エネルギー関連事業に投資する「MLP」 ドイチェ・アセット・マネジメント「米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジあり)/Bコース(円ヘッジなし)」 

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シェール革命をきっかけに一躍注目

菊地彩香氏

菊地彩香氏

運用部アシスタントポートフォリオマネージャー 菊地彩香氏に聞く

ドイチェ・アセット・マネジメントは12月19日、「米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジあり)/Bコース(円ヘッジなし)」を新規設定した。MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)は、日本ではなじみが薄いが、米国のシェール革命をきっかけに一躍注目を浴びている。日本にも、ヨーロッパにもなく、アメリカのみに存在する。今回の新ファンドはこのMLPを主要な投資対象にしたもの。MLPとは何か。MLPマーケットの現状や将来性とは、その上でMLPファンドの特徴や、魅力などについて、同社運用部アシスタント ポートフォリオ マネージャーの菊地彩香氏に聞いた。

■MLPとは

MLPとは、アメリカで行われている共同投資事業形態の1つ。エネルギーインフラへの投資促進を目的としてアメリカで1980年代に誕生し、発展してきた。総所得の9割以上をエネルギー関連事業等から得ていることがMLPとなる要件で、原則としてMLPに対して法人税は課せらない。通常、一般の企業では法人税が課せられて、投資家レベルでも税金が課せられている二重課税となっているが、MLPは法人税がないので二重課税が回避される。MLPは収益の多くを投資家に分配するという特性があり、これによって利回りはほかの資産クラスより高い傾向にある。ニューヨーク証券取引所やナスダックなどで取引されており、エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ、プレインズ・オール・アメリカン・パイプラインなどが代表的な企業だ。

■MLPマーケットの現状

地中奥深くにあるシェール層からの天然ガス・石油の採掘はこれまで困難だった。しかし、採掘技術の革新によってアメリカでシェールガス・オイルの生産量が増加するとともに、それを輸送するパイプラインや貯蔵施設などインフラ資産の需要が高まっていることで、エネルギー関連事業に投資するMLPが注目を浴びるようになった。仕組み自体は1980年代から考案されていたが、実際にMLPの数や時価総額が大きく増え始めたのは2000年代に入ってからだ。MLPの銘柄数は、1994年には6銘柄ほどだったが、掘削技術の進歩やシェール層からのガスの大量生産が可能となった時期からこのアセットクラスが拡大をし始め、直近ではエネルギー関連が約100銘柄を数える。時価総額も次第に増えて、2013年8月末現在、全体で約30兆円に上っている。事業別構成比を見るとエネルギー関連・天然資源が79.4%とほとんどを占めている。ほかに金融や不動産関連に投資しているMLPが20%弱ある。その背景として、MLPの制度導入時は、投資対象がエネルギー関連だけではなかったという事情がある。その後制度が変更されたが、一部金融や不動産関連が発足当時の制度のまま残されている。現行の制度では基本的にMLPはエネルギー関連だけといってよい。なお、法人税の免除や、相対的な利回りの高さなどで比較されることが多い米国REIT(不動産投資信託)の時価総額は13年8月末現在、約49兆円となっている。利回りは米国REITの3.9%に対して、MLPは5.9%と上回っている。MLPは、00年初めのころは個人投資家の保有が多かったが、その後は機関投資家の保有比率が年々高まっており、00年後半には保有比率が5割近くまで拡大している。

■ファンドの主要な投資対象

エネルギー関連事業は、主に川上、川中、川下の3つに分類される。川上は探査・開発・生産、川中が精製・備蓄・輸送、川下が卸売・小売。エネルギー関連MLPのビジネス別構成比(時価総額ベース、13年8月末時点)を見ると、川中が82.7%、川上が5.4%、川下が3.0%、その他が8.9%となっている。当ファンドが投資対象とするMLPは主にパイプライン事業に投資し、一部は海上輸送にも投資する。ともに川中事業だ。パイプライン事業者は、パイプラインを通過する資源の量と距離に比例した使用料が得られる。通常、エネルギー生産者と長期契約を結んでいる。また、投資額や規模の点で新規参入が難しく、パイプライン使用料の値崩れが起りにくい。消費量も景気変動による影響を比較的受けにくい傾向がある。このように川中事業は資源価格や資源動向などの影響を受けにくい傾向にあり、安定した収益が期待されるため、当ファンドのポートフォリオは川中のパイプラインビジネスを中心に組み入れていく予定である。

■MLPの将来性

将来性について。シェール革命をきっかけに石油も天然ガスも生産が拡大しよう。例えば、アメリカのエネルギー情報局(EIA)の調査によると、11年から40年までの天然ガスの生産量は40%程度増加する見込みで、米国は天然ガスの純輸入国から純輸出国へ転換しつつある。今後、米国は天然ガスの生産でも世界最大の生産国になることが予測されて、それに伴ってパイプラインや貯蔵施設などのインフラ資産の需要が20-30年の長期にわたって伸びると予想されている。現在、生産は増加しているが、それにインフラが追いついていない状況がある。古いパイプラインがあり、また、パイプライン自体が不足していることもあって、その中で、MLPが伸びる可能性が十分あるとみている。

新規参入企業は徐々に増えているが、パイプラインなどのインフラ事業は前述の通り新規参入が難しいため、急激な増加は考えにくい。ただし、例えば、エネルギー会社からパイプラインを買収することで規模の拡大を図ることなどは考えられる。なお、13年には10銘柄ほどがMLPとして新規上場した。

日本の投資家の間でも、シェール革命は知名度が上がっている。アメリカの長期にわたるエネルギーの成長に投資できることや、MLPの安定した収益、かつ利回りが高いことで、現在、アメリカの機関投資家でも関心が高まっており、日本でも同様な流れになるのではないかと予想している。

主要資産の推移

主要資産の推移

■MLP銘柄の強み

MLPの値動きは、ほかの資産と相関関係が比較的低く、株式や債券などと一緒に持つことで、分散投資効果が期待できる。また、03年8月-13年8月の過去10年間のトータルリターンを見ると、MLPのパフォーマンスはほかの資産クラスと比較して最も高くなっている(図参照)。特にリーマン・ショック後に格差が拡大している。08年ごろにシェール革命が始まって天然ガスの生産が急増し、収益の伸びが見られたことや、安定して高い利回りを維持できるアセットクラスとしてMLPの知名度が少しずつ高まってきたことがその要因として挙げられる。

■ファンドの銘柄選択基準

銘柄選択においてはどれくらい持続性のあるキャッシュフローを得られるかがポイントになる。また、分散を考慮に入れてポートフォリオを構築していく。特段、運用ルールとして定めているわけではないが、1銘柄の組み入れ比率は10%以内をめどにしている。

■運用体制

運用については、ドイチェ・アセット&ウェルス・マネジメント(ドイツ銀行グループの資産運用部門)のRREEF・アメリカ・エル・エル・シーが担当する。同社の専門チームはインフラや不動産関連の調査や運用で長年にわたる経験や実績を持っており、グローバルに展開している。当ファンドは、ファンド・オブ・ファンズの方式で運用され、RREEF・アメリカ・エル・エル・シーの新設ファンドであるルクセンブルグ籍円建て外国投信「エネルギー・レボリューション・ファンド」を投資対象とする。米ドル建て資産について原則として対円での為替ヘッジを行う「Aコース(円ヘッジあり)」と、為替ヘッジを行わない「Bコース(円ヘッジなし)」の2種類を用意している。

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