「ひふみ投信マザーファンド」運用資産200億円突破 レオス・キャピタルワークス「ひふみ投信」「ひふみプラス」

個 別


販売会社のすそ野広がる

藤野英人氏

藤野英人氏

藤野英人CIOに聞く

投資にフォーカスした各雑誌の「NISA(少額投資非課税制度)口座で買える積み立て向きの株式型投資信託」特集で常に取り上げられるのが、独立系運用会社レオス・キャピタルワークスが設定・運用している追加型株式投資信託「ひふみ投信」「ひふみプラス」。同社の藤野英人CIO(最高投資責任者)にインタビューした。両ファンドは、同じ「ひふみ投信マザーファンド」で運用している。マザーファンドは相場の上昇局面、下落局面に応じて株式の配分比率と現金比率を変更することで、“資産を守りながら増やす”という運用スタイルで良好な成績を続けている。

■「ひふみ」ブランドの投資信託が2つある理由

fig「当社は『ひふみ』という名を冠する2つの投資信託を用意している。当社がお客さまに直接販売する直販用の『ひふみ投信』(2008年10月1日販売開始)と、ネット証券や地場証券、地銀などがお客さまに販売する外販用の『ひふみプラス』(12年5月28日販売開始)だ。『ひふみプラス』はより幅広いお客さまに持っていただくために販社を広げたいと考えてスタートさせた」

■地域の金融機関が次々取り扱い開始

「当社は『ひふみ』をお客さまにとって物理的にも精神的にもなるべく“近い”“身近”な投資信託にしたいと考え、名前をやわらかいものにし、情報発信もツイッターやブログ、セミナーを通して積極的に行っている」

「直販用の『ひふみ投信』がお客さまに“近い”のはもちろんだが、“おらが街”のなじみある銀行や証券会社の方が“近い”という人もいらっしゃる。より身近に感じていただけるよう、地域に根差し、顧客の資産形成に真面目に取り組む金融機関とともに外販用の『ひふみプラス』も伸ばしていきたい。『ひふみプラス』の販売会社は、ネット証券、地場証券、地銀を中心に増えており、直近で11社。地銀では兵庫県を地盤とする但馬銀行に続き、1月20日から秋田銀行による販売もスタートする」

■「ひふみ投信」63カ月連続で資金流入、「ひふみプラス」も1カ月を除いて資金流入継続

「忘れもしない、『ひふみ』は08年10月、69人のお客さま、運用残高1億5,000万円でスタートした。それが昨年の初めに42億円となり、昨年末ではお客さまが約2万人(内訳はひふみ投信が約8,000人、ひふみプラスは約1万2,000人)、運用残高は190億円に成長している。さらに今年1月8日に運用資産が200億円を突破し、まさに『小さく生んで大きく育てる』を実現しつつある。昨年12月は証券軽減税率の廃止に対応した売りも出たが、それ以上に買いが入った。今年1月からNISAが始まったこともあり、これからさらに資金流入に弾みがつくとみている」

「おかげさまで、昨年の秋口からさまざまな投資情報媒体が良好な運用成績や手数料の観点から、NISA特集で『ひふみプラス』を推してくれた。また、うれしいことにブログやツイッターで当ファンドを広めてくれるお客さまも現れ、田村耕太郎元参議院議員も雑誌『Tarzan』の連載コラムで取り上げてくださるなど口コミの輪がジワジワと広がってきている」

■パフォーマンス良好の理由

「運用戦略、銘柄選択はもちろんだが、(1)ファンドマネージャーの腕・経験、(2)運用会社の経営哲学、(3)お客さまの質――の3点が合わさって初めて良い成績が出ると痛感している。お客さま、ファンドマネージャー、運用会社の三位一体で“共同制作”しているのが良いファンド。私は普通の人より腕がいいが、パーフェクトではないし、多少は失敗もする。多少失敗しても、お客さまが継続的に買ってくださることで、それを取り返す力をくれる」

■真のアクティブ運用を実践

「『ひふみ』を直販から始めてよかった。直販だと、お客さまの名前やお住まいが分かり、お客さまと直接つながって、思いもリアルに感じることができる。大震災の時も、被害が報じられた気仙沼大島にお住まいのお客さまが気になり、幾度となく電話を掛けたがつながらず大変心配したものだが、その後、お客さまが電話を掛けてきてくださり、無事であることが分かった。その時は安堵(あんど)して皆で大泣きした」

