NISA向け投信入門編目指す 日興アセットマネジメント「2023年満期日本公共債ファンド(愛称:ふるさと紀行2023)」 

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投資への橋渡し的な役割も

河原聡氏

河原聡氏

資産運用サポート部 チーフアドバイザー 河原聡氏に聞く

日興アセットマネジメントは1月24日に「2023年満期日本公共債ファンド(愛称:ふるさと紀行2023)」を設定する。1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)でリスクが低く、安定的な収益の獲得を目指すファンドに投資したい投資家を中心に提供する。シンプルな運用で分かりやすく、しかもより安定運用に向けた工夫がなされている。同社資産運用サポート部チーフアドバイザーの河原聡氏に同ファンド設定の背景や仕組み、魅力などについて聞いた。

■設定の経緯と狙い

1月からNISAがスタートしたが、このファンドはNISAを通じてご利用いただくことをにらんで設定する商品だ。

実は「少額投資非課税制度」は、そのスタートが当初予定の2012年から2年延期されて今年からになった経緯がある。当社は延期が決定される前の2010年7月に、制度スタートを見据えて、低リスクで安定的な収益の確保を目指す「日本公共債ファンド2020(愛称:ふるさと紀行2020)」を投入した。同じ「ふるさと紀行」という愛称を持っていることからもお分かりいただけるように、今回の「2023年満期日本公共債ファンド(愛称:ふるさと紀行2023)」と基本的に同じ商品コンセプトを持つファンドだ。結果的に制度のスタートは今年1月まで延びたが、3年半前に運用を開始した「日本公共債ファンド2020」は、地方債を主な投資対象とする商品性や堅実な運用パフォーマンスなどに対する投資家の皆さまのご支持が広がり、高い評価をいただいている。

新ファンド「2023年満期日本公共債ファンド(愛称:ふるさと紀行2023)」は、NISAであまり高いリスクをとることなく、安定的な収益の得たいとお考えの投資家の皆さまのニーズにお応えすることを目指して開発したファンド。例えば、これまで投信を購入したことがあまりない、いわゆる投資未経験者や投資初心者の方々がNISA口座を開設された場合、預貯金のおカネをいきなり一定のリスクのある投信に振り向けるかというと、おそらくそういう方々はあまり多くなく、まずは低リスク商品から検討される方が多いと考えられる。ちなみに、NISAはイギリスのISA制度を参考としており、英国ISAには日本のNISAに近い「株式ISA」と、預金やMMF(マネー・マネージメント・ファンド)を対象とする「預金ISA」の2つがあるが、イギリスでまず預金から資金がシフトしたのは「預金ISA」の方で、その後に、「株式ISA」にも多くの資金が流入するようになった。日本でも、英国の「預金ISA」の対象商品に該当する商品のような、預貯金と株式や投資信託の間に入る商品が必要なのではないかと考えたのが当ファンドの発想のスタートだ。国債や事業債などの公社債やMMFなどの公社債投信をNISAで買えればよいのだが、これらはNISAで買える対象とはなっていない。そのため、これらに代わる、投資初心者が入門編のファンドとして購入できる商品を目指した。

■満期一致戦略の活用

では、どのような商品性を持つファンドが適しているのか。一般に、投資経験の少ない投資家は安全性を重視し、投資元本が毀損(きそん)することは回避したいという意識が強い傾向にある。例えば、銀行での投信窓販が始まって丸15年が経過したが、預金量全体との比較で投資信託の残高を見ると依然低い水準にとどまっているほか、銀行の投信口座数の増加ペースも近年伸び悩んでおり、預金から投信への資金シフトは必ずしも大きな流れにはなっていない。こうした状況で、もし預貯金から投資への橋渡し的な役割を果たせるファンドがあるとすれば、それは投資元本を下回る可能性を極力抑えたファンドだろうと考えた。

fig1そこで採用したのが、債券の「満期一致戦略」という運用手法だ。「満期一致戦略」とは、ファンドの満期償還日、つまり信託期間終了日と投資する債券の満期時期を一致させる運用手法のこと。一般に、債券は満期までの期間中に定期的に利払いが行われ、発行体が破たんしない限り満期には元本が戻ってくる。また、満期までの債券価格は、満期が近づくにつれ、徐々に元本に近づいていくという特性がある。「2023年満期日本公共債ファンド」では、こうした債券の特性を生かして、ファンドの満期償還と投資する債券の満期時期を一致させて、原則として投資債券を満期まで保有することで、ファンドの満期償還時に元本を確保することを目指す。

具体的に示すと、ファンド名にある「2023年満期」からもお分かりいただけるように、当ファンドの満期償還日は約10年後の2023年12月25日に設定している。これに合わせて、2023年に満期を迎える債券に投資し、原則として満期まで保有する。例えば今年2014年に当ファンドをご購入いただいた投資家の資金がファンドに入ってくると、2023年に償還を迎える残存期間10年の債券に投資する。さらに、来年2015年に資金がファンドに入ってくれば、残存期間9年の債券に投資する。こうした投資を繰り返していく。

この「満期一致戦略」を用いることで、当ファンドでは、あたかも2023年に満期を迎える“1つの債券”に投資しているかのような投資効果が期待できる。

もちろん、当ファンドは投資信託であり、投資元本を保証するものではないが、これまでにないコンセプトが打ち出したファンドといえる。

なお、当ファンドの信託期間を2023年までの約10年間に設定しているのはNISAの「ロールオーバー」を考慮してのこと。NISAの非課税期間は最長5年間で、非課税期間5年が満了したときに、翌年に非課税枠があれば、100万円を上限に投資資産を新たな非課税口座に移す「ロールオーバー」が可能だ。ファンドの満期償還の2023年は、2014年から投資を開始し、5年後に「ロールオーバー」で次の非課税期間5年を利用した場合の10年投資の満了をターゲットにして設定した。

■地方債投資のメリット

当ファンドは国内の地方債を中心に投資する。投資対象としての地方債は魅力が大きく、その第1として国債より利回りが相対的に高めにあること、第2に地方公共団体が発行するため相対的に信用力が高いことが挙げられる。また、第3として、地方に貢献できるというメリットもある。「ふるさと紀行」というネーミングにもあるように、当ファンドは投資家の方々の地元の自治体が発行する債券に投資する可能性もある。地方経済の発展に間接的に貢献できるファンドと言うことができる。

■3大リスクを抑える

国内や海外の債券に投資する際の主なリスクとして、(1)約束通りに利子や元本が支払われない「信用リスク」、(2)市場金利などの変化に伴ない債券価格が変動する「価格変動リスク」、(3)為替相場の影響を受けて円換算後の価格が変動する「為替変動リスク」の3つがある。当ファンドは、地方債を中心に投資するため信用リスクが相対的に低く、満期一致戦略によって満期償還時の価格変動リスクも非常に低い。また、国内債券に投資するので為替リスクもないため、3大リスクを極力抑制する仕組みとなっている。

直近のモデルポートフォリオでの利回りは0.78%程度。信託報酬は税抜で0.13%で、相対的にかなり低い水準と言える。決算は年1回で、2010年7月から運用している毎月分配型の「日本公共債ファンド2020(愛称:ふるさと紀行2020)」と一番異なる点となっている。

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