複利効果を活かしながらグローバルな長期分散投資 国際投信投資顧問「トレンド・アロケーション・オープン」

個 別


販売会社、1年で50社余りも急増

吉田研一氏

吉田研一氏

プロダクト・マーケティング部副部長
商品戦略グループリーダー、NISA推進室長 吉田研一氏に聞く

国際投信投資顧問が設定・運用しているバランス型ファンドである「トレンド・アロケーション・オープン」(略称トレアロ)がNISA(少額投資非課税制度)対応商品として注目されている。グローバルな資産に分散投資する同ファンドは2013年12月末、基準価額が1万1,126円となり過去最高値を更新した。2013年5月22日の年初来高値1万1,086円からいったん下落したが、それを乗り越えての最高値更新だ。2013年の1年間での騰落率もプラス10.0%と好調な運用パフォーマンスを残している。「負けにくい投資」の実現を目指している同ファンドの設定の背景や特徴、強み、魅力などについて同社プロダクト・マーケティング部副部長、商品戦略グループリーダー、NISA推進室長の吉田研一氏に聞いた。

■設定の背景

当ファンドは2012年3月末に設定・運用を開始した。アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ヨーロッパ・ゲーエムベーハーが運用を行っている「ダイナミック・マルチアセット・プラス・ファンド(JPY)」に投資している。同社が欧州年金基金向けに運用を行っているバランスファンドが、リーマン・ショック時に類似のバランスファンドが軒並み下落している中で、相対的に良好な運用実績を残して高い評価を受けた。当社はこの優れたファンドを知って、日本での特に若い世代への投資信託の普及には同ファンドのようなコンセプトのファンドが必要と考えて、2010年ごろから同社と話し合いを続け、当ファンドを立ち上げた。当時、当社では、資産形成層に向けて元本を増やす運用を目指すファンドの必要性を感じており、それには複利効果を活かしながら長期投資を実践するファンドが向いていると判断して商品化にこぎ着けた。

当ファンドの販売会社は、昨年3月末で6社にとどまっていたが、NISAへの対応商品として評価していただけたこともあって、この1年で一気に50社余り増えて、直近で57社に上っている。資産形成層向けに、複利効果で元本を増やしていくタイプの商品ニーズを喚起したいとコンセプトが、日本版ISA(NISA)での中核商品になると販売会社様から受け入れられた結果であり、非常にうれしく思っている。NISAの狙いの1つである若年層の資産形成の促進に合致した商品性に加え、NISA向け商品としては早めの2012年3月に設定し、堅調な運用実績を積み上げてくることができた。これが販売会社の方々に支持されることとなった背景の1つであるとみている。

■3つの機能

当ファンドはグローバルな金融資産に分散投資するのが特徴だ。その中でアセットアロケーション(資産配分)比率は固定せず、景気のサイクルや投資環境に合わせて、機動的に比率を変更していくのがベースにある。さらに当社では自動ブレーキと呼んでいるが、過去1年の高値から15%以上下落しないことを目標に運用していく。投資家の方々が購入した後にズルズルと下がった場合、持っていればいいのか売った方がいいのか分からない状況になると思うが、そうした事態に陥らないように、この機能を組み込んだ。以上のように分散投資、機動力、自動ブレーキの3つがファンドの基本的な機能となっている。

■ドライブに例えると

当社はこの3つの機能について、お客さまに直感的にとらえていただくため、車の「ドライブ」に例えて説明している。ドライブで言うと、カーナビが最適な道を選ぶように、当ファンドは定量分析によって基本資産配分を計算する。これがトレンド・アロケーション戦略で、各資産の「価格トレンド」に着目した資産配分モデルを活用している。ただし、カーナビで100%大丈夫というわけではないので、ベテランのドライバーが実際の道路状況を見てルート変更するように、当ファンドでは基本資産配分を微調整する。これがタクティカル・アセット・アロケーション戦略で、相場の転換点などを見逃さないよう定量・定性的な分析に基づいて資産配分を一部調整する。最後に、万が一のとき、自動ブレーキが大事故の回避に役立つように、当ファンドの基準価額の大幅な下落を抑えるのが、自動ブレーキ機能であり、これはダウンサイド・リスク・マネジメント戦略と呼ばれる。過去1年の高値から15%以上下落しないように、一時的にリスク資産への投資比率を控える機能である。