「ファンドマネージャーなど投資部隊の隣に、お客さまと直接コンタクトを取るマーケティング部隊が机を並べていることも特徴。きちんと仕事をしていることが互いに分かるため、相互不信がない。お客さまとの絆、社員同士の『絆』ができており、これが文化として運用力につながっている」

「さきほど少し申し上げたが、お客さま懇親会もよく開いており、お客さまとの距離も近い。懇親会で僕に悪気なく『こういう風に買ったらいいよ』とアドバイスをくれるお客さまもいらっしゃる。応援してくれている人がとても多いと感じている。これが、僕らが考える『アクティブ・ファンド』。教科書には『インデックス・ファンドを上回るパフォーマンスの獲得に向けてリスクをとる』とあるが、われわれは『人間が人間を信頼する』のがアクティブ・ファンドと考えている。投資先の選定にあたっても、経営者や従業員と人も見て投資しているが、期待に対して投資するのがアクティブ・ファンド」

「『ひふみプラス』もこの価値観の延長線上で作ったもの。『ひふみプラス』は確かに間接販売だが、例えば、長野証券、但馬銀行などの販売会社とともにセミナーを開催するなど、お客さまとコンタクトを取るよう努めている。北海道地盤の上光証券では、あと少しで全支店でのセミナーを制覇するところまできた。間接販売にしても、お客さまの近くに居たいのが僕ら。自分の時間の10%、1カ月のうち2-3日は、これからも各地のお客さまのために使いたい」

「人から時々、『運用だけでも大変なのに。そこまで営業するなんて大変では』と言われるが、当社は運用会社のベンチャー。“安心の大手”と異なり、何もしないで運用資金が集まるわけではなく、顧客営業にもコミットしないといけないと考えている。運用と営業の両方にかかわるという文化が、当社のほかのファンドマネージャーにも広がってきている。運用成績もトップクラスでないと存在価値はない。創業間もないころ、大手投信会社に在籍するファンドマネージャー志望の若手が面接にやってきた。その人は悪びれることなく、『ファンドマネージャーになりたいが、勤め先の投信会社は大手で人材も豊富なためなかなかチャンスがない。レオスならファンドマネージャーになれると思い、受けにきました』と。僕は彼に『当社はベンチャーであり、運用成績で“安心の大手”を破らないと存在価値がない。半端なことではファンドマネージャーは到底務まらない』と申し上げた」

■レオスの投資信託に対する考え方

「僕らは押し売りをしない。当社の営業担当者は2、3人と少なくお客さまからのお問い合わせ対応で精一杯で、アウトバウンドの営業をしていない。セミナー開催や情報発信など地道な活動を通じて、『ひふみ』を知り、理解して納得してくれるお客さまに投資をしてもらい、そのお客さまを大切にする――というのが当社のスタンス」

「『ひふみ』の運用開始当初は、セミナーでの手応え十分だったにもかかわらず、1週間、2週間経っても申し込みの連絡がなく、頭を抱えたものだが、考えてみれば、セミナーでいくら感動しても、その後の日常生活の中で感動は薄れていく。投資は大切なことだが、多くの人にとって投資はあくまでも生活の一部であり、忘れるのもごく自然なこと。いざ申し込みをしようと思っても、本人確認に必要な住民票など必要書類をそろえるのは結構面倒なもの。こうしたハードルを全部乗り越え、ご自身の意思で買ってくれたのが僕らのお客さま。結果的に当ファンドは解約率が低く、長期間保有してくださっている人が多い。おそらく、“保険に近い感覚”で積み立てていらっしゃるのだと考えている」

「そういえば、『ひふみ投信』を買った友人でもある人から、先日、『ありがとう、ひふみ投信』というタイトルのメールをもらった。『長らくほったらかしにしていたが、2年半ぶりに基準価格を見ると、ひと財産になっていた』という内容だった。投資信託は字義通り、『信じて託す』もので、本来そういう商品でないといけないと思っている。その友人は投資信託の本義を貫いてくれたのだろう」

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