇局面では株式組み入れ比率を増やして、マーケットの環境が悪い時には株式投資比率を引き下げて、ファンドへの影響を低減していくというようなことができるのではないかと考えられる。

■日本株式運用チームと特徴

当ファンドのベースとなる株式運用部分については、当社の鹿島美由紀が率いる日本株式運用チームが担当する。過去の運用パフォーマンスはしっかりしている。運用を開始した2009年から2013年までの設定来騰落率は60.7%の上昇とトピックスを大きくアウトパフォームしている。当社の株式運用の特徴は、インデックスのトピックスに対するベータのリスクを過剰に取ることなく、アルファを生み出している。これは銘柄選択からアルファが生まれると言い換えてもいいが、ポートフォリオのベータ値を動かしてマーケットのタイミングでアルファを稼いでいくスタイルではないため、ベータは1近辺で一定だ。ベータリスクを取らないで銘柄選択で、安定的にアルファを取っていく。先物でヘッジをするような当ファンドには適している。

■ファンドにマッチする投資家層は

当ファンドをどのようなお客さまに向けて商品化したか。当ファンドの想定されるお客さまの層は、1つ目は、日本株に投資したいが、マーケットには上下動があり、その購入するタイミングが難しいという方に勧めたい。ファンドをいつ買ったらよいか、いつ売ったらよいかというお客さまの声を耳にする。あるいは日本株に一歩踏み出せない、日本株の投資初心者には株式投資に一歩を踏み出していただくための入門商品になるのではないかと考えている。マーケットものでは、お客さまに代わって運用会社が売り時買い時をある程度判断させていただく商品があってもいいのではないかというのが発想の1つ目だ。2つ目は、これまで外国債券ファンドを中心に投資してきたお客さまだ。世界経済は足元で緩やかながらも回復基調を続けている。昨年4、5月以降は先進国の長期金利の動きも激しくなっている。米量的緩和の縮小が始まったことで今後金利の上昇リスクは高まってくる。こうした状況の中で、安全だと思っていた債券ファンドのみに投資するリスクが高まってきているのではないか。従って分散投資の一環として当ファンドを通じて株式投資に一歩踏み出していただけたらと考えている。むしろ保守的なお客さまにこそ、株式を収益源とする商品を分散投資の1つとして持っていただけたらと思う。3つ目は、NISA(少額投資非課税制度)を活用して日本株式に投資したいとのお客さま向けに当ファンドは最適と考える。NISAの投資期間である5年間を考えると、この間、経済や相場のサイクルが2サイクルか3サイクル出てくると考えられる。相場の波の中で、相場の上昇局面ではキャピタルゲインの獲得を目指す、相場の下落局面ではリスクの低減を、ファンドの中身で、お客さまが売り買いすることなく、NISAはそもそもファンドの入れ替えができないシステムであるから、ファンドの中である程度株式投資の比率を増やす・減らすという仕組みが内包されている当ファンドは、NISAを活用して投資する投資対象にはマッチした商品といえる。

■販売体制

当ファンドの販売会社も次第に増え、設定時の2社から直近では5社に達している。証券会社でも中長期で持っていただけるような商品へのニーズ・取組を積極化していると認識している。また、銀行のお客さまも日本株に投資するが、相場環境によってリスクを低減するような商品は受け入れやすいと考えており、今後も証券会社、銀行に幅広く提案していきたい。当社としては、当ファンドをフラッグファンド(旗艦ファンド)の1つとして取り組んでいきたい。

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