■為替への対応

為替への対応では、為替リスクをとらないように原則為替ヘッジを行う。現在の円安の環境においては、為替ヘッジをしないほうがいいのではないかとのご意見もあるが、当ファンドのコンセプトである「負けにくい投資」を実現するためには、為替リスクをとる必要はないだろうとの結論に至った。

資産クラス別構成比■資産配分の特徴

資産配分については、各資産のリスクに基づいて低リスク資産クラスと高リスク資産クラスに分類している。低リスク資産クラスは先進国国債、ヘッジファンド、短期債券・キャッシュなど。高リスク資産クラスは先進国と新興国の株式、新興国国債、先進国REIT(不動産投信)、金や原油などコモディティなどが入る。基本的にはほぼすべてのリスク資産を網羅しているといっていい。株式やREITへの投資はETF(指数連動型上場投資信託)を利用している。現在、債券投資は主に現物債だが、新興国債券は一部ETFに投資している。その中で上昇トレンドの強い資産クラスにできるだけ多めに配分をしていくというスタンスを取っている。

昨年12月末時点でのポートフォリオは、高リスク資産が65%、低リスク資産が35%の構成比率となっている。高リスク資産の中では最近はやや比率を落としたものの、米国株への投資比率が高い状態が昨年来続いている。一般的には短期的に大きく資産比率を変更していくということではなく、先程も述べたように価格トレンドの強い資産への投資比率を高位にするため、組み入れ比率の変更は意外にゆっくりと行われる。また、価格トレンドが強いことで投資比率が高水準になっても、バランスのとれた分散投資のポートフォリオからは外れることはない。当ファンドは「負けにくい投資」を実現するためのファンドと位置付けていて、過度なリスクを追求するものではない

■ファンドの性格

当ファンドの性格については、「9割8分のお客さまにお薦めできるが、残り2分の方にはお薦めできない」との例え話で説明している。お薦めできない2分の方とは大きく儲けたい方、こうした方には向かないファンドだと考えている。これまで投資経験のない方に最初のステップとして購入を検討していただきたい。あるいは、投信を既に1本とか2本持っているものの、為替のリスクだけとか株式のリスクだけを負っている方は意外に多いので、そうした方が分散投資を実現していただくための手段として当ファンドを活用していただきたい。

■下落相場への過去の対応

2012年3月の運用開始以来、そう厳しい運用環境はなかったが、それでもバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言をきっかけに米国の量的金融緩和策の縮小が始まるのではとの懸念から昨年5月に起きたバーナンキ・ショックの際、世界中の金融資産が下落した。当時、当ファンドは資金流入が続いていたこともあり、運用担当者が流入する資金でリスク資産への投資を控えていたこともあり、相対的に下落率を抑えることができた。一方で、相場トレンド自体はリスク・オンの相場と認識していたので、株式の比率を大きく減少させることもしなかった。その結果、6月下旬以降の上昇相場で高いリターンを実現し、ほかのバランスファンドとは異なり、当ファンドは昨年末に、下落する前の基準価額を抜いて高値を更新することができた。さらに今年に入っても高値を越えている。なお、昨年5月の下落時には、「自動ブレーキ」機能を作動させるまでには至らなかった。

運用を担当しているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ヨーロッパ・ゲーエムベーハーは、欧州年金基金向けに提供しているファンドでも、リーマン・ショック時に基本的に当ファンドが採用しているのと同様な方法で危機に対応し、運用実績を残している。

このようにマーケットの短期的な流れに振り回されず、長期的な上昇トレンドにある資産クラスへの投資比率を高める運用を行うことが重要である。当ファンドの運用戦略のように、分散したポートフォリオで長期に運用を行えば、リスクに見合ったリターンが取れる、それを実感していただきたいというのが、当ファンドの狙いである。

戻る